縦に紡ぎし湘南の

【大宮vs湘南】プレビュー:少しでも長く

■第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝
12月24日(土)大宮vs湘南(16:00KICK OFF/NACK)
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ルヴァンカップを含め、大宮とは今季3度戦い、いずれも敗れている。最も近い記憶は第2ステージ第15節だ。アウェイに臨み、前半セットプレーから先制を許し、ほどなくして追加点を奪われ、後半に入ってからもコーナーキックの流れから決められた。終盤2点を返したが、追いつき追い越すことは叶わず、勝負は2-3で決着した。この日の結果をもって、湘南の降格が決まったのだった。

「前回は失点がもったいなかった」菊池大介はくだんの一戦を振り返る。
「1点入れられたあとの2点目、3点目の管理が悔やまれた。ただ、入れられても取り返す力がいまの自分たちにはあると思う。どちらが先手を取るか、またそのあとの対応など、より大事になってくると思います」

湘南はその後2連勝でリーグ戦を締め括り、柏との天皇杯4回戦でも逆転勝利を収めた。大宮との前回の対戦と前後して見つめ直した攻撃は着実に向上し、攻守もともに好循環を生んでいる印象だ。さらに天皇杯4回戦を終えたあとには、指名選手がベトナムに臨んでBTVカップを制し、国内でもトレーニングを積むなど鍛えてきた。

「楽しかったです」ベトナム遠征に参加した齊藤未月の表情は明るい。
「ボールを奪いに行くところなど、自分のストロングは大会を通じて出せたのかなと思いますし、得点やアシストもできた。たくさん試合を行ない、優勝して帰ってこられたことは、チームとしても自信になったと思います」

来る天皇杯では、ここまで培った自分たちらしさを余さずピッチで果たしたい。そのうえで、「公式戦から期間が空いているので、立ち上がり20分ないし25分ぐらいは非常に大事。そこでうちがどれだけ果敢に、アグレッシブにやれるかは重要だと思う」たとえば村山智彦がそう語ったように、潔くゲームに入りたい。

豊かな才が集う大宮の堅い守備とカウンターをはじめとする鋭利な攻撃に、曺貴裁監督は言う。
「個々が取られず、仕掛けていけるし、いいシュートも持っている。そこは我々と比べて一日の長があると思うので、我々は細心の注意を払いながら、攻撃になったときにいかに相手の嫌なことができるかがひとつ大事だと思います」

なにより、このメンバーでやれるのは一生で最後だと思うので、そういう出会いも大事にしたいと思うし、少しでも長くこのチームでシーズンを戦いたいと思っている。そんなふうに指揮官は語り、選手たちもまた、このメンバーでタイトルをと、問わず語りに口をそろえる。すべての想いを傾け、次への扉を開きたい。

reported by 隈元大吾

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