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[東京都女子1部]城北レディース、新戦術が的中し快勝! 「次節で上位リーグ入りしLa puertaと真剣勝負がしたい!」(城北・川﨑康裕監督)(2018/10/26)

新戦術の導入で明かりが見えてきたBALLENA BLANCA城北レディース。

 

対戦相手は府中アスレティックFCキンツェム。

 

相手ディフェンスをかわしてワンツーで抜けた♯25木村千尋に♯14田中優衣がラストパス。

このパスを木村がファーで押し込む。5分、城北先制!

 

狙いどおりの形からのゴールに、2人は歓喜のハイタッチ。

 

その1分後、今度はキャプテンの♯4片山理夏子がこれもファー詰めで決めた。

 

14分、先制ゴールをアシストした田中がキャプテンがキープから前を向いた瞬間に右サイドをフリーランニング。

 

キャプテンからのパスをダイレクトシュート。ボールはゴレイラの股間を抜けて、、。

 

ゴールイン。これもチームの狙いどおりの完璧なゴールだった。

 

◎SuperSports XEBIO 東京都フットサル女子1部リーグ2018 第9節
府中アスレティックFCキンツェム 2-5 BALLENA BLANCA城北レディース
2018年9月23日(日) フィスコアレナとしまえん
[得点経過]
0-1 5分 城北 25 木村千尋
0-2 6分 城北 4 片山理夏子
0-3 14分 城北 14 中田優衣
0-4 17分 城北 11 高橋海友
1-4 20分 府中 12 芹澤有記
1-5 21分 城北 4 片山理夏子
2-5 24分 府中 川喜田伸江

 

3点リードして後半へと折り返すハーフタイム、川﨑監督から「後半も動いて裏をとろう!」と指示が飛んだ。

 

後半2分、♯11高橋海友がゴールを決めその差を4点とする。

 

再三裏をとられた相手は次第に前プレを弱めてマークに付き出す。

 

そうすると威力を発揮するのがドリブル。前半から仕掛けてきた♯11高橋が個人技でマークをはがし一気に相手ゴール前へと迫る!

 

そしてディフェンスを引きつけておいてファーへシュートパス、キャプテンがこの日2点目、チーム5点目を決めた。

 

見事な今季2勝目!

これほど見事に戦術がはまるゲームはシーズンを通しても珍しい。1勝2分け2敗と低迷するBALLENA BLANCA城北レディース(以下、城北)の今季2勝目は、まさにそれを絵に描いたような快勝だった。城北は次節Festiloとの前期最終戦で前期4位までの上位リーグ入りを目指す。
https://www.pitin.com/rakuza/pc/common/conv/ConvResult.cfm?CONV_NO=12779&vid=00065

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

戦術的中! 3点リードで後半へと折り返す

新しい戦術を実戦で初めてやるときの期待と不安。その中で選手たちは監督の指示をピッチ上で体現し結果に結びつけた。
試合を前に川監督は選手にこう告げた。
「オフェンスはクアトロを自陣でやる、そして相手をわざと来させて、裏をとる。練習でやってきたことを自信を持ってやりきろう!」

普通、クアトロは低くてもハーフウェーライン上。高ければ相手陣内で展開する。
ところが、城北のこの戦術は相手の厳しい前プレの中で、自陣でパスを回す。キャプテンのりかこが「不安だった」といったのは本音だろう。

前半5分、♯25チヒロが決めたゴールがクアトロから抜け出して♯14ユイとのワンツーから決めた、狙っていたとおりの形からのゴールだった。
新人2人の活躍でチームは活気づき、その1分後にはキャプテン♯4りかこが同様の動きからファー詰めで2点目をゲット。

わたしたち、やれるじゃない!

