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無料記事:ボアルース長野、最終節で人々に伝えた戦う者の姿勢【F2第14節】(2018/1/15)

2019年1月14日、長野
(PHOTO,TEXT・佐藤功)

Fリーグ2018/2019ディビジョン2 第14節
ボアルース長野 7-2 トルエーラ柏
2019年1月14日(月)ホワイトリング 観客数:1,568人

[得点経過]
0-1 18分12秒 トルエーラ柏 55 篠崎友輔
1-1 21分34秒 ボアルース長野 18 田口剛志
2-1 21分58秒 ボアルース長野 18 田口剛志
3-1 29分19秒 ボアルース長野 10 伊藤広樹
3-2 34分58秒 トルエーラ柏 22 麻賀郁
4-2 36分23秒 ボアルース長野 18 田口剛志
5-2 37分04秒 ボアルース長野 18 田口剛志
6-2 37分43秒 ボアルース長野 27 有江哲平
7-2 39分37秒 ボアルース長野 9 石関聖

戦う上での取り組む姿勢

前半終了間際、ボアルース長野は0-0のスコアでパワープレーを敢行。だが、パワープレー返しを喰らい、先制点を許してしまう。

ここから、ボアルース長野がこの1年で成長をした姿を魅せた。

全員が同じ方向を見て、それぞれが今できることを全力で取り組む。昨年最後の2,115人に続き今年最初の1,568人に、その戦う気持ちを伝えた。

フットサルがみんな大好きなんだな

柄沢健 ボアルース長野・監督

1年間ありがとうございました。今日は最終節だったんですけれども、いつも通り戦おうということを大事にしました。それは、今まで戦える選手だけをベンチで入れてきていたので、日常の練習の中で積み上げて積み上げてそれがようやく今日14名全員が入れて戦うことができたということが私個人としても、監督としてもすごくうれしく思っています。初めて14名で戦い、苦しい場面も多々あったんですけども、本当の意味でベンチワーク、戦術、いろんなものが最後になって実を結んでくれたんじゃないかなと思います。ホームで2敗していてプレッシャーも選手にあったと思いますけど、14名全員で、現場スタッフ全員で勝てたことが非常にうれしく思っています。

――今日14人全員入れたというのは、最後だからということではなく、基準に達したからこそということでしょうか?

柄沢 基準もありますし、役割分担ですよね。戦っていく中で身について積み上げてくれたということだと思います。

――優勝争いをしているY.S.C.C.横浜は得失点差で長野を勝っています。今日の試合は大量得点を狙うということだったのか、目の前の試合を勝つのか、どういった意図を持って臨みましたか?

柄沢 今日勝たないと私たちは基本的に優勝はないんですけども、私は14名が戦えるということだけに集中していました。そこから初めて優勝というラインが見えてくると思います。12月9日に横浜に負けているので、優勝よりも前にまずは柏に総力戦で勝つ、その結果でもしかしたらということがあればいいと考えていました。

前半のパワープレーに関しては大量得点を狙ったわけではなく、後半もし私たちが負けていてパワープレーをした場合、どういう風な対応をしてくるかなというところを見たかったというところですね。ちょっとしたアクシデントがあったんですけれども、大量点を狙ったわけではありません。

――後半に7得点をしましたが、ハーフタイムでの修正は?

柄沢 私たちがヴィンセドール白山戦の後の1ヶ月間は、ほぼ今まで通りをやってきたことを、前からプレスをかけてボールを奪う、ボールを奪って終わりではなくボールを奪ったらゴールを奪う、その強度をすごく上げてきました。

試合のことを想定して厳しいことは原山(英之)も石関(聖)もみんなで理解し合って求めてやってきたので、いい守備からゴールに結びついたと思います。同点に追いついた時点で球際も強かく、4ファウルでしたがそれでもボールを奪ってゴールを奪うことは私たちは一切変える気はないというか、そういう戦いをしてきました。決して私たちの攻撃が素晴らしいということではなく、しっかりと守備からできたことが7点につながったんじゃないのかなと思います。

――今日、田口剛志が4点を獲りました。シーズンを通して、彼の働きを監督はどのように見ていますか?

