久保憲司のロック・エンサイクロペディア

ニュー・オーダー『テンプテーション』  ドラッグは人生を破滅させてしまうかもしれませんが、こういうこともやってしまうのもドラッグなのです

 

4月20日はマリファナの日でした。本当はアメリカにでも行って、海外のマリファナ事情をレポートでもしようかと思っていたのですが、世の中ずっとこんな状態です。

なぜ4月20日がマリファナの日かと言いますと、諸説あるのですが、学校が終わった午後4時20分にマリファナを吸っていたからだそうです。バカですね。

バカの代表です。違法の時から4月20日の午後4時20分はとにかくマリファナを吸うということをやってきた人たちです。YouTubeで検索したら、4月20日の午後4時20分に公園とかマリファナ・フェスなどで前が見えなくなるくらいハッパの煙で埋もれた人たちの映像を見ることが出来ます。

おバカですけど、彼らは違法だろうが何だろうが、自分の信じることをやり続けて勝利したわけです。日本もいつかこんな日が来るのでしょうか。ビートたけしのギャグで「赤信号みんなで渡れば怖くない」と言うのがありましたが、本当にそんな感じで世の中を変えたのです。

世の中なんて変えればいいのです。いや変えることが出来るのです。そう思ってないと気が狂ってしまいます。たとえ変えれなくっても、落ち込むことなく、色んなことをトライして、寿命がくるまで生きていくしかないのです。これが人生ってものでしょう。

ちなみに僕はマリファナは嫌いです。あれ吸っていると本当にバカになるような気がします。日本では田舎なんかで自然に生えている葉っぱをタバコの代わりに吸っている奴がいると、おばあちゃんなんかが「あれバカ草って言うんだよ、あれ吸っているとバカになるよ」と孫に説明なんかしてたそうです。

僕は三年寝太郎という昔話は、マリファナを吸って怠け者になっている人間の話かなと思ってます。酒を3年も飲み続けたら死んでしまいますよね、でも3年寝太郎は3年間も退屈せずに寝続けれたというのはマリファナをやっていたからだと思います。そうやって、ボーとして暮らしながら、普通の人間が考えつかないことを思いついて村を救った。マリファナを吸っていて意識がさえて、普通の人が思いつかないことを思いついた逸話なのかなと思っています。

マリファナとかドラッグと呼ばれるものにはそんな効果があります。

その一番の例がビートルズの「レイン」です。ジョン・レノンが、家でマリファナを吸いながら、その日録音したテープを聴こうと思ったら(この時代はまだカセットじゃなく、オープン・リールなんですね)、トン出るし、目は近眼だから、間違えてテープを反対にセットしたら、今まで聴いたことない声が聴こえてきて(逆に再生されていたんですね。「ツイン・ピークス」であの小人がしゃべる言葉です。さかさまに喋っているように聴こえるやつです。)、シラフだったら、ただのノイズだと思ったのでしょうが、「これ何、めちゃくちゃカッコいいやん、これは神様からの贈り物だ」というメッセージを受けとったのです。「レイン」は訳のわからない呪文というか異言をポップ・ミュージックに取り入れた最初の曲なのです。

 

 

さっそくこの効果を次の日のレコーディングに使おうとプロデューサーのジョージ・マーティンに相談するとマリファナなんかやったことないしらふ(お堅い)のジョージ・マーティンは、このジョンの音の面白さには気づかず、なぜこういう現象が起こったのか淡々と説明したそうです。あとのドラッグをやったことのあるメンバーはジョンの音の面白さが分かって、すぐにこの効果を新曲に取り入れました。こうして、今のポップ・ミュージックではあたり前になっている逆回転効果の誕生した瞬間です。

どんな無料音楽制作アプリにも絶対入っているエフェクトです。

この効果を最大限に活かした傑作はイエスの「ラウンドアバウト」の出だしのピアノの逆回転音です。「ラウンドアバウト(円環)」て曲名のオープンニングにふさわしい時間が逆行するかのような効果を出しています。

 

 

ラウンドアバウトって、馬車時代の名残で、90度に曲がれない馬車の方向を変えるために考えられた道なんで、本当はノスタルジックなイメージなんですけどね。でも初めて高速のラウンドアバウトに乗った時は、出る場所が分からなくなって、延々と周り続けて抜け出せないような感覚はSFぽいですね。

本当はLSDをやった時の感覚を疑似体験するような曲を紹介しようと思っていたら、なんかマリファナの話になってしまいました。

マリファナを体験したような感覚にする曲というのは今紹介したような曲やレゲエのダブなどを聴けば疑似体験出来るのですが、LSDぽいことを疑似体験するのは難しいです。普通はビートルズのアルバム『サージェント・ペッパー』なんかを聴けばアシッドくさいと言われるんですけど、それってベタでいやだなと。でも最後の「ア・ディ・イン・ザ・ライフ」の突然場面が変わるようなアレンジなどはとってもLSDぽいですけどね。本当はジョンとポールが別々に作った曲をくっつけただけなんですけど。さっき紹介したYESの曲の出だしの時間が逆行する感じはLSDぽいですね。

僕らの世代でLSDぽい曲ってどれだろうと探していたらありましたよ。ニュー・オーダーの「テンプテーション」です。

 

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