久保憲司のロック・エンサイクロペディア

レディオヘッド『OK コンピューター』・・・ゼロ年代を代表するレディオヘッドの『OK コンピューター』を全曲解説(前編)

 

 

今回はゼロ年代を代表するレディオヘッドの『OK コンピューター』を全曲解説します。2回に分けてしまいました。すいません。アルバムの全体像を音だけでなく、どんな内容なのか理解して、もっと楽しんでもらえるようになったと思いますので、読んでやってください。

レディオヘッドというバンド名はトーキング・ヘッズの「レディオヘッド」という曲名から取られているんですが、この前レディオヘッドが“ロックの殿堂”入りする時、トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンがプレゼンターだったので、なぜレディオヘッドというバンド名にしたのか解明されるか! と思ったら、「なぜレディオヘッドという曲名を選んだのか、知りません」と紹介していて、「デヴィッド・バーン、きけよ」とズッコケました。

「レディオヘッド」はテックス・メックス(テキサスとメキシカンということでカントリーとメキシコ・ミュージックが合体した音楽のこと。テクメックスかな)で、どんなことを歌っているかというと、ラブ・ソングで、

君はラジオ
僕は受信機
君の周波数に合わせるぜ
いい音楽に周波数を合わせるぜ
これは新しい世界の音楽だ
これで僕と君には秘密はない
君の心を読ませて
君の考えていることが全部聴こえるよ
君はどうすることも出来ない

オチはトーキング・ヘッズらしい感じですが、バカっぽい歌です。トーキング・ヘッズという世界一バカっぽいバンド名の一番バカっぽい曲名ということでバンド名にしたのでしょう。

英語を喋る人にとったらトーキング・ヘッズって響きすごくバカっぽく聴こえるそうなのです。ポテト・ヘッドみたいな感じなんですかね。笑い袋みたいな感じなんですかね。世界一インテリなバンドが一番アホなバンド名をつけているのがミソで、レディオヘッドもそういうことをあやかろうとしたのだと思います。

イングリッシュ・ジョーク満載のスラップスティック・コメディSF『銀河ヒッチハイク・ガイド』の登場人物ザフォド・ビーブルブロックがいつも言う「OK コンピューター、アイ・ウォント・フル・マニュアル・コントロール・ナウ」から取られた『OK コンピューター』という意味深なタイトルもそんな感じでしょう。

日本語で考えると『大丈夫?コンピューター』という風に聞こえてしまうから、まさに今の時代を先取りしたタイトルだったなと。

 

1.「エアーバック」

ホワイト・アルバム時代のジョン・レノンのギターを思い出させるようなギター・リフ(この感じがプログレさを出しているんですが、チェロの音が後ろでなっているのもいいですね)とDJシャドウのブレイク・ビーツにインスパイアされたフィル・セルウェイのドラムが、不安の時代の始まりにふさわしい幕開け曲。リリースされたのは1997年です。ジョン・レノンがアメリカの銃の雑誌に影響されて「ハピネス・ウォーム」を書いたようにトム・ヨークは“私はエアー・バックによって命を救われた”という雑誌記事を読んでこの歌を書いた。エアーバックとは車についている安全装置。人を死から守る機械、それとも自動車会社が売り上げを伸ばすために、車は安全というイメージを出すために開発した機械。人が死ぬような機械なんか作らなかったらいいのに、車を売るために新幹線と同じ速さの車を開発している。核爆弾と同じくらい確実にあなたを殺せる装置が、あなたの周りを走っているのに、あなたは気が狂わずに暮らしている。あなたが本当は持つべき不安をあなたの代わりにこの曲は作り出してくれている。20年後全ての車は自動運転になり、もうあなたの周りには危険は一切なくなっているだろう、そんな世界を歩くとき、あなたはこの曲をどうやって聴くのだろう。そのときあなたの不安はもうなくなっているのか、もう誰も不安を持っていないのだろうか。まさにそのような歌、不安の歌。

次の世界大戦、
大型トレーナーの中
俺は生まれ変わる。
ネオン・サインの告知の中
生まれ変わる。

星(車)がぶつかる時
俺は世界を救うために戻ってくる

ドイツ製のスピード・カーで事故ったのに
俺は死ななかった
エアー・バックが命を救った。

星(車)がぶつかる時
俺は世界を救うために戻ってくる
車と車がぶつかる時
俺は世界を救うために戻ってくる

 

2.「パラノイド・アンドロイド」

 

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