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苦しんだ去年のことを考えて、点の獲れる外国人選手に投資した(ペドロ コスタ監督・名古屋)[Fリーグプレーオフ決勝・第2戦](2018/1/23)

星キャプテンがリーグトロフィーを掲げた瞬間、名古屋オーシャンズの面々が喜びを爆発させた。名古屋は2年ぶり10回目の優勝を記録した。

 

試合直後にペドロ コスタ監督の体が宙を待った。

 

続いて星キャプテンの胴上げ。試合終了と同時にキャプテンの両目からは涙があふれた。

 

DUARIG Fリーグ2017/2018プレーオフ決勝・第2戦
リーグ1位 名古屋オーシャンズ 6-2 リーグ2位 ペスカドーラ町田
2018年1月21日(日) 駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場 観客数:1,759人
[得点経過]
1-0 14分23秒 名古屋 11 ルイジーニョ
2-0 21分28秒 名古屋 11 ルイジーニョ
2-1 25分00秒 町田 22 ダニエル サカイ
3-1 27分20秒 名古屋 10 ヴァルチーニョ
4-1 34分35秒 名古屋 15 吉川智貴
4-2 37分02秒 町田 99 森岡薫
5-2 39分18秒 名古屋 13 ラファ
6-2 40分00秒 名古屋 10 ヴァルチーニョ

 

町田、後半15分20秒を残してパワープレーに行かざるを得ず

後半2分にブラジル人助っ人のひとり、ルイジーニョが自身2点目のゴールを決めた5分後、町田の岡山監督はパワープレーを決断した。この段階で2日間トータルのスコアは6-2。町田が優勝するには最低5点が必要だ。リスク承知でパワープレーに移行した町田は、以後、マイボールにすれば攻撃力のある森岡薫中心の1stセットに、失えば2ndセットが走って奪い返して1stに託すパターンを繰り返して粘り強く戦う。そして後半5分00秒、2試合ぶりに累積から復帰したダニエル サカイがカウンターからゴールを決め1点差に迫る。しかし、町田の戦いもここまで。その後、名古屋にパワープレー返しの3点を含む4点を決められ、終わってみればスコアは6-2、トータル10-4で試合は決着した。プロチームとアマチュアチームの力の差は歴然としていた。

ペドロ コスタ監督は、リーグ制覇を逃した昨シーズンと「チームの色を変えよう」と、より攻撃的な、点の獲れる外国人選手に投資し、その選手たちが持ち味を出せたことに満足していると語った。また日本人選手たちは、その外国人選手3人の活躍を支える役割をしっかり果たしてくれたと、たたえることを忘れなかった。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

▪️記者会見
(試合を振り返って)
ペドロ コスタ 名古屋オーシャンズ監督
星キャプテンが攻撃力を持った選手を止めてくれ

「皆さんこんばんは。昨日同様、選手はファンタスティックなプレーをしてくれました。もうこれ以上要求できないくらい選手はピッチで応えてくれて。今シーズン本当にひとつになって戦ってくれたことに関して感謝しています。その選手たちのおかげで今ここにトロフィーがあります。
この2試合わたしたちにとって戦争でした。その中で昨日と今日は別の試合だと考えていましたし、今日が後半戦だったと。その中でレベルの高いフットサル、それと、両チームとも勝ちにこだわったプレーのおかげですばらしいゲームが生まれたと思います。
ゲームに関してはわたしたちの色を出した時間帯というのが多くありました。ゲームプランニングの中で相手もわたしたちへの対策というのも十分つくり上げてきた中で、時間帯によっては苦戦するというのも想定内でした。そういう時間帯も我慢強く乗り越える精神的な準備っていうところまでわたしたちは追い込めることができたのかなって思いますし、その結果がここにあります。
今日の試合のポイントとなる部分というのは先制点を獲ることができたところです。で、このアドバンテージをより広げていくことで、わたしたちの流れをつくっていくことができました。
皆さんに対してもリーグを盛り上げていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。チームに関しては選手だけではなく、すべての関係者、スタッフら全員が、1年通して努力した結果、ここまで来れたと思いますが、一番の主役は選手たちです。非常に苦しいシーズンでしたが、すべてを自分たちで打ち勝ってくれました。ラファ選手がMVPになりました。本当に彼におめでとうと伝えたいです。また、私の隣りにいる選手(星龍太を指して)、キャプテンとして自分の役割がある中で、相手のMVP選手、攻撃力を持った選手を止めてくれました。彼もこの決勝でMVPであると私は考えています。なので、ひとりひとりが出し切れた決勝だったと思いますし、ホッとしています」

