ザ・ビートルズ 『悲しみはぶっとばせ』 この曲が一番最初のゲイ・ソングかもしれない…信じるか、信じないかはあなた次第です(久保憲司)
前回の“ロック、本当はこんなこと歌っているんですよ”のビートルズ「シー・ラブズ・ユー」で“ビートルズの空前絶後の大ブームの背景には、あの時代まだ解放されていなかった女性の未来の姿を映しだしたからだ”と書きましたが、ハンター・デイヴィスの『THE BEATLES LYRICS 名作誕生』を読んでいて、「悲しみはぶっとばせ」がゲイ・ソングかもしれないと書いてあって、ぶっ飛びました。
ビートルズの凄さって、なんでも一番最初にやっていたことなんですが、まさかゲイ・ソングまで一番最初にやっていたとは。ハンター・デイヴィスは違うとは思うけどと一応断っているんですけど、間違いないです。ゲイ・ソングと言っても、自分はゲイなんですと告白する歌じゃなく、マイノリティの辛さ、悲しさ、苦しさを歌った歌ということなんです。日本だとマッキーの「もう恋なんてしない」何ですけど。
「もう恋なんてしない」はそんな歌じゃないんですけど、マッキーの歌を聴いているともう恋をしないというのはゲイだから、ノンケの人に恋をしないという歌に感じてしまいます。
バズコックスの「エヴァー・フォーリン・イン・ラブ」も同じです。
どういう歌かというと もし僕が僕の本性を出したら、きっと君は僕のことを嫌いになるよね。だから、僕はもう恋をしないという歌なのです。
ストレートな人たちにとったら、好きになって手をつなぐとかキスをするとか普通の行為ですよね。もちろん拒絶されることもあるでしょうけど。でも、もしゲイの人がストレートの人を好きになって、自分の気持ちを告白したら、恋だけじゃなく、友達としての付き合いも失ってしまうかもしれない、自分を変な奴と思われるかもしれない、だからこのまま自分の気持ちは言わずに隠していよう。もちろんこんな気持ちストレートの人も持つんですけど、僕らの場合は告白する相手の性がほとんど同じなのに、ゲイの人は好きになる人が半分以上自分と違う性を持つ可能性の方が多いんです。そんな世界で生きていくって、どんだけ寂しいことか。
もちろんそんな世界で、うまく性がマッチングして、自分たちの恋はあまり世間には言えないけどというゲイの歌もあります。
ゴー・ゴーズの「アワー・リップス・アー・シールド」です。これはゴーゴーズのジェーン・ウィードリンとスペシャルズ、ファン・ボーイ・スリーのテリー・ホールの不倫の歌なんです。大人の関係を学生時代の秘密の関係みたいな雰囲気に仕上げた曲です。
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