縦に紡ぎし湘南の

【アカデミー通信】Jユースカップ3回戦・ヴィッセル神戸U-18戦、試合後コメント/時崎悠監督「守備を頑張るだけでなく、攻撃も楽しく、切り替えのところを激しく、そういうチームにしていくために」露口凱選手、齊藤未月選手のコメントも。

■2015Jユースカップ3回戦
10月25日(日)ヴィッセル神戸U-18 1-0 湘南ベルマーレユース(10:30KICK OFF/時之栖スポーツセンター/89人)
得点者:79’野原健太(神戸)
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ダッシュ
10月25日、湘南ユースはJユースカップ3回戦でヴィッセル神戸U-18と対戦した。ポゼッションでまさり押し込む神戸に対し、湘南はタフな球際や走力に自分たちのスタイルを込めた。終盤に向け強まる相手の攻勢に湘南も粘り強く応戦したが、79分、神戸が際どく裏を突き、ついにスコアを動かす。湘南もその後猛攻に出るがゴールには届かず、0-1のまま長い笛を聞いた。試合後、時崎悠監督とキャプテンの露口凱選手、ゲームキャプテンを務めた齊藤未月選手に話を聞いた。

●時崎悠監督
――総括をお願いします。
今日も熱い応援をありがとうございました。ゲームについてはまず、相手に立ち向かっていくことや球際であれだけボールを奪うこと、体を張ることはベルマーレの選手だからこそこだわりを持ってやっているプレーだと僕は思うので、そういった部分ではベルマーレの選手としてすごく誇らしく思います。曺監督がしっかり築いたサッカーがありますし、そのサッカーを体現するための血をユースの選手たちにも流れるようにしてあげなければいけないと僕は思っているので、そういった部分ではすごく誇り高い。ただ、得点を奪うためにとか、シュートを打つことによって苦しい流れが変わるとか、そういう局面のこだわりという部分ではもうひとつふたつみんながこだわりを持ってクオリティを上げていかないと、攻撃してサッカーを楽しむということはできないのかなと思う。サッカーは守備も攻撃も切り替えもあるなかでのスポーツだと思うので、守備を頑張るだけでなく、攻撃も楽しく、切り替えのところを激しく、そういうチームにしていくために、今日の試合はすごく大きなきっかけをもらえたんじゃないかなと思います。

――自分たちの足りない部分を教えてもらった試合。
相手の選手と比べると、やはり個々の持っている技術や戦術の部分で差があったと思います。1回目がダメだったら2回目、3回目とうちの選手がしつこく行くので、それでなんとか対抗できたと思いますが、ボールを動かしていく力や相手を剥がす力は少し差があったのではないかと思います。

――今大会の過去2戦と比べていい入りができたと思うが、今日に向けてどのような働きかけを?
先々週のガイナーレ戦とその前日の湘南工科との県リーグ、そして先週の栃木戦と、前半まったりして入りがよくないというところは映像も交えて伝えました。また、トップチームがJ1残留を決めたFC東京戦で永木(亮太)がボールを奪いに2度3度と行くシーンや高山(薫)が行くシーンなど、トップチームの映像も入れた。きのう(24日)も鹿島とのゲームを全員で観ていますし、僕のマネジメント以上に見ている教本がいいので、そういったところで、俺たちもやってやろう、続いていくんだという気持ちはより強くなったと思います。

――攻撃面ではシュートまで行く場面が少なかった。
奪って前に出て行こうという意欲はあるんですけど、たとえばひとが出て行くときに、自分は止まったほうがいいなとか抜けたほうがいいなとか、そういうことを動きのなかで判断し、出す側もしっかり選んであげるようなことが必要だと思います。攻守両方を追い求めると少し難しい部分もあって、でも指導者としては両方できる選手にもっていかなければいけないとつねづね思っている。途中から入れた選手たちは守備が苦手ですが、攻撃でボールを持つことにはストレスがない。彼らがああいうふうにボールをしっかり受けて相手に仕掛けてというプレーをやってくれたことは、またひとつチーム内での競争を上げるいいきっかけになると思う。守備のベースはこのベルマーレのスタイルのなかにしっかり宿っていると思うので、あとは攻撃的なサッカーができるようにもっともっと僕が選手に対してアプローチをしていきたいと思います。

