久保憲司のロック・エンサイクロペディア

【世界のロック記憶遺産100】Pファンク『ライブ:Pファンク・アース・ツアー』 : 映画『ブラック・パンサー』を見てる時、僕の頭の中でなっていた音楽はやっぱりPファンクでした (久保憲司)

 

アメリカン・コミック原作の映画『ブラック・パンサー』がアメリカで大ヒット!嬉しいです。日本でもきっとヒップホップ・ファンから火がつきそうですが、僕的には『ブラック・パンサー』と並んで60年代後半のカウンター・カルチャー、スピリチュアルな世界が楽しめる『ドクター・ストレンジ』も一緒に楽しんでもらいたいです。

 日本では『ドクター・ストレンジ』は主人公ドクター・ストレンジを演じるベネディクト・シャーロック・カンバーバッチが女性ファンから愛されているので、同じシリーズの大ヒット作『アベンジャーズ』関連に匹敵する興行成績を上げているんですが、もっと音楽ファンに見てもらいたい。

ドクター・ストレンジはイギリスの音楽オタクという設定なのです。ピンク・フロイドの「インターステラー・オーバードライブ」がかかり、シド・バレットのTシャツ着ている音楽オタクがスーパーヒーローになるんです。イギリスの音楽オタクはガレージ、サイケデリックのコレクターというディティールの細かさにニヤッとします。しかもドレイクとかナウなアーティストもちゃんと知っている所もいいです。

日本のオタクの人って、その分野に関しては詳しいけど、全体像をよく把握していないので、しゃべっていてもこの人は本当に分かっているのかと不安になるというか、あまり楽しいことがないんです。まず音楽が好きという大前提があって、その中でプリンスという存在をめちゃくちゃ集めているとかじゃないとダメだと思います。昔DJシャドウにインタビューした時、「ノーザン・ソウルの7インチはほとんどコンプリートしたから、今はサイケデリック・ガレージを集め出しているんだ」と言っていました。これこそオタク。こうなってくると、家が一軒屋で、地下室とか屋根裏部屋とかないと本当のオタクにはなれないだろうなと思ってしまいます。「ドラムも練習しているんだ」と言ってました。ドラム・ルームをサンプリング・チョップして、打ち込み直す天才DJシャドウがドラムの練習しているって、すごい世界です。地下室で7インチのレコードが綺麗に並んだ棚に囲まれながら、ドラムの練習をするDJシャドウ、憧れるな。

 

 イギリスに住んでいた時、音楽以上にとんでもない世界観を持つアメコミの世界には憧れましたけど、日本の本屋でバイトしながらカメラマンやっていたような僕は絶対入ったらダメな世界だと思いながら、一応毎週ロンドンの有名アメコミ屋フォービドン・プラネットには通ってました。レア・レコードの棚と全く同じようなアメコミの棚は見ないようにして、フィギュアだけ見て、目の保養をしていました。今はそんなアメコミの凄い世界観を映画で観れて、感動している日々です。でもアメコミもちゃんと読んどけばよかったと悔やむ毎日です。ドクター・ストレンジがドラッグ、神秘主義の世界の設定だったとは。ヴィサージュのスティーヴ・ストレンジの名前はドクター・ストレンジからとっていたんだと53歳にして気付きました。みんなアメコミ読んでます。海外のジャンプですからね。そして、ドクター・ストレンジの魔法の秘密がLSDの世界というのもあの時代になったんだなと。スタン・リーとかLSDとかちゃんとやっているんですね。手塚先生もちゃんとやってはりますもんね。当たり前か。

原作者のスタン・リーはLSDに共感したように、ブラック・パワーに共感したのも正しいです。黒人が何を求めているのかよくわかっています。

スタン・リーが作った世界観を日本の人はほとんど知らないと思いますが、ゆっくりと一作づつ見ていってください。特にこれからは今のアメリカの現状を反映しているのか、カウンター・カルチャーの様相をどんどん濃くしていっているんですよね。映画『ブラック・パンサー』はまさに黒人の理想の姿が描かれています。白人に搾取されなかったら、アフリカはこんな姿だったろうという世界。日本でもこの設定使えますよよね。

 

 日本はずっと鎖国をしたままで、諸外国からは、刀をぶら下げた古い国と思われながら、昔黄金の国と噂されていた通り、実は日本にはすごい資源があって…

 

あとは『ブラック・パンサー』と同じような流れ、天皇は世界がどれだけ困っていようと、日本だけが繁栄したらいいと思っていた。しかし、皇太子は世界の現状を見て、たとえ日本が滅びる危機になろうと世界を救済するために動き出すという話どうですか?第2次世界大戦はどうしましょう?なかったことにしますか?それだと歴史修正主義者になりますね。日本が出来るアメコミ設定って、日本のCIA、MI6みたいだった陸軍中野学校が復活して、世界平和に動き出すという設定しかないですよね。映画『陸軍中野学校』をちゃんとリメイクするしかないですね。『海底軍艦』の要素も入れ、ゴジラも味方につけて。

『ブラック・パンサー』の世界救済という設定は、ワカンダ国のように世界を救えるのに、世界を救おうとしないアメリカへのメタファーでもあります。

映画のケンドリック・ラマーのオリジナル・サントラ素晴らしかったですが、『ブラック・パンサー』を見てる時、僕の頭の中でなっていた音楽はやっぱりPファンクでした。

 

 

 

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