久保憲司のロック・エンサイクロペディア

【世界のロック記憶遺産100】 ブラック・サバス『パラノイド』 ・・・綺麗な世界ばかりだと退屈だろ。現在のヘヴィな音楽はブラック・サバスから生まれた

 

クイーンのことを書きすぎたので、次はエアロスミス、キッスについて書かないといけないと思うのですが、70年代は少しおいといて、60年代のハード・ロックに戻りたいと思います。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルと並ぶ、三大ハードロック・バンドに数えられるブラック・サバスについて。

えっ三大ハードロック・バンド?、いつからそんな名称が生まれていたのでしょう。ウィキにはそう書いてあったのでびっくりしました。

ツェッペリンのジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、エリック・クラプトンで三大ギターリストとか、日本人は三大というのが好きですね。三大ギターリストということでは頂点はジミ・ヘンドリックスですよね。でも面白いのはジミ・ヘンドリックスはエリック・クラプトンやジェフ・ベックのプレイに影響を受けていたということです。俺もあんなのやりたいと思ったら、とんでもないことになってしまったのが、ジミ・ヘンドリックスだと思ってください。ザ・フーのピート・タウンゼントもジミヘンに多大な影響を与えてます。ピートに影響を与えたキース・リチャーズはどうなんだということになっていくわけです。

地続きなわけです。だから三大というのはおかしかったりするわけです。三大ハードロックということで言えば、その親玉にピート・タウンゼントのザ・フーがいるわけです。でも正確に書くとハード・ロックというのを産んだのはエリック・クラプトンが作ったクリームなわけです。ザ・フーはちょっと違うんですけど、クリームがやったことは30年代、40年代、50年代のブルースにレッドブル500本くらいぶちこんで、増幅させたような音楽です。他の言葉でいうと、アメリカの黒人の音楽を、イギリスの労働者階級の子供たちが「コンニャロ」と言いながら作った音楽です。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ブラック・サバス、クリーム、ザ・フーはそういう音楽です。もう一つ別の言葉でいうとビートルズが起こしたスーパー・ノヴァから生まれた新星なんです。それが全部色んな特色を持っていたわけです。これは70年代後半にパンクという新しいスーパー・ノヴァで色んなニュー・ウェイブ、ポスト・パンクのバンドが生まれたのと同じことです。成功の度合いが違いすぎますが。

三大ハード・ロック・バンドに話を戻しますが、この中で三大と読んで相応しいのレッド・ツェッペリンだけだと思います。ロックの王者の座を射止めたのは。ディープ・パープルはちょっと無理があります。なぜ三大に入っているかというと日本人の人がディープ・パープルを好きだからなんですよね。ディープ・パープルというよりリッチー・ブラックモアの泣きのギターが好きなんでしょうね。後イアン・ギランの演歌なシャウトも、まさにこれが日本人の考える最高のハード・ロックなんでしょうね。マイナーな。ディープ・パープル、マイナーな曲ないと思いますけど。外国のロック、マイナーな曲ないんですよ。基本、AとかEとかD なわけで、でも、日本人が70年代にハードロックすると、AmとかBmになるわけです。ディープ・パープルはマイナーじゃないですけど、なんかリッチーのキー・ポジションのせいないのか、イアン・ギランの歌い方なのか、なんなのかよく分かんないですけどマイナーに聞こえて、日本人の琴線に触れるわけです。日本人のプログレ好きもこれです。

日本人の人がブルースと訊くと、マイナーと思ってしまうのもこれですよね。僕が子供の頃ブルースの女王と言われていた淡谷のり子が歌っていたのってブルースじゃないですよね。どう聴いても演歌です。今、ウィキでブルースの女王と検索したら、まだ淡谷のり子が一番最初に現れてびっくりしました。いつまで日本はダサいねん。日本のハード・ロック、ヘヴィ・メタルも基本そんな状況ですよ。なんかダサい、ほんまにお前はロック、ブルースが分かっているのかと世界の中心で叫んでしまいたくなります。そんな中にブラック・サバスが入り込んでいるということはなかなか画期的だなと思うわけです。

今ブラック・サバスはレッド・ツェッペリン、ディープ・パープルよりも重要なのです。今のヘヴィ・メタル、スラッシュ、ドゥーム、デスメタル、色々細かくって何が何だかんだ分からないですが、そうした音楽を生んだのがブラック・サバスなのです。今のヘヴィな音楽の原点がブラック・サバスなのです。

パンクというのもありますよね。パンクの登場によって、動脈硬化を起こしていたハード・ロックもこのままじゃいけないとビッグ・バンを起こしたのです。その始まりがアイアン・メイデンを筆頭とする「NWOBHM」ことニュー・ウェイヴ・オブ・ブリテイッシュ・ヘヴィ・メタルです。アイアン・メイデンの一枚目なんかむちゃくちゃパンクですからね。それがメタリカにつながっていくわけです。今更ながらパンクって偉大だなと思います。メジャーを通さずにDIYで自分たちのレコードを作るという発想を生んでいったのもパンクです。だからヘヴィ・メタルの世界も細分化されていったのです。

ブラック・サバスに話を戻しますと、パンクの影響もあるとしても現在のヘヴィな音楽はブラック・サバスから生まれたということなのです。ビートルズもローリング・ストーンズもそんなのどうでもいい。彼らの音楽はブラック・サバスというスーパー・ノヴァから生まれということなのです。で、すごく正しい。

でも、なんでブラック・サバスがそういうことを出来たかです。

 

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