久保憲司のロック・エンサイクロペディア

Public Image LTD 『メタル・ボックス(セカンド・エディション)』 ジョン・ライドンが神がかりのようにカッコよかった頃

 

太ってトランプ支持という無様なことになっているジョン・ライドン、そんな彼が一番輝いていたのは、セックス・ピストルズの最後のライブでドラムのポール・クックが叩き出すマシーン・ビートとスティーヴ・ジョーンズの刻む歪んだギター、そして、体のいたる所に傷がついた体を見せつけるかのように(元祖綾波レイ!いやイギー・ポップの真似をしているだけです)上半身裸でベースを弾くシド・ヴィシャスらが作る音のカオスのなか「騙されたと思ったことはあるかい」と呟いて会場を去った瞬間と、その後、「ロック・バンドは嫌だ、これからは会社だ」とバンド名をパブリック・イメージ・リミテッドとして、活動を始め『パブリック・イメージ』『メタル・ボックス』『P.I.Lパリ・ライブ』『フラワー・オブ・ロマンス』という四枚のアルバムをリリースした頃です。

どんだけカッコよかったか順番に書いていきたいです。

 

デビュー・アルバム『パブリック・イメージ』

 

原題は『パブリック・イメージ:ファースト・イシュー』そう雑誌のイメージで作られてたのです。これだけでもオシャレでしょ。レゲエのアーティストたちが新聞を作るようにレコードを毎日プレスしていたに影響されてたんです。今だと毎日tiktokで配信するような感じですか。このアルバムに先駆けてリリースされたシングルも当時のイギリスの音楽雑誌に包まれたような感じでリリースされたのです。あの頃のイギリスの音楽雑誌は新聞形式だったので、新聞に包まれたような感じだったんです。で、その頃の新聞の一番の再利用ってってフィッシュ・アンド・チップスを包むことに使われてたんです。パンクの王様がそのバンドを辞めて出したシングルがフィッシュ・アンド・チップスの包み紙に包まれてるかのようにチープな装いだったのです。最高でしょ、このシングルとアルバムの一番のメッセージは自分をぐちゃぐちゃにしたメディアへの復讐だったと思います。あと復習と言えば、この頃彼が一番の敵だと思っていた宗教に対する怒りみたいなものも歌にして、それは歌じゃメッセージが伝わらないかもしれないと思ってその曲の朗読ヴァージョンも入れています。でもこの宗教が悪だというメッセージも左翼がやるようなとにかく反抗じゃなく、彼の母親が亡くなる時、彼女が信じていた宗教が死にいく彼女の痛みや悲しみなどを和らげるために何の救いにもなっていなかったことからきているのです。

 

 

『メタル・ボックス』

 

 

それは状況主義のギー・ドゥボールが彼の初めての映画『サドのための絶叫』を上映する時にいった名言「フィルムは存在しない、映画は死んだ(ジョン・ライドンの名言「ロックは死んだ」はこれのパクりなのです)。もはやいかなるフィルムもあり得ないのだ。お望みならば、議論へと移ろう」と言う言葉に答えるかのように映画のフィルムを入れるようなカンカンに音のいい12インチ・シングル三枚という形式で入ってました。

 

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