柄沢 人間性が素晴らしいなと思いますね。誰とやっても同じ態度で、同じ接し方で同じ話し方ができる。なかなかそういう選手はいないと思います。彼も地域リーグでやっていたので、Fリーグを経験した選手と一緒にプレーをしたことがなかったので、その点からするとコミュニケーション能力は素晴らしいと思います。

プレー面では、1stセットは石関と有江(哲平)とケガから復帰したキャプテンの原山と入って、脅威になる彼らをうまく利用できる。戦術の部分でよく見えています。この場面で決めれればというところをいとも簡単にワンタッチで決められる。当たり前のことを当たり前にできるというところが彼の良さだと思います。

――今シーズンを振り返ると共に、全日本フットサル選手権の抱負を。

柄沢 初めてFリーグで、F2リーグで戦わせていただいて、私自身も監督としてFリーグの経験がなく、キャプテンの原山もケガをしてリハビリ段階でしたので開幕は非常に難しい状況でした。

その中で、Fリーグの経験がある石関と伊藤(広樹)を中心に、ある程度のアクシデントがあることも覚悟しながら、彼らがFリーグでやってきた中できっとなかなかうまくいかなかったこともあったと思うので、その彼らの気持ちを、ここで成功したい、ここで頑張りたい、それをなんとかチームに戦術以外の取り組む姿勢も植え付けたい落とし込みたいと思いながらオーシャンカップの前から取り組ませてもらいました。試合をやる中で戦術以外の部分で、この取り組みではダメなんだということを彼らが身をもって教えてくれて、改めてFリーグを戦っていくためには何をしないといけないのか、どういう取り組みでやっていかないといけないのか、お金を払っていただけるお客さまに対して何を示していかないといけないのか。それが成績以上に現場としてはすごくうれしいと言いますか、選手たちが人間としても一皮むけてくれてたんじゃないかなと思います。

全日本フットサル選手権は1ヶ月半後ぐらいにありますが、地域リーグのチームが私たちを倒したいという想いで全力で、120%で戦ってくると思います。また1から見直して、最終的な3つの目標のひとつベスト8を掲げて、一日一日いいトレーニングをしていきたいなと思います。

――点を奪われてもみんなで鼓舞をして逆転をするチームだとおっしゃられていましたが、今日の試合はそれに近いと思います。満足をされていますでしょうか?

柄沢 常に私たちがゴールを奪っても奪われるという局面しかほぼほぼない中で、そのプレッシャーに耐えられない選手はドリブルがうまくてもパスがうまくてもシュートがうまくてもピッチに立つことは難しい。最終節という大事なゲームで、アクシデントで点を獲られてしまいましたけど、原山が中心となって『もう1回みんなでやっていこう』とみんなで鼓舞してくれました。

練習でも、『いい時はみんなで声を出せれるけど、悪い時は全然声が出せれないんじゃないのか』と石関や原山を中心にそういう言葉をかけてくれて、それが今日なかなかベンチ入りできなかった選手や出場できなかった選手が躍動できたこともあって、最後にプレッシャーを支配できる選手になってきたんじゃないかなと思います。

――F2を戦って得たものは?

柄沢 一番はフットサルがみんな大好きなんだなと。みんな仕事があって家庭があって、いろんなものがありながらそれでもフットサルが大好きでやっている。

私たちはプロになりたいしサッカーで成功したい。でもそれができなくて隣にいる原山がこのチームを作って、それが8年目でようやくこういう形になれた。フットボールが大好きでサッカーが大好きで、その中にフットサルがあった。諦めずにフットサルを頑張ってきてくれたこと、それが本当に素晴らしいんじゃないかなと思いますね。

▼この先もある、また新しい景色を求めて

原山英之 ボアルース長野・キャプテン

今シーズン、リーグ戦が始まる時、僕たちがこの位置に立つということは誰も想像してなかったと思います。選手たちもやっていく中で、自信に変わってきた部分がすごく大きいのかなと思いました。

柄沢監督を始め僕がケガしている間、先頭に立ってやってくれた9番の石関選手にチームを作ってもらったというのがキャプテンとしての感想です。基準というところで、僕たちの知らない世界を知っている石関が求めたものに対して、地域でやっていた選手たちがどれだけ食らいついていけるかというのが今シーズンこのチームがこういう結果になったという一番の成果というか、監督と石関選手で作ってもらったと思います。

最後みんなで最高の雰囲気でプレーすることができました。まだまだ続きますけど、ホワイトリングは改めて特別なところだなと今日試合をして感じることもできました。まだまだボアルースはこれからだと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

――チームができた当初から苦労があったと思いますが、この1年で確信に変わったような想いはありますか?

