久保憲司のロック・エンサイクロペディア

JAY-Zの「Empire State of Mind」の凄いオチ ・・・ギャング・スター・ラップとは違った普通の兄ちゃんのラップ (久保憲司)

Blueprint 3

 

9月5日アップの「今週のヘッドハンター」で、今一番のラッパーはチャンス・ザ・ラッパーと書いたが、キング・オブ・ラッパーはJAY-Zだろう。詩人としても世界1だと僕は思っている。

 

 

一般的には彼の最高のラップは“99男が悪く、1つも女は悪くない”という「99プロブレム」だと思われている。全部俺が悪いんだという泣きの男気ラップ、完全にヤンキーですよね。不良の兄貴というところがJAY-Zの一番の魅力だと思います。ヘヴィーなギターをフューチャーしたリック・ルービンのプロデュースもかっこいいです。

 

僕は彼の頂点は自分の人生を振り返る「Empire State of Mind」だと思います。これがラップ至上最高の詩だと思うんですけど、どうでしょう。出だしから最高すぎます。

 

Yea, yea I’m out that Brooklyn, now I’m down in Tribeca Right next to DeNiro, but I’ll be hood forever.
I’m the new Sinatra, and, since I made it here
I can make it anywhere, yea, they love me everywhere

ブルックリンを出た俺も、今じゃ住んでいるのはトライベッカ、ロバート・デ・ニーロの店の隣さ。
でも、ブルックリンのことは一度も忘れたことはない。
俺は新しいフランク・シナトラ。
ここに来てから、俺はなんだって出来る。みんな俺のことが好きさ。

 

かっこよすぎでしょうね。自分のことを新しいシナトラというのはどうかと思いますが、この歌はすごいオチがあるんで、ここは我慢してください。

で、この後、自分がマンハッタンに出てくるまでどういう生活をしていたかこと細かに歌われます。

ハーレムのマクドナルドでドミニカ人からマリファナを仕入れて、ブルックリンで売る。仕入れたマリファナを隠していた場所は560 State Street Boerum Hill, Brooklyn。植え込みとか建物の隙間に隠していたんでしょう。なかなか最下層のドラッグ・ディーラーです。よくここまで来たなと思います。

1番ではマリファナを売っていたのが、2番では売るものがクラックになっていて、状況は厳しくなっているのかがうかがえます。

 

 

続きを読む

(残り 1893文字/全文: 2916文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

tags: Chance The Rapper JAY-Z

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック