デジタルピヴォ! プラス

無料:F.S.TAITO vs. frontier Z・フォトレポート [東京都3部第2節]

 

2021年8月29日(日) 駒沢屋内球技場  
(PHOTO、TEXT 山下浩正)

第17回東京都フットサル3部Aリーグ2021 第2節
F.S.TAITO 2-2 frontier Z
[得点経過]
1-0 6分 F.S.TAITO #6 Luciano
1-1 13分 frontier Z #9 田中琢也
1-2 14分 frontier Z #18 中田守
2-2 15分 F.S.TAITO #2 斧山翔

 

練習場所としてもっぱら東京・錦糸町、東陽町の施設を使っているfrontier Z。

 

その名のとおり東京・台東区をホームタウンとして活動している、F.S.TAITO。

 

人間味あふれるゴレイロの声がけ

第3試合の後半のことだった。ホームチーム、F.S.TAITOのゴール寄りコーナーアーク付近でカメラを構えていた記者の目の前でそれはあった。frontier Zの元気印、#9田中琢也が体ごとシュートに行き勢い余ってF.S.TAITOのゴールポストに突っ込んだのだ。丸い樹脂製のゴール枠とはいえ体を激突させれば痛い。ズレたゴールを元の位置に戻しつつその場に倒れ込んだ田中の具合を確認するためレフェリーが試合を一時ストップ。田中は骨やじん帯に異常ないとみえて立ち上がるとレフェリーに促されて一旦ベンチへと戻ることに。そのときだ、それまで田中にいたわりの声をかけていたF.S.TAITOのゴレイロ、石川智大が田中にこう言った。「もう帰ってこないでね」。これには田中もおもわず苦痛から笑顔になったし記者も笑ってしまった。なんて人間味のある声がけなんだ。

後半最初にチームを1-1にする迫力満点の同点ゴールを決めた田中。彼のゴールはゴールラインぎりぎりまでドリブルを仕掛け寄せてくるゴレイロの頭上を射抜いてみせた。ゴレイロにとっては屈辱的な決められ方だ。そして今また体ごとファー詰めしようとする田中を石川はパワフルなゴールハンターとして恐れていたのだろう、その声がけは冗談半分に聞こえたが本音が込められていたに違いない、、。激しい試合だった。両チーム気持ちのこもった一戦だった。その中で石川のそれは心洗われる一服の清涼剤だった。

試合は、前節(開幕節)CRR conceptに0-2で敗れ何としても勝利が欲しいF.S.TAITOは強力な新戦力ふたり(#2、#6)を含むセットを先発させた。一方、今節が初戦で開幕ダッシュをかけたいfrontier Z。お互い一歩も引かない戦いを展開したが勝利への強いこだわりが空回りした部分があったか、2-2のドローに終わった。ここからはfrontier Zの井上監督によるチーム紹介とともに、両者の激闘を写真で振り返る。

 

frontierZ 井上靖章監督

 

2015年結成、2020年東京都3部リーグ昇格

Pivo! frontier Zはどこをホームとする、どんなチームか?

井上 結成は2015年で、東京都大学リーグに参戦(2006-2014)していたfrontierのメンバー(OB)およびその友人に集ってもらい、社会人チームとして発足したことがきっかけです。2015年から2018年の4年間はオープンリーグ、2019年にチャレンジリーグで2位となり、2020年から3部リーグに所属(昨年度は2位)しています。練習場所は錦糸町、東陽町の施設が多いです。

他のチームでもよくある話とは思いますが設立後はそれぞれがよく知った友人を勧誘する形で加入してもらい、今の構成になっています。

初期メンバーでワンデー大会に出たときにうちのメンバーがそれとなく(当時全く顔見知りではない)相手チームにいた選手を勧誘し加入したのが#6浅川で、彼と同じサークルにいた#10越後、#17稲田も同時期に加入し、その他の初期メンバー#2石川、#11久保、#12水野、#15井上(わたし)らとともにチームをけん引しています。

3年目の2017年に加入したのが#4中井、#7柴田のエルレイナ組、
3部に昇格した2020年に#5竹川、#8金島、#9田中、#18中田、#21岡田、今年新たに#19高野、#20井浦の2人が加入し、実働16名で戦っています。#5、#8、#18、#19、#21は過去BRBでプレーしていた選手たちで経験豊富です。これまでの7年弱でチームを去った選手もいますが、かかわった全員の頑張りで、楽しみながらなんとかここまでのチームになってきました。

Pivo! 一見するとドリブラーが多いチームと感じるが、特徴としてはどんな点が挙げられるか?

