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高萩洋次郎をゼロトップに置いたシステムの破壊力/2008年天皇杯・川崎F戦考察※前編

2008年天皇杯対川崎F戦、J2の広島はJ1で優勝を争った川崎Fに2-0と完勝する。その先制点は、青山敏弘のダイビングヘッドだった。

2017年の広島は、本当に得点がとれない。こんな状況に陥ったことは2004年以来、しばらくなかった。2005年に佐藤寿人(現名古屋)が移籍して以降、エースストライカーには事欠かない状況。他にも李忠成(現浦和)や石原直樹(現仙台)、ドウグラス(現アルアイン)や浅野拓磨(現シュツットガルト)、ピーター・ウタカ(現FC東京)と、次々にストライカーが活躍してきた。「最後には彼」という方程式が容易につくりやすかった。

今は違う。工藤壮人は確かに3得点を決めているが、チャンスの数からすればもっと決めてほしいし、自分たちのつくった流れの中ではまだ、得点を決めていない。もちろん、こぼれ球を決めるということはストライカーとしての大切な役割ではあるが、そればかりでは寂しさはぬぐえない。皆川佑介やアンデルソン・ロペス、フェリペ・シウバはここまで公式戦無得点。茶島雄介は決めているが「ストライカー」ではない。

もちろん、工藤やアンデルソン・ロペスが決めるようになってくれれば、それで何も問題はないのだが、現実はシビアだ。3-4-2-1の固定したフォーメイションでもう10年目。研究はし尽くされ、組織的な攻撃が炸裂する可能性は、現時点では厳しいと言わざるをえない。

では、どうすればいいのか。

一つのヒントが、過去の歴史には存在する。それは2008年、佐藤寿人不在の時にペトロヴィッチ前監督(現浦和)がとったスタイルだ。

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