●露口凱選手
――今日の試合で感じたことを聞かせてください。
チームとしてやるべきことは最低限できたと思いますが、一人ひとりがもう半歩詰められればとか、そういう細かいところが大きな差なのかなと感じました。

――球際などチームとしていちばん大事にしているところは非常に伝わってきました。
そこはベルマーレというクラブで外してはいけない大切にしているところですし、必ずやらなければいけないマストの部分だとみんな分かっていると思うので、しっかりやれたんじゃないかなと思います。

――鳥取戦、栃木戦ともにクロスでアシストしましたが、今日は得点を奪えなかった。
やはりレベルの高い相手になってくると、今日はクロスを1本も上げられなかったですし、走るという大前提はできたと思いますが、走る質というところは差なのかなと感じました。

――キャプテンとして普段から意識していることは?
まずはチームとして同じ方向に向いていく一体感、そのうえで自分たちの特徴をどのように出していくかを意識して、みんなに声を掛けるようにしています。

――Jユースカップが終わり、県リーグの3試合を残すのみとなりました。
今回負けてしまったんですけど、時さんも言っているとおり、負けて得るものは多いと思います。この負けを次に繋げないと意味はないと思うし、どのように繋いでいくかは自分たち次第だと思う。3年生として残り3試合、後輩にいい姿を見せられるように、いい代だったと言われるように、自分たちの持てる力を最後まで出し切って戦っていきたいと思います。

●齊藤未月選手
――今日の試合で感じたことを聞かせてください。
相手にボールを回されることは分かっていましたし、ボールを取ってチャンスになることも分かっていたし、そう考えたら悪くない試合だったと思います。ただ、全員でボールを奪いに行き、球際も戦って、チャンスをつくれたところはあったんですけど、やはり最後の弱さ、失点して負けてしまうところが出てしまったのかなと思います。改善点だと思いますし、接戦になっている間に先制点を取ることも課題だと思う。そう考えると、いい部分と悪い部分が出たのかなと思います。自分的にはやっていて楽しかったですし、勝ちたかったという気持ちが大きいです。

――楽しかったとは具体的には?
1回戦や2回戦は前半からあまりよくなくて、自分としてもボールを奪うところや前への推進力、縦パスを積極的にあてる部分は全然できていなかった。でも今日は全員でボールを奪いゴールに向かって行けたし、縦パスもあてられて楽しめた。湘南スタイルと言われているものを見せられたのかなと思います。

――失点後のチームについて印象は?
いつも失点したときに落ちる傾向があって、鼓舞したほうがいいと思いましたし、そこで全員が落ちないでゴールに向かってチャンスもありました。そういう部分は変わることができたのかなと思います。そのあと2失点3失点して負けることも多いので、そんななか最後までゴールに向かい、1失点に抑えられたのはよかったのかなと思います。

――神戸の印象は?
ボールを回すのが上手かったけど、そんななかでもボールは奪えましたし、対人でも負ける感じは自分的にはなかったです。ただ、最後の最後は堅いなと思いましたし、そこはほんとに見習わなければいけない。勝ち負けをつける勝負というところに関しては、相手のほうが上なのかなと思います。

――Jユースカップはここで終わりますが、課題や収穫を聞かせてください。
今日はいいチームと戦えて、自分たちができないこと、ボールを回せないところや点が取れないところは課題だと思いますが、プレミアリーグの上位の相手に対して誰も弱気を見せないで縦パスをあてたり対人を戦ったり、いい時間もあったところに関しては収穫でした。それを続けていかないといけないと思いますし、そこのところで声を掛けてくれたり最後まで戦ってくれた3年生を見習って、ずっと続けていかなければいけないと思います。

reported by 隈元大吾

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