原山 僕がチーム設立当初からいる数少ないひとりとして、ボアルースを通じて新しい景色を見せてもらっているということが一番です。県リーグで優勝して北信越の入れ替え戦があった時も、北信越があまり定着をしていないこの土地で僕たちが行くことで僕たち自身も新しい景色が見えましたし、北信越で戦う中でも新しい景色が見えて、また全国に出れるようになってと、11個結果が出た時や次のステップに行く瞬間を県リーグから味わって今Fリーグという特別な場所に来ています。ボアルースに新しい景色を僕は見せてもらっていますし、応援してくれる人が増えていっていることも僕が一番感じていると思います。まだまだ長野ではフットサルは関東や関西と比べたらまだまだマイナーですが、Fリーグを盛り上げるには地域のクラブがどれだけフットサルを広められるかだと思いますので、まだまだこの先にあるまた新しい景色が見れるように頑張っていきたいと思います。

▼新しいスポーツクラブとしての形

――観客動員数が1,000人を超えているというのも新しい景色だと思います。

柄沢 感謝の気持ちしかありません。選手がピッチで全力で戦ってくれた、そのもの以外何もないと思います。

僕らはうまくないんですけども、一生懸命全力になってがむしゃらになって、たまにレフェリーに文句をいう時もありますが、それでも本当に勝ちたい、フットサルが大好きというその気持ちだけは日本一でありたいと思っていますので、一緒になって応援してもらえるとうれしいなと思っています。

原山 僕は設立当初、練習で4人しかいない中でやっていって、そのチームが今1,000人の前でプレーできるということは幸せだと思います。

僕たちは夜遅くに練習をやって、試合のためにもがいている選手もたくさんいます。なぜがんばれるかというと、ホワイトリングの景色が選手たちにとってかけがえのないものであると思います。僕たちはみなさんから逆に力をもらって日常を過ごせているのは、みなさんのおかげだなと改めて今日感じることができました。

うまいプレーは見せれないですけども、気持ちが伝わるような試合を、というのが設立当初から大事にしていることです。もちろんうまくなることは越したことないですけど、そういう気持ちの部分はしっかり伝わっていればいいかなと思いますし、感謝の気持ちしかありません。

――今シーズンで一番印象に残っている試合、その理由を。

柄沢 ふたつじゃダメですか?

ひとつは、1217日に行われたライバルチームのヴィンセドール白山とのアウェー戦です。白山は北信越で私たちよりも実績も経験もあるチームで、去年はチャレンジリーグで1回しか勝ってませんでした。ライバルとして、しかも12月9日の第12節に横浜に負けて石関が累積警告でいませんでした、その中での選手の成長、それが見えたことが大きい試合でした。

もうひとつは、やっぱり今日の最終節ですね。14名がベンチにしっかり入れて各選手が役割を持って、今あるべきものを全力でみんなが示してくれたので、その2試合は私にとって今シーズンの一番のゲームになります。

原山 僕はケガでほぼ外から見る時間が多かったシーズンですが、すべての試合を一人一人が全力でやっているのは感じていましたし、一人一人がもがいてチームのために頑張るというのは感じていたので、どれがいいかというとなかなか難しいですけど、今日勝って終われたということですね。

まだまだ至らない部分はあると思いますけど、逆転ができたというのは、みんながベンチに入ってみんながそれぞれ自分ができることを探して頑張っていた試合で、今日の試合が今年を締めくくる上ではとてもよかったなと思いますし、印象的な試合になったと思います。

――オーシャンカップで名古屋オーシャンズと戦い、日本最高峰を目の当たりにされました。これから上を目指すうえで課題は、感じたことは。

柄沢 課題はすべてですね。外部環境、内部環境、はっきり言って今の私たちと全く違います。

逆に私たちは仕事を一生懸命して、社員としてお世話になれてそこでボアルースの選手がある、ということをクラブとして大事にしています。すぐプロになってそれがすべていいという形ではなく、私たちはしっかりとした正社員として働く、その中にボアルースという選手がある。それが地域の人たちや行政の人たちに認めてもらうことによって、もしかしたら新しいスポーツクラブとしての形になって、11年積み上げて最終的には名古屋と同じ場面に立てるのかなと思っています。すぐにいい選手は獲れるかもしれませんけど、それがしっかりとできれば必ず勝てる日が来ると思います。

原山 名古屋と比べるとまだまだです。目指す場所ではあると思いますが、長野らしさ、長野でやるという意味がすごく大事だと思います。これから11つ、ハード面だったりクリアしていくことはもちろんですけど、長野という土地に好かれるようなチームを目指してできればいいと思います。

選手一人一人もまだまだF1でやるために日常を変えないといけなかったりという部分を今シーズン少しですけど感じれた選手も何人かいましたし、ベンチに入ったメンバーは少なからず今までとは違った自分を探せたのは上のチームがるからだと思います。ハード面以外でも個人個人が上を目指せるような気持だったり、考えになっていくことがまず大事かなと思います。

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