久保憲司のロック・エンサイクロペディア

『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』バッファロー・スプリングフィールドがイギリスのバンドにどれだか大きな影響を与えたか 【世界のロック記憶遺産100】

 

前にここで書きましたが、世界一かっこいいバンドは僕はバッファロー・スプリングフィールドだと思ってます。今回はバッファロー・スプリングフィールドが現代のロック・バンドにどれくらい影響を与えていたかということまでつなげたいと思います。現代のロック・バンドまでというのは大げさですか、オアシス前夜までですかね。オアシス前夜と言っても、もう28年近く前ですよ。考古学をやっているような気がしてロックのことを考えると、頭がクラクラするんですが、昔のことを調べるのは楽しすぎます。当時のことを振り返るとそうだったのか!という繋がりが見えて、僕はワクワクしてしまうのですが、皆さんにもそのワクワクが伝わると信じて頑張りたいと思います。

と、生意気なことを言っても僕はバッファロー・スプリングフィールド見たことないんですけどね。でも、これから話すことはそういう話です。妄想の話です。そして、どれだけ妄想が大事かという話です。みんな妄想だったんですよ。

僕がイギリスにいた頃、82〜86年頃ですかね、その頃のイギリスの若い奴、プライマル・スクリーム、アズテック・カメラとか、イギリスというよりスコットランドか、はみんなバッファロー・スプリングフィールドに憧れていた。で、この人たちも僕と同じように実物を見たことないんです。同時代だとレッド・ツェッペリンなんかも彼らに憧れていたわけです。

日本でこの辺が好きな人って、あんまりロックが分かんないおっさんだと思うんですけど、海外の人は何かすごいかよく分かっている。バッファロー・スプリングフィールドはレコード、CD聴いても全然良さが分かんないですけど。バッファロー・スプリングフィールドはライブなんですよ。ツェッペリンの面々はライブを見てるからいいんですけど、僕と同世代の人はライブを見てないのに、バッファロー・スプリングフィールドの凄さを理解しているのはいいなと思います。

ツェッペリンの面々も彼らのライブ見てないかもしれないです。67年頃(どんだけ昔やねん)はみんなツアーで忙しいから、同世代のバンドたちも彼ら同士いいなと思いながらライブ見れてないことって多いんですよ。たくさんのバンドが一堂に会するフェスが活発していくのって、67年のモンタレー・ポップ・フェスからですからね。もちろん、バッファロー・スプリングフィールドもモンタレー出てるんですけど、ニール・ヤングはその頃、一時的に抜けて、バーズのデヴィッド・クロスビーが手伝うというとんでもないライブをしていて、完璧なバッファロー・スプリングフィールドを見た人なんかほとんどいないわけです。そんなバンドの話を僕はしているんですけど、いいんでしょうか? いいんです。そんなバンドに妄想を抱いていたのが、80年代のイギリスの若者達だったのです。海賊版のライブ・テープだけで、その良さをちゃんと理解していたすごいことなんだなと今考えるとつくづく思います。

これって、やっぱりエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジがジーン・ヴィンセントのレコードの後ろから聴こえてくるクリフ・ギャロップのギターにロックを感じていたことと同じだと思うんです。ロック力が強いという。

 

 

僕もバッファロー・スプリングフィールドがなんですごいかと理解していたのこれだけですよ。僕だけじゃない、みんなこれだけなんですよ。これしか現存してないわけです(そんなことないですけど、ユー・チューブに彼らのすべての映像を集めたのもあるんですけど、全部集めても30分いかないんですけど。そんな中でこれがベストです)。

 

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