 

星龍太 名古屋オーシャンズキャプテン
去年の悔しい思いを晴らせて、うれしいのひと言

「えー、うれしいってことに尽きると思います。細かいことをいうと、修正点がもちろんあると思うんですけど、この2試合っていうのは結果がすべてで、勝たないと歴史にもこのトロフィーにも名前を刻めないわけで、結果がすべてだと思うんですね。そういった意味でチーム全体として最高の結果を出してこれたと思います。去年の悔しい思いを晴らせたというところで、そうですね、うれしいのひと言ですね。まとめちゃいますと、あんまり言葉が出てこないんですけど、そのくらいうれしかったです」

 

(質疑応答)
チームは攻撃的な外国人選手の獲得に投資し、
点を獲る過程に日本人選手が多くかかわってくれた

Q シーズン中にゴレイロを篠田選手と関口選手を使い分けていたと思うが、この最後の大事な決戦で2試合とも篠田選手をチョイスした理由は?

ペドロ コスタ まずはじめにレギュラーシーズンで、フィールドも一緒なんですけども、いい時期も悪い時期も選手たちは乗り越えて、それに応じてわたしの選ぶ基準というのをつくってきました。おかげさまで非常にレベルの高い2人のキーパーで、その部分に関しては(選択に)毎回いい悩みを持っていました。なので、いい悩みをかかえるってことは、どっちが出てもおかしくないレベルを持っていて、2人とも信頼をしていました。ひとつの決め手になったのは、シーズン終盤に篠田選手が出たときに非常にいいパフォーマンスを発揮してくれました。そういう面ではここへ来て変えれなかったというか、やはり本人も勢いに乗ってましたので、ここは賭けにというのではないですけど、見えてるものでそのまま篠田選手に賭けたっていうことです。
キーパーの出場時間に関しては、決勝は篠田選手が出たんですけど、トータルでいうと関口選手のほうが長いです。でも時間もほぼ一緒っていうくらい2人は争ってくれていました。難しい判断ではありましたけど、そういうところが決め手になりました。

Pivo! 監督に聞きます。今日は8つのゴールが生まれた。そのうちの1つが吉川選手で、残りの7つのゴールは全部外国人もしくは外国から帰化した選手が決めたゴールだった。これをみると果たして日本のフットサル、日本人のフットサルは本当に進歩しているのか疑問が湧いてきた。このことを監督はどう感じているか。

ペドロ コスタ この世界で一番目立つ点というのは、点を獲った選手、点を獲って勝つっていうところがポイントです。確かにそこが目立ちがちなんですけども、ここにいるキャプテンの存在だったり、アシストをする存在であったり、点を獲るまでの過程っていうのがある中、いろんな日本人選手が十分かかわってることに関して、トータルで考えると日本のフットサルは進化しています。
昨シーズンのこともあってわたしたちは、チームとして色を変えようという意味で、より攻撃的な選手を取ってきたところで、その選手たちが持ち味を出せたっていうことに満足しています。チームとして外国人選手に投資したっていうところで、しっかり役割を果たしてくれた。ほかの日本人選手もそれを理解したうえで自分の役割をしっかり果たしてくれたと思います。
で、進化しているという部分について確信を持っていえるのは、今シーズンのリーグ得点王が府中の渡邉智晃選手が取ったということです。これまで足りない部分であった得点を獲る力の部分で少しずつ点を獲れる選手が出てきていると思いますし、そういう面で日本のフットサルは進化していると思います。いい方向に進んでるんではないかなと思います。

Q 優勝おめでとうございます。今日町田がパワープレーを仕掛けてきた場面で、吉川選手が非常に長く出場して守りに貢献したと思うが。監督は今年スペインで2年経験を積んだ吉川選手の復帰は名古屋にどういう影響を与えたと考えているか。

