仙蹴塵記

年初のご挨拶

あけましておめでとうございます。

2021年も、【仙蹴塵記】をよろしくお願いいたします。

未曾有の感染症禍に見舞われた2020年から、新しい年へ。まだまだ予断を許さない状況は続いていますが、少しずつでも、世界がまた以前のようにフットボールを楽しめる環境に近づいていくことを願っています。

ベガルタ仙台は経営面でも競技面でも体制が替わることもあり、2021年は様々な点で新たな姿を見せてくれることでしょう。しばらくは感染症予防のために各種制限は続きますが、可能な限り歴史の現場に立ち会い、その空気を読者の方々に伝えられたらと思います。

昨季は苦しいことが多い中でも、選手やスタッフからは、心に響く言葉をいただき取材者としても勇気づけられることや新しく気付かされることがありました。

昨季に仙台へ加わったイサック・クエンカ選手は、シーズン終了後にはいち早く契約更新を発表しました。彼はバルセロナ仕込みの巧みなボールタッチ、DF一人では抑えられないようなドリブル、意外なタイミングでのパス、などなど、攻撃の選択肢を多く有する選手です。そういうアイディアを発揮する判断力や感性は、どうやって身につけたのでしょうか。昨年10月7日の練習後に訊いてみたところ、「難しい質問ですね」と前置きしたうえで、こんな言葉が返ってきました。

「自分は小さい頃からサッカーをやっていて、それはもう自然に身につき、出てくるものだと思っています。その状況に応じて、どういうプレーをするかは、考えずに自然に出てくるものですよ」

気がつけば味方の位置を見ていたり、そこにボールを送り出したりしているとのこと。そういった攻撃のアイディアについて語るときのクエンカ選手の表情は柔らかく、日頃の基礎練習でも実に楽しそうにボールに触れます。プロ同士の勝負という厳しい環境に身を置きながら、柔軟な発想と堅実な積み重ねから次のプレーのアイディアを見出す。そういう姿勢を見習いながら、私も皆様のもとに文章を届けていければと思います。

板垣晴朗

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