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久保憲司のロック・エンサイクロペディア

【世界のロック記憶遺産100】 YMO『テクノデリック』 ・・・日本のロック名盤ベスト10の第1位は、「世界の果て」に行こうとしたこのアルバム (久保憲司)

 

今週のヘッドハンター、マック・デマルコ”で、細野晴臣さんの『HOSONO HOUSE』が日本のロック名盤ベスト10に入ると書きましたが、1位はYMOの『テクノデリック』だと思ってます。YMOだったら普通は『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』じゃないのとほとんどの方が思われるんだと思うんですけど、僕にはあの辺のアルバムはフュージョンすぎるのです。

パンクだった僕にはYMOは敵だったのです。

YMOの一番の武器というのは人力ドラムだと思うのですが…、これまた色んな人から「えっ!?」と言われると思います。当時は、クラフトワークがドラマーに「とにかく機械のように叩け」と言っているような時代なんで、こういう音楽は人力ドラムじゃなく、リズムマシーンがかっこいいんじゃないのと思われる方がほとんどだと思うのですが、リズムマシーンって結局たいしたことなかったのです。リズムマシーンが登場した時、「ドラマーの仕事がなくなるぞ」とドラマーが思ったんですけど、本当に売れる音楽を作るためにはリズムマシーンじゃうまくやれなかったのです。あの頃は…。

だからこういう音楽をやる時、普通の人だったらリズムマシーンを使うと思うのに、生のドラマーでやろうと考えた細野さんのセンスは鋭いなと思うのですが、でもこれも元ネタがあって、ジョルジョ・モルダーがプロデュースしたスパークスの『No.1 In Heaven』が生ドラムを見事に使って素晴らしいエレクトリック・ミュージックをやっているのです。僕は初めてYMOを聴いた時、クラフトワークというよりスパークスをパクっている人たちだなと思ったのです。

 

 

俺の大好きなスパークスをパクリやがって許せんというのが僕の気持ちだったのです。

スパークスの『No.1 In Heaven』の元ネタ(同じプロデューサーですがw)のドナ・サマーを聴いても当時はリズムマシーンを使っていると思っていましたが、どうも生ドラムぽいです。もう一度書きますが、売れる音楽を作るためには機械じゃダメだったのです。今から考えるとあの頃の僕らは機械になりたいと思いながらも、機械が生む独特なグルーヴに一生懸命合わせようとする人間のグルーヴに気持ちよさを感じていたんだと思います。

かっこ悪い言い方で書くと、それが都会のグルーヴ、機械と人間が融合する未来のグルーヴと感じとっていたのでしょう。

あれから47年くらい経ってどうなったかというと、完全に全部機械で出来るようになっているんですよね。恐ろしいことです。本当にドラマーは仕事がなくなるくらいになってしまったのです。仕事がなくなるという言い方はおかしいですか、食えなくなったということでしょうか。コンサートなんかは機械にやらせるより人に叩いてもらった方がやっぱり今も盛り上がります。でももうレコーディングだと生の人に来て、セッテイングして、リハして、録るよりも機械で打ち込んだ方が、より早く作業がすむようになってしまったのです。仕事の可能性が半分減ってしまったのです。そんな状況だともう食っていけないですよね。

機械でやっているのか、人間が叩いているのか、もう分からないくらいになってしまったのです。人によっては俺は打ち込みとアナログの違いが分かるという人がいますが、もう分からなくなってますよ。これは写真でも一緒です。フイルムとデジタルの違いを言い当てるという人を騙すことなんか朝飯前ですよ。

 

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