青山敏弘物語〜逆境〜 第八章/自信
苦境にあるチームを救うには、二つの方法がある。一つは経験のある選手を中心に据え、計算できるチームを創ること。もう一つは若手を抜擢し、新しい可能性に賭けること。
どちらが正しいというわけではない。結果を出した方が正しいというべきだろう。チーム事情もある。財政などのクラブの状況もある。監督としての好みもある。
ミハイロ・ペトロヴィッチは、浦和と広島では違う手法で取り組んでいるように見える。浦和では経験のある選手をベースに、能力の高い選手を補強してチームをつくりあげた。彼がつくった浦和でサバイバルに成功した「若手」は関根貴大くらいだろう。もちろん、浦和というチームの要求が、若手育成に寄った戦略を採りづらいという事情もあるが、彼自身が設定する目標そのものも、変化しているのだろう。その変化は、2011年には明白となったのだが、それはまた違う話だ。
2006年にやってきた時、広島のインフォメーションを得ながら彼には、不審に思うことがあった。
「広島には名前の通った選手たちがいる。ベット、ジニーニョ、ウェズレイという外国籍選手たちだけでなく、戸田和幸・佐藤寿人・小村徳男ら日本代表経験者も多い。普通なら残留争いなどするはずのないチームなのに、なぜ」
現場でチームを見た時、彼は「やっぱり」と感じた。
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