ロクダス

優勝でも浮き彫りになったなでしこの問題点

文・写真/六川則夫

得点の予感は何回合ったか……。

大会直前に菅澤優衣香、期間中に土光真代、長谷川唯、そして台湾、中国戦の2試合で5得点上げたキャプテン岩渕真奈が相次いでチームを離脱した。

 

優勝が懸かった韓国戦は、飛車角落ちの状態で臨むこととなった。とはいえ、引き分ければ優勝と、ハードルは高くない。キャプテンマークを付けた中島依美が健在だ。いざとなれば彼女のミドルシュートがチームを救う。なでしこリーグで存在感抜群の田中美南も、黙ってはいない。そんな楽観的な気分は、試合が進むにつれて脆くも崩れ去ることになった。

サイドに開いた中島だが、アクセントにならない。幸いダブルボランチの三浦成美と杉田妃和が攻守にバランスをとって、両アウトサイドをうまく使っていた。

この二人の安定感がチームを落ち着かせていた。相手のレベルもあるが、前の2戦での岩淵の得点力を考えると、ある程度予想出来たことだが、日本の攻めは、なかなかゴールにたどり着かない。

 

結論を言えば、足りないのは何か。イワブチ・マナである。結局中島、籾木の既定ホットラインでPKを獲得したが、目に見えた結果はそれだけである。

改めて、なでしこの問題点が浮き彫りになった試合となった。田中も小林もシュートに持っていくためのボールコントロールが心もとない。

 

かつて、数えるほどいたヤングなでしこ達、今の代表にその姿はほとんどない。今回招集され、試された選手たちの中で、来年に繋がるなでしこは、一体何人いるのだろうか。

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