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青山敏弘物語〜逆境〜 第七章/肺の中が火傷するほどの猛練習

 

「日本人は運動量が多いけれど技術が低いという評価が(ヨーロッパでは)一般的だったし、私もそういうイメージだった。だが、広島の選手たちのプレーを(DVDなどの映像を)見て、考え方が変わったね。広島には、技術的にパーフェクトな人材が少なく見ても3人いる。他の選手たちも含め、技術レベルは高い。だが、運動量が少ないね。そして1対1のバトルも好まない」

ミハイロ・ペトロヴィッチは、彼を招聘した広島の織田秀和強化部長(現社長)に対して、そんな評価を口にした。

だからこそ、徹底して走らせないといけない。戦わせないといけない。

決意は、初日の練習から表れた。

「オーパッ。オーパッ」

ケルン大学に留学中の身ながらドイツ語の通訳としてやってきた杉浦大輔も「訳せない」と苦笑する激しい叫び。意味はよくわからないが、選手たちを動かす迫力と気迫に満ちていた。ハーフコートのミニゲーム中、少しでも身体を休めた選手には激しく厳しい言葉で叱責が飛ぶ。走らず戦わない選手を見つけると「何をやっているんだ」とまた叫ぶ。紅白戦の間、ほぼタッチライン際に立ち尽くし、激しいアクションと叫びで汗が噴出し、声もかれた。それでも、まだ叫び続けた。

この姿が、本当なのか。記者会見で見たボソボソと話す彼は、別の姿か。

練習後、ペトロヴィッチ新監督をメディアが囲んだ。どんな言葉を口にするのか、誰もが聞き耳を立てた。

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