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【緊急集中連載】ミハエル・ミキッチ物語 Part.4

ダイジョウブ、ダイジョウブ。

ミキッチの口癖である。彼は負傷離脱から戻ってこれそうになると、笑顔を見せながらそう語ってきた。

2010年8月1日の対京都戦で左ハムストリングス筋損傷のケガを負った時も、彼はそう言っていた。全治2週間。ダイジョウブではない。それでも笑顔を忘れなかった。しかし、話を続けるとミキッチも人間。本音も出る。

「ただ、正直に言えば、日本の夏の暑さと無関係ではないと思うね。ヨーロッパの夏は日本ほどの湿気がない。この日本の暑さの中で行われる8月の連戦は、肉体には相当の負担がかかる。慣れるのは、並大抵のことではない」

後にミキッチはこの日本の暑さに対応するために、食生活の改善やトレーニングをコントロールするスキルを身につけた。2012年以降、彼は夏場にコンディションを崩すこともなくなり、むしろパフォーマンスを向上させる。30代を過ぎても、経験で肉体の衰えをカバーし続けた。それも、この2010年の負傷連続期があったからこそ。

「こんな暑いのにサッカーをやるなんて、日本人はクレージーだ」

そう言い切ってしまうのは簡単だ。もちろん、ミキッチの気持ちにそういう想いもあっただろう。だがその裏腹に彼は徹底して日本の夏の克服法を研究した。Jリーグで成功したいという気持ちがあるからこそ、非常に辛い夏をどうしても克服したいと彼は研究を重ねたのだ。

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