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【2018紫熊の勇士】吉野恭平/この程度の才能ではない

2016年、吉野恭平がアウェイでの磐田戦で先発デビューした時の、周りの反応をよく覚えている。

失点に絡み、得意の攻撃についても自身のパフォーマンスを発揮できなかったことで、筆者は相当に苛立っていた。だが、周囲の記者たちは彼に関心をほとんど示さない。「実力どおりでしょ」。そんな言葉が聞こえてきた。

そういう状況が、筆者の感情をさらに昂ぶらせた。だが反論したところで、何も説得力はない。プロのアスリートにとっては、試合でのパフォーマンスが「実力」である。

吉野恭平の実力は、あんなものではない。

いくらそう強く言ったところで、ピッチで表現してくれないと説得力には欠ける。「このシンガーは歌唱力がある」なんて言ったところで、ステージでその力を表現できなければ認めてもらえないのと同じことだ。

だからこそ、筆者は言葉を飲み込んだ。大器の覚醒を待った。

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