久保憲司のロック・エンサイクロペディア

【世界のロック記憶遺産100】 シンプル・マインズ “Sons And Fascination” ・・・メインストリームに流れる前の音楽って、本当に斬新で過激 (久保憲司)

Sons & Fascination / Sister Feelings Call

 

前回の「世界のロック記憶遺産100」ウルトラヴォックスの『システム・オブ・ロマンス』はポスト・パンクの頂点と書いたら、けっこう評判よくって嬉しかったです。でも、おっさんばかりに受けているようで気になります。若い人たちにあの音が今も通用するか、とっても気になるところです。

『システム・オブ・ロマンス』にもうすこしPIL『メタル・ボックス』の音を足していけば、今風になるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう? いやゲスの極みとかSEKAI NO OWARIとか足さないとダメなんでしょうね。どんな音になるのでしょう。うーん、あんまり興味ないです。でもそんなことじゃいけないんでしょうね。研究したいです。

混ぜると危険なことよりも、ウルトラヴォックス脱退後にリリースしたジョン・フォックスのソロ『Metamatic』の方が今風ですかね。

 

 

テーム・インパラ風にならないですかね。当時僕らでも買えたティアックの4トラックのカセット・デッキに録音した宅録の見本のようなアルバムです。リズム・マシーンとARPのシンセサイザーなどでコツコツと録音したんでしょうね。ベースが生というのもいい感じです。先日当時はやれなかったことを完コピしようと音楽ソフトのロジックに取り込んでコツコツ音を入れていこうかと思ったら、オリジナルがカセットだったからか、テープがのびていて、ビートも音程ものびていて、びっくりしました。カセットに録ったのをマスターに落としたと思うのですが、初めにピンポン録音しまくってたのですかね、そのチープさにぶったまげました。こんなのが史上最高の音と思っていたのですから、もう少し僕も頑張れば手が届いたかもしれません。そんなことはないか。キックの音とか今聴いても最高ですね。

 

さて、『システム・オブ・ロマンス』のことを書いたら、やはりもう一つのポスト・パンクの頂点を書かないといけない衝動にかられてしまいます。シンプル・マインズ『サンズ・アンド・ファシネーション』です。

 

 

「シンプル・マインズは「ドン・チュー」じゃないの!?」というおっさん、おばはんの声が聞こえてきそうですが、シンプル・マインズはブレイクする前にすごいアルバムを作っていたのです。

 

 

Once Upon a TimeU2の名作『焔』に多大な影響を与えた『黄金伝説』、もしくは「ドン・チュー」が入っているスタジアム・ロックの完成系『ワンス・アポン・ア・タイム』かスティーブ・リリーホワイトとスタジアム・ロックを作った『スパークル・イン・ザ・レイン』じゃないのという声が聞こえてきそうです。

が、違うんですよ。シンプル・マインズの最高傑作は「サンズ・アンド・ファシネーション」なんです。『ワンス・アポン・ア・タイム』『スパークル・イン・ザ・レイン』みたいに弱ちくないんです。電気グルーヴの石野卓球ともこの話で盛り上がりました。分かっている人は分かっているんです。

Sparkle in the Rain 『システム・オブ・ロマンス』も『サンズ・アンド・ファシネーション』もプロデューサーがクラウト・ロック系なんです。システム・オブ・ロマンス』はクラウト・ロックを作ったコニー・プランク、『サンズ・アンド・ファシネーション』はゴングスティーブ・ヒレッジです。あの気が弱そうなスティーヴ・ヒレッジがこんなコニー・プランクも真っ青なハードなサウンドを作れるかというのにびっくりです。

ポスト・パンクに多大な影響を与えたのがドイツなクラウト・ロックや、それに影響されていたイーノなんかのアート・ロック周辺の人間たち、僕はこの頃こう言う人たちをどうせヒッピーだろとイーノ以外は敬遠していたのですが、実にとっても大事な音楽なんですね。後はホークウインドとか。そして、後はセンセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドなどのシアトリカルというかミュージカルな人たちですね。

 

 

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