SIGMACLUBweb

編集者としての未来/死の淵にたった30歳の頃

今週末発売のSIGMACLUBは、森崎和幸の「苦闘」が巻頭企画。生きるということと常に直面せざるをえない宿命の症状を抱えた彼のインタビューは、自分自身への問いかけともなった。

 

疲れた。

正直、めっちゃ疲れた。SIGMACLUB、ようやく発送完了です。これで今月も無事、発刊できます。

雑誌や本の編集をしている人であれば経験があるだろうが、〆切前後の編集者に休息はない。24時間、戦わないといけない。まさに、ブラックな仕事である。

会社員であれば、時間外手当が出る(出ない会社もあるのかもしれないが、それは本来の姿ではない)。ただ、本や情報誌を出版する会社では、どこからが時間内でどこからが時間外なのか、わからなくなってしまう。今の編集者はみんな、7時間か8時間で仕事を切り上げ、生活を楽しめているのだろうか。そうではないだろうと、日々の仕事をみていれば、容易に推察できる。

紙媒体はweb媒体ほどの自由さはない。文字数、色数、本の綴じ方、流通、そして制作コスト。制作者側の不自由さと比較して、読者側の自由さはまだまだ存在する。充電をしなくてもよい。どのページにも気軽にアクセスできる。自由に線が引ける。古本の流通などなど。だが、読者から見ても、本の在庫を置くスペースの問題や老眼や近眼の人が困る文字の大きさの問題など、不自由さはある。

紙というメディアが、これからも生き残っていけるのか。正直、疑問ではある。僕が生きている間はしっかりと残っていくのだろうが、情報をwebや電子書籍で取得することが当たり前になった世代が主流になると、もう無理なのではないかと考えることもある。レコードやCDが駆逐されて今や配信が当たり前になってしまった音楽のように。映画だって、今やDVDが主役ではなくなった。huluやNetflixなどの配信業者が勢力を伸ばし、オンラインで作品を購入する(あるいは見放題のサービスを使う)ことがもう普通になってきている。そんな中で、本や雑誌だけが、紙メディアだけで生息するとは、とてもじゃないが考えられない。

それは単に、読者のニーズだけには止まらない。この業界で働いている人間のことを考えても「紙」は限界に近い。収入とかクオリティなどの問題ではない。仕事と生活のバランスが、紙の編集者はどうしても崩れてしまいがちになるからだ。

(残り 2944文字/全文: 3982文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