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ワープロとパソコン、導入の自分史~記者の毎日 第1回(無料)

今、デスクトップのMacはなく、MacbookProをモニターにつないで使用している。

 

どんな仕事でも同じであるが、記者にも仕事に必要な道具がある。そしてそれは時代と共に大きく移り変わって当然だ。

僕が編集の仕事に関わり始めたのは1987年頃だったと思う。当時はリクルートの進学情報誌を担当していた。主たる業務は原稿進行。大学や専門学校の募集広告を情報誌の形に仕上げるために、各広告ページを必ず期日までに完全原稿に仕上げる必要があって、僕はその広告制作の進行管理を行っていた。

当然、原稿は全て、僕のデスクを通って入稿されるのだが、当時はほとんど手書きだった。しかも、原稿用紙に太い2Bくらいの濃さの鉛筆で書かれた癖のある文字ばかり。女性のライターも多かったが、その人たちは当時の若い女の子が書いていたような丸文字など、絶対に書かない。強烈な右斜めあがりの形で走り書きのような文字は、読み込むための熟練を必要とする。

それでも、そのまま入稿できる形に整理されていたら別にいいのだが、ほとんどがそうではなかった。なぜなら原稿はゲラ(文字がレイアウトどおりに組んである状態=版下のコピー)ではなくまず、生原稿でクライアントに見せないといけない。当然、そこには赤字、つまり修正が入る。行数が増えたり減ったり改行が変わったり。その原稿に合わせてレイアウトを自分で引き直すこともあるし、ディレクターに依頼してデザインをやりなおしてもらう必要が出てくることもあるわけで。

まあ、このあたりの話は違う機会にしたいと思う。要は何が言いたいかというと、30年前には当然だった手書き原稿が今はほぼ皆無に近いということだ。少なくともこのWEB全盛時代に手書きで入稿する人は、今も万年筆にこだわる大作家くらいのものだろう。

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