久保憲司のロック・エンサイクロペディア

映画『イエスタディ』 ・・・世の中的には『ジョーカー』が大ブームですけど、よく出来てますよ。ダニー・ボイルはわかっている。

公式サイトより

 

世の中的には『ジョーカー』が大ブームですけど、元パンクの僕としては全てを笑ってやるというあのキャラクターは当たり前過ぎて、今頃なぜみんなジョーカーに共感しているのだろうと思ってしまいました。

『ダークナイト』の完全悪ジョーカーの方がスカッとしていいですよね。“とにかく悪いことやってやろ”という完全悪は神様みたいなもので、絶対この世に存在しないものじゃないですか、だから素直に思考実験として楽しめるのですが、『ジョーカー』は普通にいそうじゃないですか、というかみんなこれ自分だろと思って楽しんでいるんだろうと思うんですけど、でもそれ絶対自分じゃないですからね。アイドルに自分を投影しているのと一緒ですよ、そういうの危険なんですよ、というか、もうそんなの古いんですよ。どんなの新しいのか、全く分からないですけど。

思考実験が楽しいかなと。だって今の世の中、ひも理論の世界ですよ。この世に宇宙人はいないかもしれませんが(多分いない)、もう一つの宇宙があるかもしれない、しかもそんな宇宙が数珠つなぎのようにたくさん連なっているかもしれない、そう多元宇宙、平行世界、パラレル・ワールドがどうもあるかもしれないと言われている今日この頃なんです。人間が邪悪化したものとかどうでもいいじゃないですか、もう一人の自分だけど、なんかちょっと違う自分がいるかもしれない、いや、いないかもしれないけど、このごちゃごちゃ感を『ダークナイト』作って、『インセプション』『インターステラー』作ったクリストファー・ノーランはよく分かってますよ。

世界はたくさんの可能性に満ちているかもしれないパラレル・ワールドのことを考えたら、気が狂っている暇なんかないんですよ。世の中『ジョーカー』みたいな袋小路じゃないんですよ、そんなの79年においておきましょう。

そこへ行くとダニー・ボイルの『イエスタディ』の方がよく分かっている。

クリストファー・ノーランとダニー・ボイルの方がこれからの未来のことを往年のスタンリー・キューブリックのようによく分かっている。キューブリックは核戦争が起こって世界が滅ぶ、宇宙人がやってくると本当に信じていた見たいですけどね。『2001年宇宙の旅』は宇宙人がやってくる前に公開しないと、もし宇宙人がやってきたら、大ゴケするから、宇宙人がやってきた時の保険はかけれないのかと本当に保険会社に相談したそうで、賢いのかアホなのか全く分からない人ですが、面白いからいいか。

どうですか、皆さん、ビートルズが存在しない世界というとんでもない設定、もしくは日本の漫画でもあるベタな設定やんと見るの躊躇ってたんじゃないですか、でもSF的にはすごくよく考えられた設定なんですよ。そして、なんでビートルズがいない世界なのかという理由を考えると胸が熱くなる設定なのです。多分『イエスタディ』を観た人で、なぜビートルズがいない世界なのかということをちゃんと分かっている人いないと思うので、僕がちゃんと説明したいと思います。ループモノの傑作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』匹敵する恋物語だと思いますので、彼女、彼氏と見に行った時に、なぜビートルズがいない世界なのか、どうやって主人公はビートルズがいなった世界から自分の世界に戻れなのか、あっ、観た人、自分の世界に戻ってないだろと言ってますね。ちゃんと主人公はあることをして自分の元いた世界に戻って来ているんですよ。

ここからはネタバレになるので、興味ある方は有料になってしまいますが、読んでやってください。

 

 

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