久保憲司のロック・エンサイクロペディア

『The Specials』 スペシャルズのデビュー・アルバムはルーディー(不良少年)の一生を描いたような構成になっていると知ってました? [全曲解説 前編]

 

ストーン・ローゼズのデビュー・アルバム『ザ・ストーン・ローゼズ』が、レイブの一日を再現したコンセプト・アルバムと書きましたが、スペシャルズのデビュー・アルバム『The Specials』はルーディー(不良少年)の一生を描いたような構成になっていると知ってました?シャム69の『ザッツ・ライフ』ケンドリック・ラマー『グッド・キッド・マッド・シティ』など一日を再現するアルバムて多いんですけど、一生を描くアルバムって壮大でしょう。

でもそれを壮大に描かない所がが、スペシャルズな感じがしていいんです。オカンに起こされる所から始まる『ザッツ・ライフ』今聴いても笑えますけどね。最後は酔っ払って帰って来て、また次の日が始まるって内容だったと思うんですけど、『ザッツ・ライフ』も近いうちにどんなこと歌っているのか書きたいです。

スペシャルズのデビュー・アルバムはオチが最高なんです、あーそう言うことだったのかと、振り出しに戻る。ザ・フーの『四重人格』と同じようにループさせることが出来るのです。

不良の回想録だったのか、それとも不良というのは何百年経っても変わらないというメッセージなのか、どっちなんでしょうね。このアルバムで歌われるジャマイカの不良の歌は「うわっなんか俺たちと似ているな」と歌われています。10年以上前、エリック・クラプトンなどがアメリカの黒人ブルースマンの曲に俺たちと一緒じゃんと共感したことと何一つ変わってないんです。

今の若い世代も「レイブよかったよね、あんなこと俺たちもしたいよね」という子供達が出てきてもいいんですけど。一度クラクソンズなどのニュー・レイヴの子供たちが出てきてるんですが。

ストロークス、ホワイト・ストライプスなども一緒ですね。「この頃、打ち込みばかりでクソだな、バンドでロックした方がかっこよくねぇか」と出てきたアメリカのバンドに影響されて、イギリスからアークティック・モンキーズなどのバンドが出てきたみたいな、そういう循環が僕は大好きなんです。日本もそこに入れたらいいんですけどね。なんかいつもアメリカとイギリスがぐるぐる回っているだけなのです。

でも、今こうして僕が書いてる間にも、お前らそんなのやってたのか、俺はこんなのやるぜというやつが出てきているかもしれませんね。

というわけで、スペシャルズ『The Specials』一曲目はジャマイカの不良というか先輩が子分というか後輩に“お前らそんなことするな”よなという説教ソングのカヴァーから始まります。

 

1.「ア・メッセージ・トゥ・ユー,ルーディー」

 

チャラチャラするなよな
将来のこと考えろよ
シラフになりな
問題を起こすなよ

ルーディー(不良よ)
これはお前へのメッセージだよ

バカはやめな
真面目に生きるとき
将来のことを考えな
そんなことばっかろやってたら刑務所に行くことになるぜ

これはお前への忠告だぜ

 

いやーびっくりしました。僕がこの頃知っていたレゲエのシンガーってとんでもない人ばかりだったからです。ジャケットの写真を見たら、すごいクールに決めているんだけど、どう見ても浮浪者(失礼)みたいな格好なんですよね、で、よく見たらチャック開いてたりして、もちろんそれがスタイルだったのかもしれないですけど。僕の友達がハッピー・マンデーズのショーン・ライダーに「チャック開いてるよ」って注意したら、「ディス・イズ・マンチェスター・スタイル」って見栄はってましたから。僕もいつもチャック開いてますけど、でも僕はいつもチャック閉め忘れてないかムッチャ気をつけてます。

そんなジャマイカのシンガーの前の世代の人ってこんな歌歌ってたのかとびっくりしました。

そうそう、それとこれらを歌っていた人たちとはロンドンで、彼らがおじいちゃんになってから会ったりするようになったんですけど、もう本当におじいちゃんで困りました。ライブ直前に「トイレ行きたい」って言い出して、「いや、もう出囃子始まってるから、無理だって、我慢しな」って言っても、「あかん、漏れる」ってステージ袖でオシッコしそうになるから、仕方がないからパイント・ビールのコップ渡して「そこにしな」と言うたら、ほんまにそこにやって、俺にそのコップ渡すんだよ。検尿かと思った。

 

2「ドゥ・ザ・ドッグ」

 

こちらはジャマイカのカヴァーじゃなく、アメリカのR&Bのルーファス・トーマスの「ザ・ドッグ」を下地にした曲。ルーファス・トーマスの曲は全部同じで、一番有名な曲は「ドゥ・ザ・ファンキー・チキン」で、ニワトリみたいに踊れって言うこと。こちらは犬みたいに踊れってこと。犬のモノマネして踊れってことじゃなく、ドッグもチキンも多分ダンスのスタイルの呼び名の一つなんだと思う。ロジャー・ラビット、ランニング・マンと一緒、ロジャー・ラビットがどんなダンスか知りたい人はユー・チューヴで検索してください、ヒップホップダンスの基本です。みんな今部屋で篭っているからダンスでも練習したらどうでしょうか、ロジャー・ラビットが終わったらランニングマン、エジプシャン、ポッピングなどをやっていけばいいんじゃないでしょうか、僕もダンスのことを書くのに、何も知らずにあの人は上手いとか下手とか書けないから、恥ずかしながらプロの元で基礎は勉強しました。半年くらいで挫折しましたけど。またやってみたいなと思っています。今はユー・チューヴでなんでも教えてもらえるからいいですね。

ルーファス・トーマスは同じような曲ばかり書いていると書きましたが、「ドゥ・ザ・ファンキー・チキン」は72年に65年のワッツ暴動で荒廃した人たちを元気づけるために開かれた72年のワッツタックス・イベントですごい重要な役割をした曲なのです。黒人が10万人も集まると暴動になってしまうじゃないかと黒人自身も思うくらいちょっと重苦しい雰囲気だったんですけど、その緊張を解きほどしたのが、この曲だったんです。この曲が始まったとたん、みんなが踊り出して、場所は野球場だったのですが、みんなが芝生になだれ込んできて踊りまくるという最高のシーンが、ユー・チューヴでもみれますんで、見てください。

だから「ドゥ・ザ・ドッグ」もパンクス、テッド、ナショナル・フロント、ラスタ、モッズ、ロッカー、ヒッピー、スキンヘッズよお前ら、死ぬまで戦い続ける気か、戦わずに踊れよってことを歌っている。

 

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