[全日本選手権決勝ラウンド準々決勝]町田がまさかの敗退!(2019/3/12)
バルドラール浦安。世代交代したチームはアルベルト リケル監督の指揮のもと随所で成長を見せてきた。
オーシャンカップ、Fリーグに次いで今大会で3冠を狙う名古屋オーシャンズ。その資格は間違いなくある。
9分、♯8ペピータが一発レッドで退場、しかも前後して失点した名古屋は劣勢を強いられた。
2-2で折り返した名古屋は後半2分、吉川が逆転ゴールを決める。
決勝ゴールとなるチーム4点目を決めた♯5星龍をたたえる兄の♯6星翔、♯15吉川ら。
パワープレーから1点差に迫るゴールを決めたキャプテン♯10加藤。
パワープレーを継続中に試合終了の笛を聞きガックリとうなだれる浦安の選手たち。
契約満了に伴い今季限りで退団が決まっているというルイジーニョ。試合終了直後にアリーナ席の観客から求められたサインに応じた。
JFA 第24回全日本フットサル選手権大会 準々決勝
2019年3月8(金)-10日(日) 駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
第1試合 名古屋オーシャンズ 3-2 バルドラール浦安
[得点経過]
0-1 01分 バルドラール浦安 20 野村啓介
0-2 11分 バルドラール浦安 11 宮崎岳
1-2 13分 名古屋オーシャンズ 10 ヴァルチーニョ
2-2 18分 名古屋オーシャンズ 11 ルイジーニョ
3-2 22分 名古屋オーシャンズ 15 吉川智貴
4-2 32分 名古屋オーシャンズ 5 星龍太
4-3 37分 バルドラール浦安 10 加藤竜馬
まとめ◆デジタルピヴォ! 山下
名古屋が6度目の優勝へ第一歩! 浦安あと一歩及ばず
第24回全日本選手権は、ご存知のとおり、名古屋オーシャンズが2年ぶり6度目の優勝を決めて幕を閉じた。この大会を準々決勝から振り返る。
F1の8チームが名を連ねたの準々決勝の第1試合。ディフェンディングチャンピオンの名古屋オーシャンズが苦しみながらも2年連続6度目の優勝へ向けて第一歩を刻んだ。
スコアを先に動かしたのはバルドラール浦安だった。
試合開始8秒、浦安は♯11宮崎のパスを受けて右サイドを突破した♯10加藤がシュート、これを♯20野村がファーで合わせて先制。さらに11分には名古屋の6つ目のファールで得た第2PKを宮崎がきっちり決めて0-2とした。
浮き足立った名古屋はファールを重ねたあげくに、8分には♯8ペピータが浦安の選手にヒジ打ちを食らわせ一発レッドで退場していた。
このまま混乱が続くかと思われた名古屋だったが平静を取り戻すのに時間はかからなかった。
13分に左コーナーキックからのリスタートを♯11ルイジーニョがダイレクトシュート、そのこぼれを♯10ヴァルチーニョが押し込んで1点差とすると、これを契機に、ルイジーニョ、♯15吉川、♯5星龍の4連続ゴールで形勢逆転。終わってみれば決勝ゴールとなった星龍のゴールは、事前のスカウティングから浦安のライン間が開くことを見抜いたうえでスペースへ侵入して放ったミドルのファインゴール。名古屋は苦しいなりにリズムを取り戻した。
逆に2点のビハインドを負った浦安は野村をゴレイロにパワープレーを開始。“ここで帰るわけにはいかない!”とばかりに意地を見せ、37分に加藤のゴールで1点差に迫るものの、追撃もここまで。昨シーズンにベスト4に進んだチームは準々決勝で姿を消した。
名古屋が翌9日の準決勝に駒を進めた。
2人の助っ人外国人アルトゥールとチアゴをケガで欠くシュライカー大阪は日本人選手だけで2年ぶり3度目の優勝を目指すことに。
2009年、FUGA MEGURO時代に全日本を制している、フウガドールすみだ。キャプテン諸江の不在は痛い。
自らのアシストで先制ゴールを決めた栗本を抱きしめる♯7ガリンシャ。
加藤のシュートのこぼれを♯10相井が押し込み大阪は同点にした。
