縦に紡ぎし湘南の

【湘南vsヴェルフェ矢板】プレビュー:誰が出ても揺るがぬ芯を

■天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会2回戦
6月1日(水)湘南vsヴェルフェ矢板(18:00KICK OFF/レモンS)
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天皇杯の難しさは多くの胸に刻まれていることだろう。たとえば昨季、JFLのF.C.大阪を迎えた2回戦は0-0のままPK戦までもつれ込み、J3のヴァンラーレ八戸に勝利した3回戦も90分では決着がつかなかった。JFLのヴィアティン三重に0-4の完敗を喫したシーズンもあれば、明治大学に0-1で敗れた苦い記憶も残っている。

これはベルマーレに限ったことではないだろう。いわゆるジャイアントキリングは観る者に驚きや衝撃を与えるが、といって珍しい出来事ではなく、むしろ醍醐味でもある。それを思うと、天皇杯が突きつける難しさはサッカーの奥深さを映すひとつの象徴と言えるかもしれない。

今年の天皇杯2回戦は、栃木県代表のヴェルフェ矢板を迎える。昨季、栃木県社会人サッカー1部リーグを制し、関東サッカーリーグ2部に返り咲いた今季は、前期6試合を終えて4位と好位置につけている。

天皇杯の県予選決勝では関東1部の栃木シティFCと出場権を争い、PK戦までもつれ込む激闘を制して10年ぶり3回目となる切符を掴んだ。さらに1回戦では山形県代表の長井クラブを相手に7-0の大勝を収めている。

対するベルマーレは、神戸と川崎Fを撃破し、ルヴァンカップ磐田戦とあわせて公式戦3連勝を記したが、前節はC大阪に敗れ、勝点を積み上げることはできなかった。本来の自分たちではない、「立ち上がりから引けた戦い」と指揮官が悔しさをかみしめた3日前のそれを思えば、今日の天皇杯では、チームとしてあるべき能動をいま一度示すことが求められる。

一方で、カレンダーはタイトだ。タフな連戦に加え、ひと足早く夏を運んできた陽気も体力の消耗を加速させる。パフォーマンスの発揮にはコンディションの見極めが重要だ。負傷離脱していたメンバーも戻りつつあるなかで、誰が出ても揺るがぬ芯を示したい。

「みんなで同じ練習をし、同じ時間を過ごしているので、やることは変わらない」試合中の怪我からおよそ1カ月半ぶりに復帰し、前節のC大阪戦にメンバー入りした福島隼斗は、来る一戦を見据えて想いを口にする。
「日頃の練習で求められていることをそのまま試合に出すという気持ちが強いので、出場したら一瞬で潰すことやボールを奪うところ、受けるポジションを意識したいと思います。天皇杯は1年目に出させてもらい、悔しい想いをして正直あまりいい印象はないですが、4年目のいまは、いいコンディションをつくるための練習の大切さも分かってきた。日頃の練習が自信に繋がるので、出たら自信を持ってプレーしたい」

福島の悔しい想いは、フル出場で最終ラインを担いながら大敗を喫した前述の三重戦に辿ることができる。かように難しい展開も考えられるなかで、まずはチームとして日々の切磋琢磨をしかとピッチに傾けたい。

reported by 隈元大吾

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