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青山敏弘物語〜逆境〜 第二章/シュート

 

時間を少し前に、2004年の広島加入以前に巻き戻したい。

青山敏弘の代名詞といえば、精密かつ強烈な「大砲」というべき右足である。もちろん、「エンジン」という異名のもととなった運動量も素晴らしいが、青山を青山たらしめているのは、やはり右足だろう。

もちろん、佐藤寿人のゴールをいくつも演出したミドル・ロングレンジのパスも素晴らしいが、やはり真骨頂はシュートだろう。2006年対鹿島戦での公式戦初得点は約35m、2012年の対横浜FM戦では60mものロングシュートを決めてみせた。パワフルな右足を豪快に振り抜き、強烈なスピードと思わぬ変化を呼び起こす。

2013年終盤の柏戦・湘南戦、勝点を落とすことのできない試合を救ったのは、彼の右足だった。2015年の対湘南戦、ドウグラスの先制点の余韻が残っている時にシュートを突き刺し、年間1位を大きく手元に引き寄せた。もちろん、その年の「白眉」と言っていいアウェイ・浦和戦の逆転ゴールも忘れられない。

サッカー界の言葉でいえば、青山は「持っている」男なのである。そしてその右足は、高校時代から唸りをあげていた。

 

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