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森崎和幸物語 第11章

 「中野さん、また、ですよ……」

2010年4月14日、中国・大連空港。チームメイトからポツリと離れた場所に座っていた森崎和幸が、ポツリとこぼした言葉だ。表情は笑っていた。だが、その顔に生気はなかった。驚くほど、青ざめていたその顔色は、サッカー選手とは思えないほど、エネルギーがなかった。慢性疲労症候群の再発である。

「昨日の山東魯能戦(ACL)での欠場から、なんとなく想像していたよ」

「……どうしてなんですかね。気を付けていたのに」

「うん。でも、そこは考えないでおくしかないやん」

「そうですね」

「休むんやろ」

「はい。もう、プレーできないから」

「うん。わかった」

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