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できれば負けてるときに引き分けに持っていきたかった(奥村監督・湘南)[Fリーグ第25節](2017/11/21)

「負けに等しい引き分けだった」と会見で開口一番、語った奥村敬人監督と刈込キャプテン。

 

DUARIG Fリーグ2017/2018 第25節
ペスカドーラ町田 3-3 湘南ベルマーレ
2017年11月19日(日) 町田市立総合体育館 観客数:1,337人 
[得点経過]
1-0 00分18秒 町田 22 ダニエル サカイ 
1-1 02分42秒 湘南 10 ロドリゴ ※PK
1-2 28分09秒 湘南 6 植松晃都 
1-3 31分40秒 湘南 10 ロドリゴ ※PK
2-3 36分56秒 町田 11 室田祐希
3-3 39分39秒 町田 3 森谷優太 

今季初の引き分け

「意地の張り合いじゃないですか」。
今日はどんな試合になるのか。試合前の僕の無茶振りに、奥村監督はそう答えた。そこには、町田に10年間勝ち越したことがない湘南が、自分たちの成長を実証するために、1勝1敗で迎えた今日こそ決着をつけようという強い気持ちがにじんでいた。結果は今季初の引き分け。「負けてるときに引き分けに持って行きたかった。勝ってるときに引き分けってのは痛い」は本音だろう。

試合は開始18秒でダニエル サカイのミドルが決まり町田が先制する。ところがそのサカイのファールで湘南がPKを得ると、これをロドリゴが決めて1-1。後半に入ると町田に予想外のアクシデントが頻発する。まず4分、湘南はカウンターから内村が抜け出し、右サイドをフリーで駆け上がる。それを止めようとイゴールが飛び出し、ハーフ付近で2人は交錯。結果は[著しい不正]でイゴールにレッドカードが提示され一発退場。登録されていたゴレイロは1人だったことからフィールドプレーヤーの中井がGKユニフォームを着る緊急事態に。それでも町田は4人で戦う2分間を無失点で切り抜け一息つくが、それもつかの間、後半8分にハーフ付近から湘南・植松が放ったシュートを中井が体の正面で止めたかに見えたがボールは股の間を抜けてゴールへと吸い込まれ、湘南が1-2と逆転する。さらに同11分、湘南のカウンターを阻止すべく自陣ゴール前に戻ったサカイの右手にボールが当たってハンドの判定。[警告2回]で2人目の退場となる。このPKもロドリゴが決めて1-3となり勝負はついたかに見えた。ところが、9分10秒を残して金山をゴレイロに町田はパワープレーに打って出ると、17分に室田が、19分には森谷が決めて同点とし、そのままのスコアで試合終了のホイッスルが吹かれた。

僕は、2点差になったところで湘南がいつものディフェンスをしていれば勝てたと思う。
ところが、湘南は町田にパワープレーから1点を決められて初めて気づいたかのように、ようやく厳しいディフェンスに出た。それまでは球際が緩く、湘南自慢のパワープレーディフェンス「囲い込み」(岡山・町田監督)が機能していなかったように僕には見えた。長い時間パワープレーをやられて湘南ディフェンスを疲労と混乱が襲い、この日の試合のテーマ『平常心』を欠いてしまったのだ。

では、シーズン中盤からディフェンスの精度を高めつつある湘南がなぜ乱れたのか。ひと言でいえば昨シーズンまでプレーオフ進出を懸けた厳しい戦いをしてこなかったからにほかならない。シビアな戦いの経験が浅かったのだ。真の厳しい戦いは中断明けの前節から始まったといっていいが、その意味で湘南は、あと7試合となったところでこの貴重な体験をしてよかった。もう一度、身も心も引き締め直して、まずプレーオフ、次にリーグ優勝への戦いに臨む。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

▪️記者会見
試合を振り返って
奥村敬人湘南ベルマーレ監督
負けに等しい引き分けだった

「お疲れ様です。そうですね、ま、負けに等しい引き分けだったのかなっていう、展開的に考えたら、まあ、そう思うんですけど。選手たちは100%力を出してくれたと思いますし。町田が逆に退場者が2人出た中で、すごく発奮した部分もあって、最後まであきらめないという姿勢がすごかったですし。そこに対して今日の試合のテーマが『平常心』、どんな状況でも『平常心』で臨もうというところだったんですけど、長い(時間の)パワープレーに対してちょっとこう疲れもあり、そういった部分を欠いてしまった部分もあったのかなというところで、そこをコントロールできなかった今日の試合は監督の責任なのかなと思います。選手たちは本当に厳しい状況の中で必死に一生懸命最後まで戦ってくれたと思うんで。まあ、いろんなイレギュラーがありましたけど、ま、この勝ち点「1」が最終的によかったなと思えるように次の試合また頑張りたいと思います。以上です」

