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業務完全停止状態の中、イベント運営のプロが幼児たちと公園でボール運動! [コロナ禍を生きる]

3月のU-9・2019/2020決勝大会は無期延期になってしまった(写真は歓喜に沸く2018/2019優勝チーム)。

 

2020年6月12日
(PHOTO、TEXT・山下浩正)

 

新型コロナウイルス感染予防のための自粛要請の波は、フットサル界全体を巻き込んでいる。6月を迎えて先行きが見えてきたかに思えたところで東京アラートの発動。フットサル業界を支えているイベント運営会社は青息吐息だ。僕の身近でもフットサル業務に専念しているがために収入ゼロにあえいでいる男がいる。蹴五(40歳)。彼の体験を通してこの苦境を記録し記憶しておこうと思う。

 

メインの1つ、U-9決勝大会が無期延期に

蹴五が行っているフットサルイベントの中でメインとなるのがジュニア大会だ。

「関東圏からスタートした大会にいろいろな地域の方のお声がけや遠方からの参加(なんと沖縄からも!!)と、関東圏以外の予選開催につながりました。フットサルでのつながりの大きさに改めて驚かされた出来事のひとつでもあります」

「僕が運営している全国規模の小学生の大会は2カテゴリーあり、それぞれ年1回行っています。3年生が主役の、【U-9 LIBERDADE COPA Pivo! DE CAMPEÃO】。小学生生活のちょうど中間のこの年代に大きな大会があったらおもしいのではないか? この年代に手応えを感じ経験を積みたいコーチがいるのではないか? 高学年とは違った結果が出るのではないか? そう思いスタートさせた大会です。毎年3年生とは思えないレベルの高さや試合展開の妙に感動すら覚えています」

「もう1つのカテゴリーがU-12。小学生フットサル生活の集大成であり、小学生フットサル最強チーム決定戦! と銘打った、【DUELO Pivo! Jr Champion’s Cup】です。従来はバーモントカップ後に決勝大会を行う日程でしたが、予選大会に同カップ県代表チームが出場して負けてしまい決勝大会への出場がかなわないといったドラマもありました。

特に決勝戦の試合展開は見応えがあり実におもしろいです。毎年見る小学生の笑顔と涙が本当にいいですね」

直近の大会では、夏休みに予選と決勝大会が完結する、【DUELO Pivo! Jr Champion’s Cup】は順調に消化できた。

ところが、3月に決勝大会を行うはずの【U-9 LIBERDADE COPA Pivo! DE CAMPEÃO】は、予選を勝ち抜いたチームが決まっていながらコロナ禍で『無期延期』とせざるを得なくなった。ベンチ入りメンバーの削減をはじめ、お父さん、お母さんなどの応援・見学の禁止などなど、蹴五はギリギリまで対策に奔走したが、開催はかなわなかった。

「このほかに今季は、新しい試みとしてジュニアリーグもスタートさせました。U-11カテゴリーにオーバーエージ枠ありのリーグです。15分ハーフにタイムアウトありで1回参加で2試合できます。少しでもオフィシャルに近い試合環境を体験してもらいたい! フットサルレベルの底上げになれば! そう思い開設しました。参加者も運営サイドも同時に成長していくリーグを目指します」

しかしこれも第1回は無事終えたものの第2回を迎える前に休止せざるを得ないのだった。

現在の一般向け大会は【エンジョイ第一CUP】

「そんな状況下で、現在主催している一般向け大会は【エンジョイ第一CUP】のみです。初心者や女性が活躍できる大会を目指し様々なローカルルールを取り入れてます。また、たっぷり蹴れるのもこの大会の魅力です。参加者に好評をいただいていましたが一連の新型コロナウイルス騒動の影響で現在は休止中です」

「クリニックの主催は選手や施設から依頼を受けた場合に企画・運営しています。現在行っているのは基本的に次の2つです。

1つは、フットサル関東2部リーグのO-PAに所属の花田選手の【花田孝汰のレベルアップ教室】。こちらはフットサルに必要な考え方や頭のトレーニングも組み込んだ初心者や女性はちろん、上級者も参加できるクリニックです」

「もう1つは自分がコーチを務めている【超初心者クリニック】。これからフットサルを始める人や本当に始めたての人にお勧めのクリニックです。インサイドキックの蹴り方これで正しいのかな? 今更人に聞くの恥ずかしいなと思ってる人にもお勧めです。蹴る、止める、ドリブルを基礎から丁寧に教えます」

蹴五はまた、技術指導を行いたい選手と施設の相談を受けてクリニックのコーディネートも得意としている。コロナ後に向けて意欲のある選手、施設の方は気軽にご相談ください。

一方で、数年休止しているアマチュア最強フットサルチーム決定戦! 【Pivo! Champion’s Cup】についても再開に向けて準備をすすめてくれている。

「ピヴォチャンの冠スポンサーや協力者を探しています」

 緊急事態宣言と同時に収入ゼロに!

