久保憲司のロック・エンサイクロペディア

イギー・ポップの新作『ポスト・ポップ・ディプレッション』 ・・・砂漠には何かがある。それこそがアメリカの本当の姿だ [今週のヘッドハンター] (久保憲司)

ポスト・ポップ・ディプレッション
アメリカの聖地ユシュア・トゥリーにある砂漠のスタジオRancho De La Lunaに降り立ったイギー・ポップの新作『ポスト・ポップ・ディプレッション』が素晴らしい。これこそイギー・ポップのアルバムだと言える傑作に仕上がっている。

 

 

Lullabies to Paralyze イギー・ポップはなぜもっと早くクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュ・オムにプロデュースを頼まなかったのだろう。アークティック・モンキーズは何年も前にジョシュ・オムと共にのRancho De La Lunaで録音しているのに。アメリカの淫獣魔人がなぜ今までアメリカの聖地ユシュア・トゥリーの砂漠のスタジオでアルバムを作らなかったのか。まっ、イギー・ポップって都市の人ですから「砂漠に何があるねん」と思っていたんでしょう。

U2も『ヨシュア・トゥリー』という名前の傑作アルバムを作ってますが、本人たちも写真家のアントン・コービンにヨシュア・トゥリーに連れて行かれても、「何で砂漠で撮影なん」と思っていた。U2をビッグにしたアメリカ音楽を探す旅はヨシュア・トゥリーから始まったのだみたいな顔をしていますが。

これも仕方がないすよね、パンク世代にとってヨシュア・トゥリーとか全然わかんないと思います。僕もキース・リチャーズグラム・パーソンズとヨシュア・トゥリーの岩に登ってハッパを吸いながらUFOを見ていたのを、「このクソヒッピーがと何してんねん」と思っていました。

 

 

U2でヨシュア・トゥリーのことを思い出し、僕もヨシュア・トゥリーに行きたいなとと思って何年かが過ぎた頃、ヨシュア・トゥリーの砂漠から突然すごいバンドが出てきた。そのバンドはカイアスと言って、砂漠に発電機持ち込んで、ライブというか、レイブのようなパーティーをしていた。アメリカだからレイブというか、サマー・オブ・ラブの復活のようだった。カイアスの音はストーナー・ロックと呼ばれる音楽だが、僕にはグレイトフル・デッドのようなヒッピーの全盛期のような音楽に聞こえた。

 

 

もちろん、普通のライブハウスでは絶対やらないと言う姿勢を貫きとおしたフガジもカイアスは通過している。もちろんグランジも。

 

 

そしてカイアスはクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジとなってヨシュア・トゥリーの砂漠と共に伝説となっていったのだ。

Heart On クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ、イーグルス・オブ・デス・メタルは生きるアメリカの伝説ですよ。そこにもう一つの生きるアメリカの伝説イギー・ポップが交わる。いい作品が出来ないわけがない。しかも両者ともアメリカの音そのものと言っていいバンドだ。

アメリカの音とは何か、それはジャズであり、ブルースであり、ロックンロールである。なぜこのような音楽がアメリカで生まれたか、アフリカの音楽とヨーロッパの音楽が新大陸で出会って……その通りなのだろう。でも、アメリカで生まれた音楽にはそれ以上の魅力が僕にはあるように感じられる。

僕の妄想だが、アメリカ大陸にはヨーロッパ人が来る前、いや、インディアンが来る前から、何か邪悪なものがいた。それがこんな変な音楽を作らせているのだ。

 

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