井上 平均年齢30歳前後で大学リーグ、都県リーグとフットサル経験豊富な選手が多いです。戦術的な動きで連動しながら相手を崩してゴールを奪うセットと、速い球回しと個人スキルで相手を崩していくセットを使い分けて戦いたいと考えています。中心となる選手はいますが、登録メンバー全員が主力と考えており、メンバー全員が何かしら個性、強みを持っています。この質問をみて、監督としてはドリブルでの仕掛けるなど、選手の個性、強みをもっと試合で引き出さないといけないな、と思いました。

Pivo! どこからでもドリブルを仕掛ける#18、体ごとゴールに押し込もうとする肉弾派の#9(ホントにゴールに体当たりしましたね!)など、個性的な選手が多く見受けられるが、監督から見た彼らの個性は?

井上 #18中田は都1部、関東2部でもプレー経験があり、スキル、戦術眼、統率力があり、#10越後(開幕不在)とともにチームの中心です。チームとしては彼がバランスを取るのではなく、仕掛け重視でゴールに近い位置でプレーできるようにすることが大事と考えます。

#9田中は開幕戦で豪快な1点目を挙げてくれましたが、ゴール前でのたぐいまれな決定力を持っており、難しいキーパーとの1対1を冷静に決める力があります。チーム内ではフィジカルトレーニングの仕切り担当をしており、彼のフィジトレを皆が楽しみに練習に来ています。

Pivo! F.S.TAITO戦を振り返って、井上監督兼選手としてどんな感想を持ったか?

井上 今年度は開幕まで時間があったこともあり、かなり精力的にチーム強化してきた自負があります。ですが、普段の練習、TRMでどれだけ緊張感を持って取り組んでも、公式戦特有の雰囲気があるなと思いました。それかまだまだ足りないということなのかもしれませんが。

コロナ禍で何度も公式戦が延期になってきましたので、選手はモチベーション維持が難しかったと思いますが、頑張ってくれてましたし、勝ち点3は獲れなかったですが、負けなかったことを前向きにとらえて残りの試合、リーグ優勝に向けて準備していこう、という気持ちになりました。

Pivo! 今季開幕戦で手にした成果と課題を。

井上 経験豊富な選手たちではありますが、公式戦の雰囲気の中でうまくいくこと、思いどおりにならないことをこのメンバーで経験したことは1つの成果と前向きにとらえています。監督として試合の中で必要に応じて戦い方の修正を適時行うことは課題と感じました。何もする必要がない試合なのが一番楽ではありますが。

Pivo! 最後に、2-2のドローに終わった結果をどう受け止めている?

井上 台東さんは個人能力が高い選手も多く、チームとしてまとまってやるべきことをやっており、勝ち点3を獲れなかったことは悔しいですが、我々は次に向けて切り替えています。

チームの方向性は変える必要は無いとは思っていますが、勝てなかったことについてその原因を分析しつつ、引き続きチーム強化をしていきます。

 

試合は序盤、frontier Zが押し込む形で始まった。

 

プレス回避からドリブル突破を図るF.S.TAITO#2斧山。そうはさせじと止めに行くfrontier Z#18 中田。

 

その中田が縦突破! 立ち上がりから明らかに先制ゴールを狙いに行っている!!

 

その後は5分間ほど厳しいトランジション合戦となる。

 

じっと戦況を見守るF.S.TAITOの高森純監督。
最初にスコアを動かしたのはF.S.TAITOだった。前半6分、今節初出場の新戦力#6Lucianoがショートカウンターからゴール前へ持ち込む。そして右を並走した#10増田浩史にパス、シュートと見てディフェンスが食いついたところを増田がリターン。

 

Lucianoが右足を小さく振ってゴールネットを揺らした。

 

盛り上がるベンチ!

 

Lucianoを中心に歓喜の輪をつくるフィールド。

 

その7分後の後半2分、frontier Zは先述のとおり#9田中のスーパーゴールで同点に追いつく。殊勲のゴールのあと自陣へ戻る田中(すみません、肝心の写真撮り損ねました!)

 

さらにfrontier Zはその1分後、PKを#18中田が決めて1-2と突き放す。

 

中田に駆け寄る選手、が先ほどの田中です!

 

しかし戦いはこれだけで終わらなかった。ゴール右、角度のない位置からF.S.TAITOのシュートがfrontier Zゴール左上の神ゾーンに突き刺さる!

 

ゴール右から姿を現した選手、これがゴールを決めた#2斧山だ。

 

歓喜の輪の中心で“新人”らしくはにかむ姿が初々しい。だが決めたゴールの価値はこの日一番だったかもしれない。
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