蹴五の活動業務の中には審判派遣がある。ちまたのフットサルコートで行われている1day大会への審判員の派遣だ。

「企業大会の審判依頼を受けることもあります。大会を企画したいけど審判がいないという悩みや大会運営会社の人手不足を解消する仲介業務です。また、夏季に一般向けのサッカー、フットサル合宿大会の運営委託を受けて毎年行っております。大会の運営、審判を行うことはもちろん、ゲーム等を組み込んだディナーパーティーを実施し参加者に楽しんでもらってます。

ジュニアチームから合宿の相談を受けることもあります。その場合は開催場所や数チーム合同で行える強化合宿を提案しています。

今年よりジュニア合宿大会を行う会場が決まっていましたがこれも中止にせざるえない状況です。来年こそは実現させたいと考えております」

このうち、コロナ禍で休業・休止を余儀なくされている職種はどれか? との問いに蹴五は、「まだ発展途上のフットサルHPの制作・運営業務、フットサルアパレルの企画・開発・販売以外のすべて」と答えている。

「すべての業務が止まっています。緊急事態宣言と同時にすべての業務停止になりました。また、それより前から大会の中止等を中心に売上や収入は目に見えて下がっていました。施設がお休みをしていることが一番の理由です。場所があったとしても大会に申し込んでくるチームがいないのが現実です」

「緊急事態宣言前に比べて、収入減というよりも、大小を問わず大会が開催できないことで、主催、運営としての収入を失ったことが一番です。大会が開催できないことにより審判派遣の収入もゼロとなりました。収入はゼロになったうえに、様々な支払いがありますので実際はマイナスです。生活の危機を感じました。サイドビジネスも考えましたが本業がある以上、いつでも再開をできる状態にいなければなりません。やれる仕事も限られました」

6月中に少しずつ再開したい

新型コロナウイルスの感染者数に減少傾向が見られる昨今の現状を蹴五はどう受け止めているのか。

「真剣にこの事態に向き合っている人が多くいる反面で全く意識の低い危機感を持たず仕事が休みで給料がもらえてラッキーと考えてる人もいます。終息はまだ先だと思いますし経済が回らず職種によっては廃業も深刻な問題です。第二波はあると正直考えてしまいますがそうはなって欲しくない! 悲惨な思いをしている人が多くいます。大切な人を失った人、築き上げたものがなくなってしまった人、追いかけてきた夢がかなえられなくなった人、目標がなくなってしまった人も多くいます。全員が同じ方向を向かないといけませんね!

例えば日本にはマスク文化が定着しています。ただここにも意識差があると思います。人目を気にして、しておかないと! と考えてしている人、マスクを何日も洗いもしないで使ってる人、うまくはいえませんが意識差はかなりかなと思います。自分を含め感染拡大阻止についてもっと真剣に考えていかないとダメですね」

一方で、希望的観測も込めつつ、自身が関わる業種の中に休業状態から再開へと変化の兆しが見えるものがあるか? との問いに蹴五はっきりとこう答えている。 

「残念ながらありません。耐えきれるか心配ですが、あえてあるとすれば、耐えることですかね」

そろそろ結論に入ります。今後について蹴五の思いを語ってほしい。

「世間の状況を見ながら6月に少しずつ主催イベントを始めて行きます。ただし、感染者が増えてきた場合にはすみやかに中止の判断をします。

大規模な大会については参加者の負担を一番に考えたいと思っています。

ジュニア大会であれば夏休み等の長期休暇が例年どおりあるかの確認や宿泊環境等の情報を得てからになります。今年は甲子園も中止、フットサルの全国大会も中止という発表も耳にしました。学生生活の集大成として真剣にその大会にそれぞれ懸けていた思いを考えるといたたまれません。

全国少年フットサル大会、バーモントカップも中止となりました。今年で小学校を卒業してしまう選手たちになんとか思い出の舞台をつくってあげたいです。

 

 (追記)

自分は現在、集合住宅にて暮らしています。ある日の出来事ですがエレベーターロビーで幼児が公園に行きたいと泣いて母親を困らせていました。知り合いの方でしたので話しかけてみました。聞くと幼稚園も休みでストレスがたまっているのだそうで本当に困ってるとのことでした。この日、公園もすでに一度行っているそうです。

お母さんもほかにもやることはいっぱいあるし子供のパワーにはついていけずに疲れきっているとのことでした。

自分でよければ公園で遊ぶの付き合いますよと声をかけたのがきっかけで幼児と次の日ボール遊びをすることになりました。そして当日、予期せず3名が来ました。これがスタートとなり公園でのボランティア活動としての幼児たちとのボール運動が始まりました。

幼児たちは意外でしたが自分の指導に耳を貸してくれるようになり今ではコーチって呼んでくれます。

ボールの扱いにも成長が見られ今では楽しんでやってます。少しずつ人数が増えてるのが気になりますが……。(蹴五)

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