フィクソとゴレイロの間のスペースを突いて稲田からのパスを呼び込みこの日2点目を決めた相井。すみだはゴール前での大阪のパスワークにほんろうされた。
シュートに行くガリンシャ。その動きは常に精力的だったがゴールはうみ出せなかった。
後半7分、ゴール正面から2-2とする同点ゴールをたたき込んだ♯23丹羽。
後半28分、♯23芝野が勝ち越しゴールを決める。この直後にすみだはパワープレーを開始した。
芝野のゴールの1分後、ゴレイロ♯21檜山のパワープレー返しが決まりピッチもベンチも歓喜が爆発した。
第2試合 フウガドールすみだ 2-4 シュライカー大阪
[得点経過]
1-0 05分 フウガドールすみだ 17 栗本博生
1-1 11分 シュライカー大阪 10 相井忍
1-2 19分 シュライカー大阪 10 相井忍
2-2 27分 フウガドールすみだ 23 丹羽脩人
2-3 48分 シュライカー大阪 23 芝野創太
2-4 49分 シュライカー大阪 21 檜山昇吾
日本人だけで戦う大阪が延長戦ですみだを振り切る
この試合、先制したのはフウガドールすみだだった。前半5分、大阪ゴールに迫ったガリンシャが、シュートと見せかけてゴール前へマイナスのパス。これを♯17栗本がきっちり決めた。
その後、シュライカー大阪が相井の2連続ゴールで1-2と逆転して後半へと折り返す。後半最初のゴールは、すみだの若手、丹羽が決めたもので、これで同点。
きっ抗した状態が続く中、7分後にボラがカウンターから左足シュート。枠をとらえたかに見えたがゴールのバーに嫌われる。ボラゴールへの期待の声がサポーター席から何度も飛んだが、応えられなかった。
その後、大阪が加藤をゴレイロにパワープレーに出るが勝負を決めるというより時間を削る印象。2-2のまま試合終了。試合は前後半各5分間の延長戦に突入した。
延長前半はともにノーゴール。迎えた後半3分、大阪が加藤の右からの折り返しをゴール前で芝野が押し込み勝ち越し。すみだは岡村をゴレイロにパワープレーに打って出るが大阪のゴレイロ、♯21檜山のパワープレー返しを食い、万事休す。
大阪が準決勝進出を決めた結果、名古屋vs.大阪という昨シーズンのファイナルのカードが今シーズンは準決勝で実現することになった。
立川・府中アスレティックFCは♯9宮田義人(前列右端)と♯11岡山洋介(後列右から4人目)が引退を決めている。
バサジィ大分はこの大会を最後に♯7原田浩平(前列右から3人目)と♯6狩野新(同4人目)が現役を引退する。
先制ゴールを決めた渡邉(左端)とチーム3点目を決めたマルキーニョ(右端)。
パワープレー返しでチーム3点目を決めた♯79酒井がベンチで手荒い祝福を受ける。
13年のF1キャリアに幕を下ろした♯6狩野新。お疲れ様でした。
ピヴォとして13年間奮闘してきた元日本代表の♯7原田浩平。お疲れ様でした。
第3試合 バサジィ大分 0-4 立川・府中アスレティックFC
[得点経過]
0-1 27分 立川・府中アスレティックFC 13 渡邉知晃
0-2 31分 立川・府中アスレティックFC 17 マルキーニョ
0-3 39分 立川・府中アスレティックFC 79 酒井遼太郎
0-4 40分 立川・府中アスレティックFC 13 渡邉知晃
大分の狩野と原田の活躍をもっと見たかった
この時期特有の“風景”が全日本の舞台にはある。現役引退を表明した選手の存在だ。バサジィ大分には狩野新、原田浩平の2人、立川・府中アスレティックFCには宮田義人、岡山洋介の2人がいた。立川・府中は岡山が2ndセットのメンバーとして谷本監督が名前をあげて褒めるほどの活躍だったが、もう1人の宮田は一度もピッチに立つことはなかった。でも、結果的にこの試合に勝利したことから宮田は次以降の試合でピッチに立つ可能性がある(事実、決勝戦で宮田は短時間ながら最強チームを相手にプレーしている)。