不安を一掃したばかりか、勢いづいた城北は14分にユイがキャプテンからのパスをダイレクトシュート。15分ハーフの前半で3-0とリードしたのだった。

城北はクアトロがはまった。預けて抜けるタイミングが実によく、その選手へこれまたナイスタイミングでパスが入り、一気に相手ゴールに迫ると、ダイレクトを交えたワンツー、そして、ファー詰めと多彩なコンビネーションからゴールを奪っていった。
これまでの決定力不足がうそのように、シュート意識の高さが実を結んでいる。
特にユイにダイレクトシュートはディフェンスの股間を抜き、ゴレイラの足元をかわしてゴールネットを揺らした。前半を見る限り、クアトロ対ピヴォを使った3:1の戦いはクアトロに軍配があがった。

つなぐ意識が失点につながる課題も

「動いて裏をとろう!」
ハーフタイムの監督の声に背中を押された城北は、後半も相手より先にゴールを決めた。

チーム4点目を決めたのはこれも入団して間がない♯11ミユ(高橋海友)。後半2分、監督の指示そのままに、自陣でのクアトロから寄せてくる相手ディフェンスをかわして抜け出し、決めたのだった。

波に乗る城北にもまだ課題はあった。
川崎監督の指示どおり徹底してパスをつないでいく城北だが、この戦術が実戦投入して間もないことと新人が多く連携がイマイチのため前半からパスミスが目立ち、後半5分と9分に、ボールロストからショートカウンターを浴びている。
ただ、それを上回る展開力と決定力がこの日の城北にはあった。後半6分には右コーナーキックからキャプテンがこの日2度目のファー詰めて5点目を決めて相手を突き放したのだった。

La puertaと上位リーグで真剣勝負を!

かくして5-2と快勝した城北は、明日10月27日(土)に前期最終戦(第10節)を迎える。
この試合で現在勝ち点8で5位の城北がFestilo(同7・7位)に勝利し、4位の府中アスレティックFCキンツェム(同10)が2位のTOCAR jugadoras 新宿に敗れることがあると逆転で上位リーグ入りとなる。そうなれば城北にとって現在首位を行くLa puerta junto ladiesとの再度の対戦が実現する。第4節では6-0と大勝したもののこのとき相手は6人しかいなかった。監督同士がともにあのカスカヴェウ(F1・ペスカドーラ町田の前身)のチームメート同士という“因縁”の真剣勝負と同時に、城北の“自陣からのクアトロ”が首位チームに通用するかも判明する興味深い一戦となる。楽しみだ。

 

勝ったもののカウンターから上下のスプリントを要求される戦術に選手の疲労の色は濃かった。

▪️チームをけん引し自ら2ゴールを決めたキャプテン片山理夏子のコメント
自陣で回すのは怖いけど恐れずに回した結果
「自陣で回すのは怖いけど、それを恐れずに回して相手をフラットにさせてから裏を狙うという練習を先々週から計画的にやり始めて、そこからうまくいって。試合では不安だったんですけど、実際にやってみて結構はまりました。練習のときはクラブの男子相手にやってたので、結構プレッシャーが早かったりしたので、そのおかげで、ボールの持ち方とかがよかったかなとは思いました。
(これで今季2勝目だが)もう、やっとって感じだし、2敗しちゃったときはわたし自身全然調子がよくなくて、チーム全体としてもやっと本調子になってきたかなと思います。前までは、フットサルの基本となるファーへの動き(ファー詰め)っていうのができてなくて、キーパーとの1対1というのが多かったので。今日2ゴールできて、なんか、ホント、ごっつぁんみたいな感じなんですけど、ファーにいるっていうのをチームでも意識して取り組んできたので、そこに走るというのが試合で体現できてよかったです。
前期は残りあと1試合。他力本願な部分もあるんですけど、結果次第では上位リーグに行けなくはないと思うので。上位リーグに行って、首位を行くLa puertaと真剣勝負がしたいです」

 

ドリブルかと思えば逆サイドで裏を突く動きと、そこへの鋭いパス。試合は最後まで城北のペースだった。

▪️攻守の要として勝利に貢献した♯2木村のコメント
パスも回ってゴールまで行けるようになった
「個人としてはあれですけど、チームとしては前よりはパスも回って、ゴールまで行けるようになったんで、それはすごいよかったなと思います。次は無失点で勝って上位リーグへ行きたいです!」

