久保憲司のロック・エンサイクロペディア

ディクティターズ 『ブラッド・ブラザース』 ・・・独裁者なんて頭悪そうな名前をつけてバカそうだなくらいにしか思っていなかったけど、彼らが目指した音というのは間違っていなかった (久保憲司)

 

 

 スパイダーマンのリブート作品『スパイダーマン:ホームカミング』は色んな国からの移民が窮屈そうながらも、仲良く元気に暮らしているNY州のクイーンズから始まって、今度のスパイダーマンは良さそうだなと思った時に、クィーンズを代表するバンド、ラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」が流れて、新しいスパイダーマンが好きになった。

ラモーンズはマンハッタンのバンドと思われがちだが、クイーンズのバンドなのだ。ジョーイ・ラモーンは子供の頃、オカマに襲われないかと怯えながらもヒッチハイクして、マンハッタンにバンドを見に行っていた。

“オカマに襲われないか”大変失礼な表現です。ヒッチハイクしてる男を誰でも襲うと思わないでよという声が聞こえてきそうです。

話がズレていってしまいますが、5年前くらいの話ですが、ツアー中のヒア・ウィ・ゴー・マジックというバンドがジョン・ウォーターズらしき人がヒッチハイクしていたので、「あれ、ジョン・ウォーターズじゃない」とピック・アップしたら本当にジョン・ウォーターズで、それがニュースになった。

やっぱり寂しい年寄りのオカマちゃんはそうやって出会いを求めているのかと思ってたんですが、ジョン・ウォーターズ、ヒッチハイクで検索したら、心温まる画像が一杯でてきて感動しました。ジョン・ウォーターズからの一言「色んな人と出会うのはヒッチハイクが一番」。ジョン・ウォーターズ先生失礼しました。今度アメリカを良好した時は、先生がヒッチハイクしていないか見ながら旅をします(ボルティモア、サンフランシスコ間らしいですが)。『カー・シック』というヒッチハイクでのエピソード本も出されているみたいで、すぐに読みます。

スパイダーマンに戻します。マンハッタンに住むことを憧れるけど、マンハッタンは金持ちしか住めない。ブルックリンも今や家賃が20万です。僕はロンドン、東京に住んだ、老後はNYに住みたいなと思っていたのですが、もう夢の夢です。『スパイダーマン:ホームカミング』を見て、クイーンズだったら住めるかもと思ったのですが、10年後とか家賃はブルックリンと変わらなくなっているんでしょうね。

あっ、こんな話を書きたいんじゃなかった。ラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」を久々に聴いて、パティ・スミスやテレビジョンのような都市のストレスが生むトンがった音じゃない、都市の周辺の町が生む能天気な音楽がいいなと思ったのです。

マンハッタンの摩天楼を飛び回らない『スパイダーマン:ホームカミング』を見てびっくりした人も多いと思うんですが、これが『スパイダーマン:ホームカミング』のテーマでもあるんです。

グローバリズムなヒーロー集団アベンジャーズに入ることを断り、地元クィーンズのローカル・ヒーローになることを決意したスパイダーマン、かっこいいと思いました。そうなんですよ、昔はロックの世界にもたくさんローカル・ヒーローがいたのです。フェスのトリになることを夢みるんじゃなく、地元のクラブで生活費を稼ぎながら頑張るバンド。70年代のルー・リードがそういう人でした。毎月の家賃をボトムラインでライブして稼ぐスタイル。ルー・リードなんかはビッグなんで、4年に一度とかヨーロッパ・ツアーが出来るので、本当に地元のライブだけで食えていたのか謎ですが、80年代のロバート・ゴードンは毎週ボトムラインでライブして食っている感じでした。ジョニー・サンダースの生活も基本こうですよね。

 

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