一方、終盤になって敗色濃厚となった大分の2人にとっては事実上、この日が文字どおり現役最後のF1の舞台となりつつあった。それを考えれば最後の花道をもっと早く用意してあげてほしいと思って見ていた。決していい試合とはいい難いこの試合で僕の取材のモチベーションは2人の活躍だった。しかし、2人がほぼ同時にピッチに立ったのは残り51秒で立川・府中の渡邉がチーム4点目となる第2PKを決めた後だった。そのときは、伊藤監督ってずいぶん冷たいなと思った。でも、試合後に考え直してみると、伊藤監督は4失点目を喫するまで、逆転勝利を信じて指揮をとっていたに違いない。短い時間、懸命にプレーする2人を見て、勝負は厳しいなとつくづく思った。
大分は立ち上がりからボールへの寄せがあまかった印象があった。それは後半になっても変わらず、立川・府中が勝負を決めにいった後半、立て続けに4失点。立川・府中の準決勝進出が決まった。
ヴォスクオーレ仙台は、♯8マテウス、♯29田中奨、♯99関尚登の3選手の契約満了に伴う退団を発表していた。
エース健在を身をもって示した森岡。反転から鮮やかにゴールを決めた。
後半開始27秒、荒牧のシュートパスをファーで押し込んだアランギタヒ。
PK戦で勝利を勝ち取りサポーター席に向かってガッツポーズする仙台のゴレイロ、税田。
第4試合 ヴォスクオーレ仙台 2-2(PK4-3) ペスカドーラ町田
[得点経過]
0-1 12分 ペスカドーラ町田 22 ダニエル サカイ
0-2 14分 ペスカドーラ町田 99 森岡薫
1-2 21分 ヴォスクオーレ仙台 12 アランギタヒ
2-2 29分 ヴォスクオーレ仙台 99 関尚登
[PKの経過](数字はゼッケン)
仙台 6/× 10/⚪︎ 13/× 99/⚪︎ 12/⚪︎ 14/× 18/⚪︎
町田 22/× 9/× 8/⚪︎ 20/⚪︎ 2/⚪︎ 99/× 19/×
ファン、サポーターの目に焼き付けるために
ペスカドーラ町田は準決勝の前日と当日にあたる3月7日と8日にクラブのホームページで以下の監督退任と4選手退団のニュースを発表した。
「No.18西村祐飛選手 退団のお知らせ」
「No.22ダニエルサカイ選手 退団のお知らせ」
「岡山孝介監督 退任のお知らせ」
「No.10中井健介選手 退団のお知らせ」
「No.20原辰介選手 退団のお知らせ」
これもこの時期の風物詩かもしれないが、でも、なぜこのタイミングなんだろう!? 戦いのメンタリティに悪影響を及ぼすことはないのだろうか。人気チームだけに気になる。不思議に思って問い合わせるとこういうことだった。
“選手がやめるやめないはすでに周知の事実なので悪影響はありません。(この時期の発表の意図は)今シーズンの全試合が終わる前に発表することでファン、サポーターが、やめていく選手のプレーを目に焼き付けることができますし、写真に残したり、試合後に話にいったりと、対応しやすいようにとの思いからです“
なるほど、そういうことだったか。
事実、僕のそれは余計な心配で、町田の立ち上がりは申し分なかった。
町田の猛攻の前に仙台は次々とファールを重ね、前半12分に町田に第2PKを献上、これをキャプテンのダニエル サカイがきっちり決めて先制。続く14分には、エース森岡が相手10m地点付近でパスを受けるとそこから強烈な反転シュートを決めた。攻守の軸となる2人の活躍に“余計な心配”は吹き飛ぶかに思えた。
ところが今季の仙台は昨年までのメンタルの弱さがうそみたいにたくましさを身につけている。前半は2点ビハインドで折り返すが後半開始直後に、荒牧のシュートパスをブラジル人助っ人、アランギタヒのファー詰めで1点差に迫る。
突き放したい町田だったが、4分に室田が一発レッドで退場するハプニングが起こり、減速。逆に9分に立川・府中から移籍し今季で契約満了が発表されている関が相手の自陣ゴール前でのクリアミスを見逃さず押し込んで同点とする。
試合は両チームともこのままスコアを動かすことができず、前後半各5分間の延長戦に入るがそこでも決着がつかず、PK戦に突入。3人で決まらず、7人目で仙台が町田を振り切り、立川・府中アスレティックFCとの準決勝進出を決めた。