 

戦術が的中し会心の勝利をした選手たちをたたえる川﨑監督。

▪️﨑康裕監督インタビュー
うちの選手に向いている戦術を考えてたどり着いた

Pivo! 自陣からのクアトロが見事にはまって、今まで見てきた城北の試合で一番よかった。

川﨑 ありがとうございます。実は3週間前の練習からできていて、先週の練習からすごいよかったので実戦投入しました。今日の後半は疲れてミスもあったけど、前半は伝えてきたことは実現できたかなと思います。キャプテンのりかこを中心にパス回しから相手の裏へ抜ける動きと、パスのタイミングがよかったと思います。

自陣で4人並んで、わざと来させて、裏を突く。その練習をクラブの男子相手に積んできたんですけど、マンツーのディフェンスでやってきた中で、相手がゾーンのときは難しいじゃないですか。ただ、そうなったときのいくつか決まりごとがあるんですけど、それが今日は本当にうまくいったと思います。

何のためにクアトロやってるかといったら、ゴールを奪うための組み立てじゃないですか。なので、ゴールの前に一個、裏をとるということをポイントにずっと練習をしてきて、それが、うまくはまりました。あれがサッカーでいうスルーパス。選手はそれがやっとわかってきたかなというところです。

Pivo! 先制ゴールを決めた25番の木村千尋、3点目の14番田中優衣、4点目を決めた11番高橋海友と入団して間もない選手たちが勝利に貢献した。

川﨑 いいプレーしました、よかったです。しっかりボール回して、預けて縦へ抜けて、パス受けてシュートまで。今日は本当に(笑)。25番の子はここ2回ぐらいの練習でめちゃくちゃ伸びたから、今日は初めから使うよといったら当たったんで。次からは計算できる選手の中に加えられるかなと思います。ボールキープはできるし、アタックはできるし、抜けるタイミングもいいし。いい選手です。

Pivo! このやり方の特徴は、自陣でクアトロを展開するところ。前プレで強く寄せてくる相手をかわしてカウンターに行くという、リスキーだが決まれば決定力につながる迫力満点の戦術だ。

川﨑 純粋に、相手がプレスをかけてきたときのプレス回避策としてうちはクアトロで打開するという戦術なだけだと思っています。基本はピヴォ攻撃で打開するのが簡単だとは思っていますが、うちの選手たちの能力を信じ伝えてきたことが今少しずつですが浸透し理解してゲームで出来始めているところです。

Pivo! この戦術を採用することになったきっかけは?

川﨑 きっかけは、いろいろ動画等を観ていたときにサッカーあがりのうちの選手たちには何が向いていて理解してもらえるかを考えたことです。選手たちにもいくつか動画を観せていますが、最終的には指導者の自分の好みとしてピヴォ攻撃で押し込むというよりはボールを回して相手の裏をとり崩すというのが好きなだけだと思います。
それと、昔のカスカヴェウのように、華麗なボール回しをしてほしいという思いがどこかにあったかなと思います…笑

Pivo! 相手の攻撃を浴びてしまう時間帯もあった。

川﨑 あれは、終わり方の悪さです。うちはカウンターでしかやられることはないので。崩されるってことはまずないですから。カウンターってことはどこかでミスして数的有利をつくられて、つまり終わり方が悪いじゃないですか。そこの状況判断と切り方。うちはつなぐことを徹底してるから、回してミスになるケースがある。ほかのチームは蹴るじゃないですか。うちはそこをNGにしてる分、カウンター食らうっていうだけです。

Pivo! 残り1試合、上位リーグ入りの可能性を残している。

川﨑 行けば(カスカヴェウ時代のチームメート、稲田率いる)La puertaともう一度対戦できます。行かなくちゃ駄目です! この戦術の精度をこれからさらに高めていきますから、上位との対戦が楽しみです。選手たちも今の戦術がどこまで通用するか楽しみになってるみたいですから!

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