久保憲司のロック・エンサイクロペディア

デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』 レディ・スターダストとは誰か、それはマーク・ボランのこと。マーク・ボランのステージって本当にかっこいいのです [全曲解説(3)]

『ジギー・スターダスト』全曲解説 (1) / (2) / (3)

前回からつづく

アナログだと『ジギー・・スターダスト』のB面のスタートです。ライブだとB面一曲目の「レディ・スターダスト」の次の「スター」「君の意志のままに」「ジギー・スターダスト」「サフラジェット・シティ」とジギー・スターダスト・セクションとして一番盛り上がる所です。これに「ロックン・ロールの自殺者」を足したのが、ロック・オペラ『ジギー・スターダスト』の物語とも言えるのですけど、本当は「ジギー・スターダスト」一曲で物語は完結しています。

1978年に初めてボウイを観たは、ジギー・スターダストというキャラクターは完全に封印しているんだろうなと思っていたら、「スター」「君の意志のままに」「ジギー・スターダスト」「サフラジェット・シティ」と『ジギー・・スターダスト』メドレーをやってびっくりしました。最後に「ロックン・ロールの自殺者」をやれば完璧だったのですが、さすがにそこまではやりませんでした。

ボウイの二回目の来日の時の一番うれしい思い出は「フェイム」で「ワッツ・ユア・ネイム」と指さされたことです。百人くらいが、「俺名前訊かとれた」と興奮したことでしょうが、でも、ボウイのコンサートに子供とかいないから、絶対俺を指差していたのだと思うんですけどね。当時僕14歳の子供だったので、コンサート行ったら、ジェラルミンのケースを持って、ビオランの服を着たお姉さんや、ロンドン・ブーツを履いたお兄さんがいろんな人がジュース買ってくれたり、飴くれたりしました。本当にありがたったなと思います。
僕はドラッグくれよと思ってましたが。

でそうやってお世話になっていた追っかけのお姉さんたちが、ロンドンに住むようになって、その人たちのフラット(アパート)に居候させてもらって、ロンドンで生活出来るようになったのです。今の僕があるのはその人たちのおかげです。

大阪でボウイのチケットを買うために何日間も徹夜したのです。ロックなお姉さん、お兄さんたちはチケットを取るための流星号とかそんな名前のグループを作っていて、そこに入らないと絶対一列目のチケットとか手に入らないんです。である日、とあるヤクザの娘さんがどうしてもボウイのコンサートを一列目で見たいということになって、ヤクザの人の呼び出しをくらい、チケット売ってくれ、金ならなんぼでも出すということになって、いくらかみたいな話になって、2本の指だすので、20万なら売ってもいいかという話になったら、実は2百万だったという、あの頃はヤクザも元気だったなということをたまに思い出します。追っかけの人たちもみんな元気でした。バイトして何十万の追っかけ費用を稼いでいたのですから、デフレの世の中じゃバイトで何十万も貯めること出来ないですよね。追っかけの時はメンバーと一緒の超高級ホテルを一部屋だけ取って、俺のホテルやねんという顔して、ホテルのロビーにいつもみんなでたむろしてました。外人に声をかけられて、クルー(スタッフ)だと勘違いして、その人の部屋に行ったら、けっこう大きなスィート・ルームで、こいつスタッフじゃないと気づいたのですが、部屋にはその人の奥さんがいて、奥さんと僕らの仲間の一人がいい感じになってきて、寝室に行くのをその旦那さんが「大丈夫、大丈夫」と言ってるのを聞きながら、なんじゃこれと思ってたのですが、今思うとあれはNTR(寝取られ)だったのかと思うのです。そういえばボウイもNTRの人だったみたいで、奥さんのアンジーが黒人のボディガードと寝ているのを、有名なグルーピー(セイブル・スター、シリンダ・フォックス、べべ・ビュエルの誰だったか忘れました)と覗いていたそうで、笑ってしまいます。

では行きましょう。6曲目。

 

「レディ・スターダスト」

レディ・スターダストとは誰か、それはマーク・ボランのことです。これのオリジナル・タイトルは「 He Was Alright (A Song for Marc)」なんです。マーク・ボランのステージがどれだけかっこよかったか歌っているのです。

 

 

マーク・ボランのステージって本当にかっこいいのです。ちゃんとバンドがいるんですけど、エルヴィス・プレスリーがアコギだけで、他のバンドのグルーヴをリードしていたのと同じように、マークの声とギターだけで盛り上げているのです。

 

続きを読む

(残り 2302文字/全文: 4116文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