 

刈込真人湘南ベルマーレキャプテン
『平常心』を欠いてしまったのかなと

「お疲れ様です。えと、ホントに町田の選手が2人退場ということで。キーパーが退場してフィールドがキーパーになるという状況も少ない中で、(僕たち湘南の)選手たちは、どうすればいいんだろう? という少し『平常心』を欠いてしまったのかなというふうに思います。そこで、キーパーがフィールドの選手だったので、もうあと2点、3点と、『平常心』を持ったまま重ねていけば勝てた試合だったと思うので。そこで獲れなかったのが今日の同点の結果だと思っています。また、リーグ戦は続くんで、一戦一戦プレーオフに行くために戦いたいです。以上です」

 

質疑応答
「湘南は間違いなく成長している」

Pivo! 今季、結果的に町田と1勝1分け1敗だったが、境川決戦の3試合を振り返って。

奥村 そうですね。1戦目は僕たちのホームでいい形で勝つことができて。2戦目は町田がすごくて自分たちが押されてしまった部分があったんですけど、後半逆に自分たちが戦う気持ちを出してくれた中で、1点差まで迫った試合で。今回決着つけようってことで、選手たちも気合も入ってましたし、いい準備ができたと思うんですけど、まあ、そうですね、過去10年間のリーグを考えたときに町田は格上の相手だと思うんですけど、そこに対して1勝1敗1分けのイーブンで終えたというところでいうと、まあ、湘南ベルマーレは間違いなく成長してる。そこは自信を持っていえます。ただ、このあとの浦安戦、府中戦、という部分で自分たちがどういう戦い方をするかによって、この試合の価値、町田にドローで終えたという価値が決まってくると思いますので、これからも戦い方、練習からも全員でやっていきたいなと思っています。

刈込 試合前、監督から町田に勝ち越したことがないと話をもらって、絶対に勝ち越そうと試合に臨んだんですけど、まあ、こういう1勝1敗1引き分けという結果になって、どっちが上かっていうのを、プレーオフを戦って、そこで決着をつけたいなと僕自信は思ってます。

Pivo! 町田に退場が出て4人になった中で、町田の守備がよかったともとれるんですけども、その2分間で追加点を獲りきれなかった理由は。

奥村 そうですね、あの2分間はチャンスが1回か2回ぐらい。ま、ジャッピーニャ(本田)にロドリゴが対角線に出たシーンがビッグチャンスだったと思うんですけど。ま、そこで、町田の選手が横パスを意識して一歩前へ出てしまったエラーがあったんですけど、その一発をしとめるというところで、決め切れなかったところでいうと、そこがすごいもったいなかったなっていう。町田はもちろんディフェンスは集中してやってたと思いますし、しっかり練習してると思いますので。そこの一瞬を逃すか決めるかってところがこういった試合の勝負の分かれ目だと思います。その1回かな、チャンスは。ま、町田のディフェンスはすばらしかったと思います。

Pivo! 本田選手が復帰したが今日のプレーの評価を。

奥村 ジャッピーニャ(本田)は経験もありますし、5試合、ケガで出れない中で、上(の席)でチームの分析もしてたと思いますし。このチームに何が足りないかっていうのも彼自信わかっている中で今日は戦ってくれたので。もちろん、久々の試合なので体力的な部分とか不安な部分はあったと思うんですけど、本当にチームに戦うという気持ちを乗らせるという部分でそういったプレーはしてくれたと思います。

 

▪️奥村監督単独インタビュー
(会見後、引き上げる監督を捕まえて話を聞いた)
湘南サポーターの人数も熱量もものすごかった

Pivo! 町田の9分間という長時間のパワープレーを受けている中でパワープレー返しも含めて効果的な反撃ができなかった。

奥村 パワープレーのディフェンスって結構特殊なんで、

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