ペドロ コスタ 吉川選手はスペインに行く前からこのチームに多くの役割を果たしていた選手です。この2年間スペインに行ってより大きくなって帰ってきたことは確かです。どこが大きくかなったかというと、スペインではこういう決勝のような接戦のゲームが毎週行われています。この決勝で改めて感じましたけども、吉川選手は結構ハートが強い選手で、こういう試合こそ彼の色が出るんではないかなと思いました。

彼のモチベーションが100%出せたときっていうのは、彼が燃えてプレーできるときっていうのは、この決勝で見ることができたんではないかなと思います。その意味でも彼は大きな存在でチームの勝利にも貢献して、出場時間に関しても、フィジカルの持久的なところも別格です。なので、走っても走っても疲れない、その力っていうのは彼は優れていると思います。で、その意味でもこの世界に関しても出場時間をもっと引っ張ってもいいかなと考えています。先ほどの話でもあったとおり、彼だけではなく、犠牲になるプレーで目立ってない選手もいて、全員が、ひとりひとりが役割を果たせたゲームだったと思いますし、そういう意味で全員におめでとう、お疲れ様といいたいです。吉川選手についていいますと、彼こそフィジカルの部分でも持久力の部分でも優れた存在であると思います。なので、そういう部分で、プラス、守備もできて戦術的理解もあって攻撃力もあって、プラス、ゴールっていうのを彼が身につければ、世界でランクインしてもおかしくない存在になるんではないかなと思います。

プレーオフを1位チームのホームでやれないのは日本だけ

ペドロ コスタ 長くなって申し訳ないですが、もう少しお時間をいただいて、1つだけ最後コメントさせてください。
優勝したタイミングで、幸せです、という正直な気持ちを伝えるのもひとつですが、現実を見て、厳しいコメントをするというのもこういうときかなと思います。負けてしまったら何もいえない状況であると思いますから。勝ったからこそしっかりと現実も見て冷静に自分の意見をいいたいと思います。
プレーオフのレギュレーションに関して、今まで自分もいろんなチームに携わって見させてもらったものというのは、リーグで一番に上がってきたアドバンテージっていうのがある中、1位で上がったチームのホームでやれない状況、いろんな理由でこのセントラルという方式があったと思うんですけども、アドバンテージがない状況でのプレーオフの戦い方っていうところを是非話したいと思います。いろんな理由がある中、プレーオフを1位チームのホームでやれないっていうのは世界でも唯一かなと。これはあくまでもわたしの意見であって、いろんな状況を乗り越えてリーグ1位を勝ち取った中、ホームでのアドバンテージがない状況っていうのは、むしろアウェーであったぐらいの雰囲気だった。プレーオフが意味があるのかなと感じた部分でありまして。なのでその形式は正しいのか。そのことについて一度でも考えていただけたらうれしいなと思います。

皆さんにお時間をいただいたうえに、嫌なコメントの終わり方で大変申し訳ないですけど、わたしももっともっといい形で、みんなも満足してって形であったら、自分たちでなくてもほかのチームもそういう気持ちになってしまうのかなって感じたプレーオフでしたので、ここで話をさせていただきました。ありがとうございます。

 

[取材後記]
“滝田すね当て問題”のその後

20日のプレーオフ第1戦後の記者会見で名古屋のペドロ コスタ監督が試合で“代表経験豊富な町田のエース”がすね当てを着用していなかった、これはレギュレーション違反だ、と発言したことについて僕は翌21日の同第2戦前にFリーグを主催する日本フットサル連盟に確認をした結果、その町田のエースとは滝田学選手のことであり、彼に関して次のことが判明した。連盟の人のコメントを以下に要約し掲載する。

“レフェリーが滝田選手に確認をして《(すね当てが)着いてない》とその場で判断し、《ちゃんと正しなさい》といった。それでも正さなかったら警告の対象になるんですけど。その後、《正しなさい》ということが手順としてあって。選手がそれに準じて着けたので、問題にすべき点はなかった、それで一件落着ということです。何故着けてなかったのか、その理由は聞いていません”

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