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必要なのは気持ちだけではない/編集長・中野和也コラム

 

もっと、気持ちを見せろ。もっと、戦え。

負けが込むと、そんなことをつい考えてしまう。実際、選手たちが必死に戦っていても、見ている側からすればどうしても、余力を残しているかのように見える。試合が終わって立ち尽くしている選手が、別に全力を尽くしていなかったわけではにない。膝を屈したり、倒れ込んだりすることが嫌な選手もいる。

この期に及んで、ヘラヘラと自分だけのことを考えてプレーしている選手など、いない。自分自身の人生もかかっているし、お世話になっている人々の思いもわかる。絶対に勝ちたい。絶対に残留したい。強い気持ちをプレーに直結したいと願い、祈り、その上でピッチに立っている。

ただ、その気持ちを結果に繋げられない。絶対にミスが許されない場面でミスをする。技術的にも戦術的にも、思いとは裏腹なプレーに陥る。決定的なチャンスを迎えて冷静になれない。だから、勝てない。切ない。

正直、筆者も上から試合を俯瞰して見ている時は、「気持ちが伝わってこない」なんて感じていた。でもそれは結局、思いどおりにいかないピッチでのパフォーマンスに自分自身が苛立っただけだ。サポーターがどう考えたか、感じたか、それは見る側の権利である。「情熱を感じない」という気持ちになったとしても、それは致し方ない。しかし、伝える側がそういう視点に凝り固まってしまっては、話にはならない。それは選手にもチームにも、そしてサポーターにも失礼だ。

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