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リーグナンバー1のインターセプトを得点にいかせ

 

広島がここまでの快進撃を続けられている理由を、うまく説明することは難しい。

ボール支配率は40%を今にも切りそうな数字での最下位。17位の清水に対しても、大きく遅れをとっている。シュート数57本はトップの札幌のほぼ半分で16位タイ。広島よりも少ないのは湘南の44本だけだ。リーグ最少失点(平均0.29)であることは間違いないが、被シュート数は65本(平均9.29本)と、そこそこは撃たれているのだ(リーグ6位)。実際、PKをすでに3本も与えているわけで(リーグワースト1位)、攻め込まれてしまっていることは間違いない。被シュート数と被決定機は比例しないし、そこまでビッグチャンスを与えているわけではないが、失点数ほどの鉄壁ではない。この数字から現れるのは、もちろん林卓人の凄みあるプレーぶりなのだが、それはまた、稿を改めたい。

ボールをほとんど相手に握られているわけだから、チャンスの総数がそれほど多くならないのは当然であり、得点数が伸びないのもまた必然である。だが、不思議なことではあるのだが、これまで広島がノーゴールだったことは磐田戦のたった1試合だけ。ボール支配率が低いチームの得点源はセットプレーでありがちで、確かに記録上は44.4%がセットプレー(PKを含む)。しかし、セットプレーでの4得点中、2得点はスローインからだ。たとえば浦和戦での青山スローイン→川辺ドリブル→クロス→柴崎晃誠のゴール。鹿島戦の和田拓也のゴールもスローインからスタートはしているが、川辺の突破→相手カット→和田カット→ゴールという流れであり、イメージとしてのセットプレーからのゴールは川崎F戦におけるCKからのパトリックゴールだけだ。

つまり、川崎F戦での決勝点と横浜FM戦でのPK以外は、ほとんど流れの中からの得点だけ。もう一つ、ボールを持てないチームの得点源である自陣からのカウンターからの得点も、横浜FM戦でのパトリックの2点目(チームとしての3点目)しかない。つまり、ボールを持っていないチームであるはずななのに、ゴールの形は主体的なのだ。

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