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サポーターと選手の幸せな関係がチーム力になる

 

春休みということもあり、吉田サッカー公園にはたくさんのサポーターが訪れていた。選手たちの一つ一つのブレーに歓声があがり、素晴らしいプレーにはため息、そして拍手も。

そういう雰囲気こそ、選手たちを成長させていく。サポーターが見てくれている。応援してくれている。選手たちがそう感じることができるから、「サポーターのために」という想いは強くなるわけだ。人は「自分のめに」では成長速度は鈍い。「応援してくれる人のために」という気持ちは、時にプレッシャーになることもある。だが、その重圧を力に変えることができた時、選手は本当の力を得る。公開練習のチームが成長できるのは、このサポーターの力を常に練習場で感じることができるからだ。

練習終了後、たくさんの子どもたちが選手の名前を呼ぶ。この日は2部練習のため、若手選手たちは休息が必要。多くの選手たちがそのままクラブハウスの方へ消えていったが、午前練習で終了のベテラン選手たちの多くは子どもたちの声に応え、サインや写真撮影に応じた。

その中で、ひときわ人気を集めていたのは、やはり工藤壮人である。もちろん、点取り屋としての期待が高いこともあるが、何よりも彼は、応対がていねいだ。サインを一つ一つ、しっかりと書き、終わったら子どもたちであっても両手で握手し、ハイタッチもかわす。笑顔を忘れず、フレンドリーな言葉で会話を楽しむ。なるほど、人気が出るわけだ。

 

工藤にサインをもらい、握手もしてもらった子供たち。「優しかった」「すごく格好良かった」と興奮していた。

 

優しい笑顔に魅了された子どもたちはきっと、この日のことを忘れまい。工藤壮人に優しくされたことを、青山敏弘の笑顔や林卓人の手の大きさ、水本裕貴の優しさも、自分たちの側に立ってペンを走らせてくれた選手たちの姿も、きっと忘れないだろう。そして子どもたちはサンフレッチェのサポーターになり、スタジアムに駆けつけ、精一杯の歓声を贈る。それが、チームの力になる。

「ファンサービス」という言葉は、選手たちの無償の行為のように感じるかもしれないが、実はそうではない。「12番目の選手」と呼ばれるチームの力を養生するために必要な、チームとしての仕事であり、熱意の表現だ。サッカーとは関係のないことに考えるかもしれないが、実はチームにとって重要なパワーの源を大きくするための行為である。無償ではない。サポーターから力を受け取るための「やるべきこと」の一環なのだ。サンフレッチェのサポーターがしっかりとマナーを守り、選手に対してリスペクトを欠かさない信頼関係の存在もまた、力を増幅させるための要素となることも、言うまでもない。


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