【世界のロック記憶遺産100】 ピクシーズ「サーファー・ローザ」 ・・・物語が終わってしまったと言われた90年代にふさわしい曲だった (久保憲司)
【今週のこれを聴け】 The XX 『I See You』 で、The XX はニュー・オーダーとクリス・アイザックとディス・モータル・コイルのとんでもないリヴァーヴに、男女デュエットを足したものと書きましたが、男女デュエットといえばピクシーズ、The XX にはニュー・ウェイブから始まった独特な男女デュエットの系譜があるというのを書き忘れてました。
日本はカラオケ文化があるのでまだ男女デュエットというマーケットがあるような気がしているのですが、海外はあまり男女デュエットの名曲が少ないですね。日本もバービーボーイズ以降ないですが、そろそろ狙い目だと思うのですけど、そこに目をつけたThe XX の目利きは鋭いと思います。
海外で一番有名なのはソニー&シェールの「I Got You Babe」でしょうか?歌っていることはThe XX の「Dangerous」と一緒、周りが二人の関係をとやかく言うけど、俺たちなんとかやっていくからほっといてくれよという歌です。
The XX のデュエットの魅力は女性とゲイの男の子が歌っているところがいいんです。なんか絶対結ばれない感じが。こうしたゲイと女性ヴォーカルが一緒にやった一番最初といえばB-52’sです。この違和感がいいんです。ジョン・レノンが初めてラジオで彼らを聞いた時、「ヨーコの声と一緒だ。ヨーコの時代がついに来た」と現場復帰を決意するんです。
ジョン・レノン、なんだかんだ言いながら自分のセールスが落ちていたことにショックを受けていたんでしょうね。だからこういう理由がないと復帰出来なかったんでしょうね。
B−52’sもおかしいですけど、ジョン・レノンとヨーコさんのカップルもおかしいといえばおかしいですよね。ゲイと女性のカップルではないですけど、どこかお母さんと息子のカップル、こちらも相思相愛のようで絶対結ばれてはならない距離感みたいなのがありますよね。
外国のデュエットおかしいです。なんで普通に恋の歌を男女で歌わない?いやそういう時代じゃなかったのですよ。男女同権というか、恋の歌とか歌ってられないということだったんだと思います。
恋の歌なんて何千年と歌われてきたんだから、新しいことを求めるアーティストたちが新しい関係を歌いたいと思うことは当たり前というか、冒険すべき題材なわけです。
マッキーさんの歌もそうでしょう。「もう恋なんてしない」「世界に一つだけの花」をこれはゲイの人の気持ちを歌っている歌かと思えば、元気をくれる以上に重みを持った歌として、もっと輝きだします。
ピクシーズがなぜ男女ヴォーカルにしようとしたのかはなぞですが、昔ロッキング・オンがピクシーズがデビューした時、ゲイでもないブラック・フランシスを太っているというだけで、デブ専だと煽ったため、初ライブには太ったゲイの方たちが、受付で恥ずかしそうに「渡しておいてもらえますか」とプレゼントを置いて、ささっと帰っていく姿はなかなか微笑ましいものがありました。
海外ではデブ専というマーケットがないので(あるのでしょうか?調べときます)、は「なんでやねん」とびっくりしたことでしょうが、あれはロッキング・オン中本浩二くんの仕業でした。完全に間違っていますが、今、The XX を聞いているとなんか中本くんが感じていたことって、あながち間違っていなかったと言う気がします。
違う違う、僕が言いたかったのは男女デュエットの最高峰はピクシーズだった、と言うことです。
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tags: John Lennon Pixies Sonny & Cher The B-52's The XX Yoko Ono 槇原 敬之
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