『The Specials』僕らはいつこのラット・レースから抜け出せるんでしょうね。抜け出せないよってことを彼らは歌っているんです。だから楽しく踊るしかない [全曲解説 後編]
→前編からつづく
『ザ・スペシャルズ』の全曲アルバム解説好評で嬉しいです。それでは後半いきます。みなさんスペシャルズのライブ見たことあります?みんながどんちゃん騒ぎのように楽しく演奏しているのに、テリー・ホールだけが一人白けて歌っているのがカッコよかったですね。最後になぜテリーがあんなに白けた顔で歌っていたのか、分かると思いますので、最後まで読んでやってください。
5.「ダズント・メイク・イット・オールライト」
パンクの1番の功績って、お前がスペシャル(特別な奴)でなくっても問題ないよと歌ってくれたこと。
ちなみにスペシャルズのスペシャルはそんな意味じゃなく、身体障害者や知的障害者の例えで使われるスペシャルという意味です。俺たち特別な奴らって自慢してるんじゃなく、自分たちは問題あるんだと言うことを言ってるんです。
お前が何者でもないからって、駄目なわけじゃない
それに理由があると言われても、本当にそうか分からないうまくいかない
それは最悪の言い訳
それがうまくいかせないのだよ自分は賢いと見せてる奴は
時間を無駄にして
「それ俺がやろうとしてたことだよ」と言う。
分かったふりしてるだけだよ
うまくいかない
それは君が黒人だからって
白人だからって
彼をヘイトする必要はない
違うからって喧嘩する必要はないうまくいかない
俺、ただの人だから何も出来ない
それ最悪の言い訳だから
「俺、ただの人だからな」と言っている奴にそんなことないと歌いながら、もう一つ聞こえてくる声は、そうさせてるのは社会だぜという声も伝わってくる。そして、お前がただの人でも、何も出来ないわけじゃないぜと言う声も聞こえてくるのです。
6.「コンクリート・ジャングル」
都会でマイノリティでいることの怖さを歌った歌。マイノリティじゃなくってもいいですけど、昔のロンドンは夜道を歩くのが怖かった。今もそうかもしれないけど
今晩出かけるけど
大丈夫かどうかわからない
誰もが俺を痛めつけようとしてる
街は危険なんだ俺はいつもナイフを持ってる
俺を脅そうとする奴らがいるから
好きな服も着れない
ナショナル・フロント(右翼)に追っかけられるからコンクリート・ジャングル 獣が俺を追ってくる
コンクリート・ジャングル 街は安全じゃないんだ
コンクリート・ジャングル 友達が一緒にいてくれて、助かる俺は何かしたいわけじゃない
世の中を変えるつもりもない
ほっといてくれ
ただ好きにしてたいだけなんだ家に帰るとき
灯りがついている所ばかりを歩いて帰った
路地裏で、玄関の前で
空き瓶を投げつけられたコンクリート・ジャングル 獣が俺を追ってくる
コンクリート・ジャングル 街は安全じゃないんだ
コンクリート・ジャングル 友達が一緒にいてくれて、本当に助かる
日本が『ザ・ベストテン』で「パープル・タウン、パープル・タウン、素晴らしい朝に、フッ、フッ、フー」と能天気な歌ってた時にイギリスは大変だったなと。今は逆に日本の方がこうなるんじゃないかと言う気がしますけど。日本の能天気な歌は、今逆に海外で「不気味だ」「今の俺たちの不安の気持ちを表現してくれてるんじゃないか」とシティ・ポップ、ヴェイパーウェイヴ、フューチャー・ファンクとして評価されてますけどね。
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