縦に紡ぎし湘南の

【ささえびと】ハートと星と、フラッグと

2008年からだから、今年で丸7年になる。

BMWスタジアムのメインスタンドのコンコースでは、試合前、ベルマーレの応援用のフラッグが無償で貸し出されている。メインスタンドを黄緑と青に染めて盛り上げたいというサポーターの想いから芽吹いたもので、クラブボランティアの方々がクラブと検討を重ね、応援に不慣れなひとたちにも馴染みやすいフラッグというかたちに結ばれた。

J2を戦っていた2008年のシーズン中に始まった当初はここ一番の試合に限られていたが、そのうち平日と雨の降りそうな日を除いて貸し出されるようになった。修繕や洗濯などのメンテナンスはクラブボランティアの方がコツコツと行ない、ほとんど紛失することなく所定の位置に返却される光景もまたベルマーレらしい。

かつては1試合につき300本前後が希望者の手に渡り、スタジアムの一画を彩ってきた。多いときで350本が貸し出された試合もあったが、昇降格を経てJ1で勇躍する現在、観客数は増えながら、貸し出すフラッグの数は以前の半分ほどに減っているという。

立ち上げから携わるクラブボランティアの方が嬉しげに目を細める。
「昔はメインスタンドでユニホーム姿のひとを見かけることはなかなかありませんでした。でも、いまは皆さんいろんなグッズを持ち、身に着けている。コアなサポーターが増え、旗も徐々に必要がなくなってきているんだと思います。ここにいると変化を実感しますね」

グッズを持参して応援するひとたちが増え、それがフラッグの借り手の減少につながっているのなら、喜ばしい変化に違いない。「ファッションからライフスタイルにベルマーレを落とし込まないと」そう続けられた言葉に、ベルマーレがより深く根付き、次代へと着実に受け継がれていくことへの願いが滲む。

ちなみに、これまでブルーを基調としていたフラッグのデザインは今季一新された。ライトグリーンを全面に配し、トレードマークのハートとともに昨季のリーグ初優勝を示す星も控えめにあしらわれている。

貸し出される数は減っても、フラッグによる応援はいまも子どもから大人まで広く親しまれている。常連さんも少なくない。「みんなで旗を振ってベルマーレを応援しましょう!」コンコースに響く声は、次代へ向けたまなざしとともにこれからも届けられるだろう。

ブルーを基調とした以前のフラッグ。今年の七夕の竹飾りにも使われていました。

ブルーを基調とした以前のフラッグ。今年の七夕の竹飾りにも使われていました。

大きなハートとともに、「LOVE」のなかには星もあしらわれています。

大きなハートとともに、「LOVE」のなかには星もあしらわれています。

大きな声で貸し出しの呼び掛け。「配りきると達成感がある」と笑顔も。

大きな声で貸し出しの呼び掛け。「配りきると達成感がある」と笑顔も。

reported by 隈元大吾

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