仙蹴塵記

年初のご挨拶

謹んで初春のお慶びを申し上げます。
今季も【仙蹴塵記】をよろしくお願いいたします。

W杯イヤーである2022年に、日本のフットボール界は例年と異なる日程で公式戦が組まれることが多くなります。ベガルタ仙台はその年にJ2を戦うことになりました。詳細な日程はこれから発表されますが、リーグ戦の試合数が増え、開幕から毎週試合が組まれることになります。このタフなリーグで、J1昇格を目指す。実にシビアな舞台ですが、最後に喜びが待っていると信じ、私は現場で可能な限り取材をしていきたいと思います。

昨季の悔しさを胸に持つ選手、新たに力を加える選手、そういった戦力が融合し、原崎政人監督以下スタッフの指導のもとで仙台は上を目指します。

巻き返しをはかる選手の一人が、GKの小畑裕馬選手です。20歳でプロ3年目のシーズンを迎えます。小畑選手にとって、2021年は我慢も多い一年でした。JリーグYBCルヴァンカップではグループステージ4試合に出場。特に第3節・広島戦では好セーブを見せるなど、シーズンの公式戦初勝利に貢献。しかしその後はなかなか勝てず、明治安田生命J1リーグ戦では出場機会を得られませんでした。

しかし小畑選手は、日々のトレーニングで多くのものをつかんできました。「ヨーロッパの外国籍選手が2人もいるチームはなかなかない。そのなかで、ハイレベルな練習ができています」。セービングでは、ヤクブ・スウォビィク選手やストイシッチ選手のような大柄な選手も俊敏さや反応の速さを求めて努力しているところを見て、自分なりに素早くシュートを止めるための動作を研究。自身の持ち味である、足下でのボールさばきにも磨きをかけています。また、「筋肉量に関する数字が増えている」と実感するように、プロの舞台で戦える体作りも進めてきました。全体としてはプロ入り当初より5kgほど痩せたそうです。

リーグ戦での出番はなかった一方で、年代別の日本代表トレーニングキャンプには何度も招集されてきました。2021年10月13日に、U-22日本代表トレーニングキャンプから帰ってきた日のことです。「いろいろなチームの戦術や代表の戦術を共有することがあって、普段とはまた違うコミュニケーションの取り方など、いい刺激を受ける機会がありました」。最後尾からコーチングをすることにおいても、チーム全体で引っ張る立場になるときにも、その経験は生かされるはずです。

心技体それぞれで修練を積んでいる小畑選手は、2022年にはこれまで以上の出場機会をつかむべく、成長を続けてくれることでしょう。それはストイシッチ選手や井岡海都選手についてもいえること。GKコーチが交代することになり、また求められるものが変わってくるかもしれません。

GK陣をはじめとした全ポジションがハイレベルな競争によってチーム全体の力を高め、この年が終わる頃に最良の結果を手にする……そのような瞬間を伝えられるよう、私もまずは彼らに負けないよう努力して、日々の模様を伝え続けていきたく思います。

2022年も、皆さんも一緒に前へ進んでいきましょう。よろしくお願いいたします。

板垣晴朗

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