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久保憲司のロック・エンサイクロペディア

中二病の名作、ピンク・フロイド 『ザ・ウォール』 ・・・お前らがそんなんだったら、俺は俺の周りに壁を作ってやる (久保憲司) 【ロック、こんなことを歌ってます】

Wall (Remastered Discovery Edition)

前回の“ロック、本当はこんなこと歌っているんですよ”でオアシスにとってピンク・フロイドの『ザ・ウォール』はとっても重要なアルバムと書きました。

えっ!?、て感じの人が多かったと思うのですが。

 

 

狂気 対象商品 ピンク・フロイドは『ザ・ウォール』の前に『狂気』というバカ売れしたアルバムを出しています。これが70年代、80年代、90年代と聴き継がれたアルバムなんですが、なんで聴き継がれたかというと、初めてマリファナを吸うときに聴くアルバムということだったのです。

プログレの人からは怒られると思いますが、『狂気』はそういうアルバムなんです。『狂気』は、ちょっとバカにされるアルバム、初めてオナニーをしたエロ本みたいな恥ずかしいアルバムなんです。

今もそうなのか、ちょっとわからないないですが、でも、たぶん、今も一緒だと思います。窓を閉めて、絞り染めの布を張って、お香を焚いて、ピンク・フロイドの『狂気』を聞く、そうすると悟ることが出来る・・・なんてね。

『狂気』って、人はなぜ気が狂うのかということを考察したアルバムなんで、悟りとか関係ないです。

狂気の原題である『ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン』の意味は、本当だったら見えない部分が見えてしまった人、気が狂ってしまった人ということなのです

気が狂ってしまったメンバーを持つピンク・フロイドにとって、気が狂うということはとっても大事な問題でした。なぜシド・バレットは気が狂ってしまったのか、なぜ僕たちは彼を助けることが出来なかったのか?この思いが彼らに『狂気』というアルバムを作らせました。

メンバーにとってはそんな切実なアルバムなのに、海外ではハッパ吸って、別世界に連れって行ってくれるアルバムとずっと思われてきた不幸なアルバムなのです。

このバンドの苦しみとお客さんの能天気さのギャップが、『ザ・ウォール』を生みます。

 

Wish You Were Here その前にピンク・フロイドは『炎〜あなたがここにいてほしい』という名盤を出します。誰にいてほしいかというと、気の狂ったメンバー、シド・バレットにいてくれたらなと願うアルバムです。

なぜ願ったかというよと、『狂気』がバカ売れして、ピンク・フロイドはアンダーグラウンドのバンドから、一躍メジャーなバンドとして、レコード会社とのトラブルに巻き込まれていくわけです。ジャケットでビジネスマンが握手して燃えているのはまさに彼等の気持ちそのままなのです。「葉巻はいかが」という名曲がありますが、葉巻=ビジネスマンの象徴、セル・アウトしろということなのです。

『炎〜あなたがここにいてほしい』は、こういう状況を打破してくれるのはシド・バレット、お前しかいないよと願うアルバムなのです。

Animals (Remastered Discovery Edition) 次のアルバム、『アニマルズ』で民衆よ立ち上がれと願ったりするんですが、バンドはどんどんと袋小路にはまっていきます。

お客は俺たちのことをわかってくれない。そりゃそうです。お客の大半はハッパでも吸って、とぶのに最高くらいしか思ってないので。そんな客にリーダーのロジャー・ウォーターズはツバを吐いたりしました。『アニマルズ』の頃は時代はパンクで、お客はツバを吐きまくってましたが、アーティストでツバを吐く人はいなかったです。ジョニー・ライドンもジョー・ストラマーもツバは吐かなかったです。ジョニーはよくステージで鼻水を飛ばしてましたが、お客さんにはかからないようにしてました。唯一シド・ヴィシャスがお客をベースで殴りましたが、特殊な例ですね。

ロジャー・ウォーターズは『アニマルズ』のあの空飛ぶピンクのブタからクソが出て、お客にかけたいという衝動に駆られたそうですが、そんなことやったらお客さんから怒られるので、壁を作ることにしました。

これが『ザ・ウォール』というアルバムです。

 

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