久保憲司のロック・エンサイクロペディア

ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズの「チャイニーズ・ロックス」は、リチャード・ヘルとディー・ディー・ラモーンがつくった(久保憲司) 【ロック、こんなことを歌ってます】

 

L.A.M.F. - The Lost Mixes

 

前回の続きというわけじゃないですが、ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズの「チャイニーズ・ロックス」です。

 

 

この曲はジョニー・サンダースの持ち曲みたいになっていますが、作ったのはラモーンズディー・ディー・ラモーンリチャード・ヘルです。

ディー・ディーがリチャード・ヘルに「こんな歌詞書いたんだけど、どうもサビが思いつかないんだよね」と相談したら、リチャード・ヘルが

“俺はチャイニーズ・ロック(ドラッグ)で生きている。俺の大事なものは全部質屋にある”

という、ルー・リードの「ヘロイン」の名フレーズ“ヘロインが俺の人生、俺の奥さん(伴侶)”に匹敵するサビを考えた。

ロック・スターが質屋って、最高でしょう。リアルで。

 

 

ディー・ディーはラモーンズに「チャイニーズ・ロックス」を提出したんですが、ギターでバンド・リーダーのジョニー・ラモーンが「ラモーンズにはドラッグ過ぎる。イメージに合わない」と却下した。

 

 

ラモーンズには「ナウ・アイ・ワナ・スニフィン・グルー」という最高のドラッグ・ソングがあるんですが、シンナーはオッケーだけど、ヘロインはハード過ぎる、リアル過ぎるということなんでしょう。笑いますね。質屋ですからね。

僕がウィリアム・バロウズ風に書きますと。“ヘロインよりシンナーの方が完全に頭おかしくなったり、体悪くするよ”と思いますが。

そういう話じゃないですね。

ジョニーがラモーンズに考えたコンセプトはチンピラということだったのです。英語でいうとギャングです。今はギャングというとマシンガンぶっ放すというイメージがありますが、1975年はまだ不良ということですね。そこにヘロインは合わないということなのでしょう。もちろん、反ルー・リードという意味もあったでしょう。

次回はこの辺のことを書きたいと思います。リチャード・ヘルの「ブランク・ジェネレーション」やセックス・ピストルズの「プリティ・ヴェイカント」がどういうことを歌っているのか、パンクというのがどういうカルチャーなのかというのが分かると思います。

「ナウ・アイ・ワナ・スニフィン・グルー」は最高の歌詞です。

シンナー吸いたい。
やりたいことがあるんだ。
キッズはシンナー吸いたいんだぜ
キッズはやることあるんだぜ。

というたった4行の歌詞。どんだけ頭悪そうやねん。でも、ロック史に残る歌詞ですよ。この題名からイギリスの初のパンク・ファンジン「スニフィン・グルー」は生まれたのです。

 

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