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サポートと感謝の気持ちこそサッカーの基本/編集長・中野和也コラム

浦和戦後、森島司は選手たちにコートを持っていった。こういう何気ないことを率先してできるか、否か。サッカーの成長に向けても重要なことである。

 

元日本代表FWの久保竜彦氏がTSSサンフレッチェ広島モバイル公式サイトで語っていたことは、サッカー選手にとって非常に重要なことだ。

彼は今、娘・杏夏さんのテニス留学のために、チェコに行こうとしている。だが、そこには「労働ビザ」という大きな壁が立ちはだかり、そこを何とか解決しないといけないと努力を積み重ねているところだ。ちなみに久保家の次女・杏夏さんはテニス界のスーパー少女。昨年の全国小学生テニス選手権では女子シングルスで見事に優勝。中学生になった今年は、台湾やヨーロッパ遠征でも優勝を記録。チェコのクラブから「ウチでプレーしないか」と誘われたことから、久保氏のチェコ行きが浮上。現地で杏夏さんの面倒を見る必要があるからだ。

だが、チェコの就労ビザを取得するためには、大きなハードルが存在する。90日以内の滞在であれば、日本人はビザがなくても滞在できる。だが、それ以上ということになると、どうしても就労ビザが必要。現在、チェコは海外の人々に対する労働許可を厳しく制限しているようだが、日本人はEU外の外国人労働許可の対象国に日本はなっているため、就労ビザに必要な労働許可証(就労カード)を得ることは可能だ。だが、現地企業に就職する場合はともかく、フリーで働くサッカーコーチがこの就労カードを得るには並大抵のことではない。現地でのコネクションも当然、絶対条件となるだろう。ビザ申請に必要な書類づくりだけでも、滞在費用や住居が確保されていることの証明書、保険など、たくさんの細かな文書を求められる。しかも、チェコ語に翻訳しないといけない。現時点で、久保氏のビザ取得について、目処はたっていない。

ただ、書きたいのはチェコの労働事情などではなく、プロサッカー選手は「そういう煩わしいが必要なこと」から無縁の場所にいる、ということだ。

サンチェやフレッチェのようなマスコットの存在も、選手やチームのための十分なサポートになっていると考察できるかどうか。そこが「視野の広さ」にもつながってくる。

 

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