久保憲司のロック・エンサイクロペディア

ジョン・レノン 『スターティング・オーバー』ネトウヨになってしまったモリッシーは、ジョン・レノンみたいに辞めるのが一番正しいと思う (久保憲司)

 

ちょっと前まではモリッシーはネトウヨになったんだよと書いたら、というか、そんなことを書く人は僕以外誰もいなかった。今はモリッシーのヘイト思想とか書かれてしまうようになりましたね。世の中よくなっていくもんです。

元相方のジョニー・マーも「様々なことが変わったんだよ。30年というのはとても長い時間だからね……言っていることに同意できなければ、義理を感じる必要もないわけでね」と言っているように、そういうもんでです。いつまでもあなたのスターが輝いているわけではないのです。そういうもんです。だからザ・フーの「マイ・ジェネレーション」の“歳とる前に死んでしまいたい”というメッセージが輝くわけです。

ちなみにマイ・ジェネレーションの主人公は吃っていますが、なんで吃っているか、知ってます。ドラッグをやっているからです。モッズというスピード(アンフェタミン)・カルチャーを歌にしようとしたのは中々活気的ですね。その前に「ビート・ジェネレーション」というビート世代を歌にした歌があるんですけどね。多分「マイ・ジェネレーション」の元ネタは「ビート・ジェネレーション」でしょう。

「ビート・ジェネレーション」のコンセプトも曲調もパクったのがリチャード・ヘルの「ブランク・ジェネレーション」で、これがパンクの哲学となりました。「ブランク・ジェネレーション」がどういう歌かというと、お前らヒッピーは“俺たち世の中変えたぞ、だからお前たちもなんかやれ”とうるさいけど、知らんがな、俺たちは今空白の時代にいるんだ。次の世代がなんかやるだろ。という歌です。まさに白け世代の歌で活気的です。

 

 

「「ブランク・ジェネレーション」みたい曲を書け」とマネジャーに言われて書いた曲がセックス・ピストルズの「プリティ・ヴェイカント」です。かわいい穴と訳すんじゃなく、俺たちとっても空虚と訳すのが正しい。その辺のことを詳しく書いたのがこのコラムです。もしよかったら。

ヘイト思想を利用して大統領になった人もいるので、大変な世の中だと思うんですけど、だからこそヘイトは叩かないとダメだと思うんです。

トランプも叩けばいい人になるかもしれないんです(確信犯なんで無理ですか)。元ペイパル創業者、FBの一番の出資者、アメリカ軍も顧客に持つデータ分析企業パランティア創設者ピーター・ティールがトランプをサポートしているのはそう信じているからでしょう(と書きつつどうなんでしょうね。逆張りで勝ってきた不思議な人です。今やトランプの娘さんの婿さんと並ぶデジタル顧問ですからね。ここ何ヶ月間はトランプと喋ってないそうですが)。

しかし、モリッシーは一体何を考えているんですかね。デビュー当時の彼はよく知っているんですけどね。なんせ僕日本人で一番最初のファンですから。僕の友達のロミ(後にガン・クラブのギター/ベース)がモリッシーと仲よくなって、ロミの撮った写真がスミスのデビュー・アルバムに使われたりして、僕はなんとなくスミスから離れて行ったんですけど。あんな発言するようには見えないリベラルな人でしたけどね。

 

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tags: John Lennon Morrissey Theatre of Hate Yoko Ono

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