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25歳にして9チームを指導するプロコーチ、花田孝汰の心意気_1[無料記事](2017/11/24)

一般人対象のフットサルクリニック、通称“ピヴォクリ”での花田孝汰コーチ。会場は自らが最初にフットサルに触れた藤フットサルクラブだ(http://fuji-fc.fuji-soko.net)。

指導チームのひとつである、神奈川県リーグ1部のエンカサ。

 

そのエンカサのリーグ戦で会場の2階席から選手に指示を飛ばす花田コーチ。

 

HANADA Kota

1992.4.15 生まれ
《サッカー》
1998~2004 東加平キッカーズ
2004~2007 ヴェルディレスチ
2007~2008 日体大柏高校
《フットサル》
2008~2015 小金井ジュール
2015~ コロナFC/権田

[指導チーム]
・フットサル
SAフガリア(関東大学リーグ所属)
さんぱち先生(関東大学リーグ所属、FFCカレッジフットサルリーグ1部所属)
エンカサ(神奈川県リーグ1部所属)
東海キングス(FFCカレッジフットサルリーグ2部所属、神奈川県の歴史あるチーム)
足猿キッカーズ(FFCカレッジフットサルリーグ1部所属 2016-17優勝、1DAY大会カレッジフェスタ全国大会連覇中)
FC FALTA(FFCカレッジフットサルリーグ2部所属)
・サッカー
アトレチコ君津(千葉県のアンダー15チーム)
ACカラクテル(千葉県のアンダー15チーム、2016年度アンダー15フットサル選手権全国3位)
・クリニック
“ピヴォクリ”コーチ(基本、毎月第1日曜日開催)
MFPクリニック(不定期開催)

[所属会社]
LEGRO HP
https://www.legro.co.jp/
フットサル事業部 FB
https://m.facebook.com/LEGRO-Futsal-Academy-1577779182528977/

 

デジタルピヴォ!が主催するフットサルクリニック、通称“ピヴォクリ”で指導にあたってくれている花田孝汰コーチは、25歳の若さにして9つの競技系フットサル&サッカーチームの指導をしていて、しかも、それを職業としているプロコーチだ。彼がどんな理念のもとに指導にあたっているのかを聞いた。

写真◆デジタルピヴォ! なか まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

高2でフットサルと出会う

Pivo! さっそくだけど、フットサルとの出会いはいつ、どんな形で?

花田 サッカーを小1から高2までやってて。高2になって部活やめたときにフットサルに出会ったんです。

Pivo! フットサルに出会ったとほぼ同時に切り替えたきっかけは?

花田 部活をいろいろあってやめることになって。で、それが、このコート(藤フットサルクラブ)がちょうどできるときで。富永店長と知り合いだった関係で、“バイトするー?”みたいにいわれて、スタッフとしてバイト始めたんですね。でも、そのときはまだコートができたばっかりだったんで、昼間とかは暇なんですよ。で、店長と一緒に蹴ってたりしましたね。で、2か月ぐらいして1DAYの大会を開いたときに、小金井ジュールの森山くんという、12番の選手なんですけど、ベテランの人が、たまたまその大会に出てて。僕も人数合わせで出て一緒にプレーしてたら、もともとの知り合いの店長に、“彼うまいじゃん”みたいにいってくれたらしくて。店長も“あいつ、部活やめちゃってさぁ、蹴るとこ探してんだよ”っていってくれて。僕としてはサッカーを探してたんですけどね、本当は(笑)。町のクラブチームとか、社会人チームとかを。でも、森山くんに“フットサル、興味ある?”っていわれて。僕としては悪くいえばミニサッカーのイメージしかなかったので、“フットサルっすか!?”ぐらいの印象だったんですね。その当時から、海外のフットサルの試合とかをネットで観てたりはしてましたけど、うまいなーくらいの知識しかなくて。

それでもものは試しと、練習行きます、って、行ったんです。東京都1部のチームといっても、いったら、レベルはそんなに高いっていうわけじゃなかった。でも、やることはしっかりやってるし。それこそ切り替えの早さもあるし。戦術的な判断とか、いろんな判断が伴ってて。なんか、自分に合ってるなと思ったんですね。そのときに。

それこそ体格差とか、スピード差とか、いろんなことをサッカー以上に上回れる能力がここにはあるし、必要だなと思って。それこそが判断だなと。で、切り替えのスピードにも自信がありましたし。それこそ先を読む力っていうのは、体や技術よりもそっちのほうに自信があったんで。なんか、すごい合うなあというか、自分にもそのとき可能性を感じましたし。で、どうする? といわれて、その場で、“入りたいです!”っていって、練習も以来毎回行くようになって。でも1年目の途中からだったんで、とりあえず選手登録はなしで、練習生でやってたんですけど、そこからジュールで6年くらいやって。そこで関東リーグ行って、みたいな感じでやってました。

Pivo! じゃあ、切り替えには全く迷いはなかった?

