久保憲司のロック・エンサイクロペディア

この美しい夕日さえあれば、生きていける ・・・ヴェルヴット・アンダーグラウンド「サンデー・モーニング」/キンクス「ウォータールー・サンセット」 【ロック、こんなことを歌ってます】 (久保憲司) -2,642文字

前回のルー・リードの「サテライト・オブ・ラブ」「ニュー・エイジ」は実は前振りのつもりだったのですが、えらく好評でうれしいです。

ザ・モーダン・ラヴァーズはオタクのバンドで、ルー・リードがそういう歌を一番最初に歌った人です

ルー・リードの代表曲の一つに「サンデー・モーニング」という曲がありますが、みなさんどういうことを歌っている歌か知ってますか?という感じで始めたかったんですが、「サテライト・オブ・ラブ」で熱く語ってしまいました。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(紙ジャケット仕様) 「サンデー・モーニング」というのは「日曜日の朝、天気がよくて気持ちいいな」という感じに聞こえます。確かにこの曲はヴェルヴェッド・アンダーグランドでは珍しくロスで録音されたからかもしれませんが、そんな歌じゃなく、金曜日から日曜日の朝まで遊び惚けて、ベッドで自堕落に惚けているという歌なんです。みなさんもこういう経験ありますよね。ぼくも10代、20代の頃はそんな感じでした。

この曲のオチは、“友達は「そんな生活していると、将来大変なことになるで、気をつけや」と言うけど。イッツ・ナッシング・アット・オール(たいしたことないよ、どうでもいいよ)”と歌っているのです。

よろしいですな。「ティファニーで朝食」の感じですね。たぶん、この歌は「ヒット曲作らなあかんで」と言われて、ルー・リードはキンクス「ウォータールー・サンセット」みたいな曲書いたらヒットするんじゃないと思って書いたんだとぼくは思います。

 

 

Something Else: Deluxe Edition
「ウォータールー・サンセット」も「サンデー・モーニング」と同じようなことを歌っています。素晴らしい歌詞です。

ウォータールーというのはロンドンのテームス川の近く、ロンドンの中心にあると場所で、通勤時には郊外からロンドンに来る人たちで人がせわしなく歩いています。ウォータールー駅に向かっているんですね。
一番で主人公は忙しく歩く人たちを見ながら、自分は置いてけぼりを食らっているような感覚を味わいながら、「ぼくは気にしない、ウォータールーで夕日を浴びていたら、パラダイスのような気分になるから」と歌うのです。でも、オチはこの主人公、部屋から出てないんですよね。

毎日、ぼくは窓から世界を見ているんだ

引きこもりですw

2番は、彼の友達、テリーはジュリーと毎週金曜日ウォータールー駅で会うと歌われます。花金ですもんね。デートです。主人公はちょっとうらやましいでしょうね。でも、“ぼくは怠け者なんだ。ぼくは家にいる。でも、不安じゃないよ”と歌います。

 

 

続きを読む

(残り 1645文字/全文: 2697文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: Diane Keaton Lou Reed Roxy Music The Kinks The Modern Lovers The Velvet Underground

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