久保憲司のロック・エンサイクロペディア

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ 『ヴィランズ』 ・・・永遠に同じことをする、そこから生まれる魔力に僕たちは惹きつけられるものがあるんですよ (久保憲司)

 

あの悲惨な事件を乗り越え、クイーンズ・オブ・ストーン・エイジ、ジョシュ・オムが帰ってきてくれた。

高校のパーティーで、いじめっ子にプールに落とされ、そのままずっとプールから出られなくなっていたイーグルス・オブ・デス・メタルのジェスをプールから引き上げて、「お前もちょっとくらい抵抗しろよ」と助けて以来ずっと友達のジョシュとジェス。

ジョシュはバンドを始め、世界中をツアーする。ジェスは結婚して、子供を作って平凡な生活を送ることを始める。クラッシュの「スティ・フリー」の歌詞のような関係ですね。クラッシュでは友達は泥棒になるんですけど。

そんな二人だったのですが、ジェスの奥さんが浮気をして、ジェスの結婚生活は破綻する。落ち込んでいる息子を心配したジェスのお母さんはジョシュに息子を慰めてくれないかと頼む。

ジョシュはうぬぼれ屋でいつも自分のことをおもしろおかしく喋っていたジェスに曲を作ることを勧める。こんな奴だからいじめられてたんでしょうね。フルートを楽しそうに吹いていたらしいし。

ジェスは2曲作ってジョシュに聴かせる。とってもいい曲だった。ジョシュは「後20曲作れよ、それもよかったらアルバム作ろう、バンドをやろう」という言葉を残し、ツアーに出た。三ヶ月後ツアーから帰るとジェスは50曲作っていた。どの曲もよかった。

二人はイーグルス・オブ・デス・メタルを始めた。バンドのサイド・プロジェクトは普通成功しないが、イーグルス・オブ・デス・メタルは大成功した。ジョシュは3枚アルバムを出したら、イーグルス・オブ・デス・メタルを離れようと思っていたが、離れられなかった。プールから引き上げた奴とは一生一緒だろう。

クイーンズ・オブ・ストーン・エイジもあるのでいつもライブを一緒に出来るわけではないが、あの悲惨な事件が起きた時もジョシュは一緒にヨーロッパ・ツアーに行こうとしていたが、彼女が妊娠したので、「今週のヘッドハンター」のイギー・ポップの原稿の時に書いたジョシュとジェスが育った不思議な砂漠パーム・スプリングに残ることにした。

自分がロックの世界に引き入れた奴のライブ中にテロリストが満員のお客さんに銃を乱射し、89人も殺されたのをどうやって慰めたらいい。最悪のいじめっ子からどうやって友達を守る。

ジョシュは新作『ヴィランス』の「ザ・ウェイ・ユー・ユースト・ドゥ」でこう歌っている。

 

彼女にあったのは俺が17歳の時

俺たち放火魔みたいに気があったな。

 

誰も俺たちを見つけれなくなるまで走った。

 

テロを普通にするやつが生まれた。

彼らは恐怖を起こす。

 

でもそんなことはどうでもいいことさ。

俺を愛しに来てくれ、昔のように。

 

 

 

涙が出てしまうよ。こんなクソみたいな世の中、どうでもいいよ、とにかく楽しもうぜ、それがクソみたいな奴らに勝つ方法だと歌っている。

俺たちダサいだろ、でも関係ないぞ、楽しくやろうぜ、俺たちおもろいだろ、というのがイーグルス・オブ・デス・メタルだ。そして、とことんダークにヘヴィにやろうぞ、そうしたら楽しくなるぜというのがクイーンズ・オブ・ストーン・エイジだ。

 

 

 

続きを読む

(残り 1252文字/全文: 2684文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

tags: Eagles of Death Metal Josh Homme Queens of the Stone Age U2

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