花田 そうですね。むしろ、いいタイミングだなと思いました。ここで出会うということは、呼ばれたじゃないですけど、すごく自分に合ってるし、このタイミングだからこそやるしかないなというイメージはありました。ビビッと来たというか(笑)。

Pivo! 以来6年間、東京都1部の小金井ジュールにいて、その後、関東1部のコロナFC/権田に移籍して現在に至ると。

花田 そうです。

大学生年代に指導者がいない

Pivo! で、今はコーチ業で生計を立ててると聞いてるが。

花田 そうです! 今は、仲間と一緒に立ち上げた「レグロ」という会社をやってます。Let’s grow up together!の略で、お客さんも、自分たちスタッフも、「レグロ」を支えてくれる人たちも、みんな一緒に成長しようって意味で、つくりました。主なメンバーとしては僕のようにフットボール関係者と、ITの専門家、サッカー、フットサルで留学業務をやってる人の4人です。僕ら、フットボールとITに専門性があるんで、そこをメインに、人々の成長機会をつくっていこうという意味合いで始めました。

Pivo! その「レグロ」を立ち上げたのが?

花田 2年前、2015年の11月ですね。僕はちょっと遅れてジョインしましたけど。だから立ち上げて3年目になります。

Pivo! キミはそこでもっぱらフットボールチームのコーチ業務というか、指導という役割を担っている?

花田 そうです。以前から指導もやりたいなとは思ってました。特に大学生年代ってほとんどのチームが指導者がいない中でやっていて。僕らも自分たちでやってました。そこへ、社会人でやってる人たちが社会人の練習メニュー持ってきて、ただ、あれやれ、これやれみたいな。でも自分たちのチームに合ってるかどうか全然わからないっていうところもあって。なんかやっぱりコーチって必要だなと思って。ただ、いつもチームに張りついてる専属コーチじゃないほうがいいなとは思うところがありました。特に大学生は。なんでかっていうと、自分たちで練習メニューを考えたりとか、これが自分たちの正解じゃないかっていうのを自分たちで導くのって、学生たちが成長するうえですごい大事だと思ってるんです。だから、(弟子の)野口のSAフガリアも指導してるんですけど、そこも今は週に1回のペースですね。それに、時間に余裕があるときは試合に帯同できたらっていうふうにしています。練習が月に12回ぐらいあるとしたら、僕が行くのは4回。あとの8回は自分たちで考えたりとか、そういう時間も大事だよねっていう話を最初にして、今一緒に取り組んでいます。

Pivo! 成長のためのヒントを与える意味で?

花田 そうですね。気づきじゃないですけど、きっかけとか機会みたいな、を与えてあげて。あとは自分たちでっていう感じですね。僕自身、クラブチームを持ちたいっていう欲がなくはないんですよ。なくはないんですけど、でも今は僕自身いろんなチームを見て成長機会が欲しいし、このチームにはどういう練習が合ってるんだろうって考える機会も欲しいし。それが1チームだけだったら、このチームにはこの練習が必要だ、だからこれをやってればいいなということになりかねないなと思ってて。やっぱり、いろんなチームにいくことで自分自身も成長していけるし、あとは、今ないようなフットサルの概念とか、考え方とかを、自分でつくりたいなと思ってますし、はい。

基本がすべて

Pivo! そのSAフガリアをはじめ、指導に当たっているのが冒頭に挙げた計9チーム+“ピヴォクリ”、MFPクリニックのコーチ役。そうした複数のチームやクリニックの指導で一貫して示しているものとは何?

花田 “ピヴォクリ”もそうですけど、しっかり頭を使って、自分たちの今あるベースをもっと高めていくとか、今ないものをつくりあげていく、ってことですね。僕が持っているものを与えるっていうよりは、ヒントじゃないですけど、ベース、体の向きとか、駆け引きのタイミングとか、そういう、大きな戦術やフォーメーションがどうこうっていうよりは、フットボールの一番根幹にあるようなところを僕が助けてあげて、あとは自分たちでしっかり考えて伸びていくのがいいんじゃないかと。もちろん、困ったときは僕も一緒に考えるよ、みたいなスタンスですね。

Pivo! 基本の大事さというをいつも大切にしている。

花田 そうですね、大事というか基本がすべてかなと僕は思ってるんで。

Pivo! 話は飛ぶが、つい最近、ブラジルのナショナルリーグの動画を見ていても試合前に対面パスの時間をしっかり割いて基本を再確認して試合に臨むとか、そういうことを大事にしている。それと共通するかな?

花田 そうです。やっぱり、僕が感じてるのは、大学生は特にそうなんですけど、フォーメーションで、クアトロがとか、3:1がとか、いってるんですけど、そうじゃないよと。クアトロでも3:1でもいいけど、じゃ、(パスを受けるときの)体の向きはどうなの? 横や後ろを向いてたらいくらクアトロやっていても裏とれないし、3:1でも全然ピヴォに当たんないよとか。あと受け方で、そもそもこんなに近かったら前向けないよとか、そういうところが大事なのに、その前に大きな戦術やフォーメーションに思考が逃げちゃってるような感じがあって、僕はそれを話す前の部分をすごく大事にしてほしいなと思って指導してます。僕は、クアトロはコロナFC/権田でやってるんで、クアトロメインになったりしますけど、別に、神奈川県リーグ1部のエンカサは3:1やってたりとか、あまりシステムにはこだわってないです。どっちも正直、根幹は一緒だよねと思ってますから。

納得のいく結果は出ているか?

Pivo! で、指導を始めてから納得のいく結果は出てる?

花田 そうですね、フガリアは今年から関東大学リーグに参入しました。十分な結果はまだ出てないですけど、東京都大学リーグのカップ戦は初戦でしっかり勝ったりとか、結果として現れてる部分もあります。あとは、結果じゃない部分でも、学生たちも僕も感じているとおり、今までは無秩序なカウンターで、バタバタバター! みたいなところが、今ではしっかり組み立てられるようになったりとか。あとはいろんなことを話し合えるようになりました。カウンターでバタバタしては、パスがずれてるとか、そんなレベルだったんですけど、しっかりボールが回るようになりましたね。“今の、オレこっち向いてるからパス待ってほしい”とか、“オレ、裏とれるから出していいよ”とか、そういう一個上とか一個先の話し合いができるようになったり、っていうのは感じますね。

Pivo! 聞くところによるとサッカーチームも指導しているとか。

花田 してます。僕は、フットサルだから、サッカーだからというのはあまり気にしてなくて、サッカーにも使える、さっきのスペインの話じゃないですけど、サッカーにもしっかり適用する部分というか、サッカーでスモールエリアを突破するとか、あとは駆け引きの考え方とか、すごく重要な部分があるなと思ってて。フットボールとして捉えています。で、サッカーチームも、千葉県のアトレチコ君津と、ACカラクテルっていう2チームを今指導させてもらってます。ACカラクテルは去年からかかわらせてもらってるんですけど、去年はアンダー15のフットサル選手権で、千葉県で優勝して、関東も決勝でフウガを倒して優勝。で、全国大会でも準決勝までいって長岡JYFCに負けちゃったんですけど、3位まで行けて。サッカーチームがフットサル大会で全国の3位まで行けることを証明できて。やってることはフットサルではないですけど、相手との駆け引きとか、どのタイミングで裏をとるとか、そういうことをちゃんと勉強して実践してくれています。結果もそうですけど、彼ら自身の進路も順調で今、市船で1年生からレギュラーとして出てたりとか、あとは、翔凜高校といって今千葉県で強くなってるチームがあって、そこでも数人は1年生からもうインターハイのメンバーに入っているとか。そういう目の前の結果だけじゃなくて、小学生年代、中学生年代のその先の結果につながるような実力というものも出てきているんじゃないかなと思ってます。

Pivo! 目の前の結果だけじゃなく、将来に向けた力もつけていると。

花田 そうですね。そういうのも含めて、やっぱり戦術うんぬんの前に、どこのチームに行ってもそうだし、サッカーやってもフットサルやってもこういうのって重要だよねっていうのを指導していきたいなと思ってます。彼らがサッカーからフットサルにたまたま出会って、フットサルやりたいって思ったときに、そこから新たに勉強しなければいけないというよりは、“あ、オレ、なんか、サッカーんときにトレーニンングしたのと一緒じゃん”とか、“それ、花田コーチがいってたな”とか思い出してくれるようなことをイメージしながらやってたりもします。

(続く)

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